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人が何の本を読んでいてもいい。あたしが何の音楽を聴いてもいいようにだ。 2020/08/29

 走りに行こうかと思っていたけれど寝坊した。なので、日中ちょっと散歩がてらドラクエウォークをして歩き回る。そして焼肉の日だったのに焼き肉食べなかった、というかその事実に気付いていなかった。不覚。今これを書きながら猛烈に焼肉が食べたい気がしてきた。

 佐藤泰志『海炭市叙景』を読んで、読み終わった。ここのところあまり集中することができなくてちびちび読んでいたけれど、一人佐藤泰志フェア、最後の作品が一番良かったというか好みだった。架空の町、海炭市で暮らす人々の群像劇。作者の自殺による未完の遺作で、その形式からシャーウッド・アンダーソンの『ワインズバーグ・オハイオ』が引き合いに出されたりするみたいなのだけど、まぁそんなことはどうでも良くて、市井の色んな人の、必ずしもすべてがうまくいっているわけではないけれど、っていうか全然うまくなんかはいってないけれど、働きながら生きている、という日常が切り取られている。

 彼は荷台から凍った地面に渡した板の上を、プロパンガスの底をゆっくり回転させて降す。配達先は一階だ。集中力を取り戻そう。ボンベが地面に着く時は特に注意した。滑って倒したりはできない。バルブをしっかりと握る。ボンベを地面につけた。ところがその時、バルブをつかんだ軍手がどうしたわけか滑った。彼はあわてて力を込め直し、左肩でボンベを支えようとした。しかし、底の一点だけをつけるようにしていたボンベは直立してしまった。長靴とその中の親指を潰す鈍い音が、一瞬の激痛と共に身体をかけめぐる。息が詰った。
佐藤泰志『海炭市叙景』P.55 -P.56

 この独特の短文の連続による緊張感がこのシーンと相まってものすごく印象に残った。痛そう。いや、痛い。読んでるこちらも痛い。そんな一節。プロパンガスを運んだこともないし、その重みを知っているわけではないのだけど、重くて痛い。安全靴履いたほうがいい。

 人が何の本を読んでいてもいい。あたしが何の音楽を聴いてもいいようにだ。
佐藤泰志『海炭市叙景』P.156

 土曜の夜だけ職場の男に抱かれる女はこう呟く。お互い勝手に楽しみましょう、人付き合いはそれくらいの距離感がちょうどいい。

 自由に勝手に楽しみながら生きていきたいというようなことを話していたら、妻からあなたは十分自由に楽しんでいると思うと言われたがまぁ確かにそうなのかもしれないけれど、とりあえず近所で本棚を充実させられるような物件に引っ越したいのだ。程よい物件がない。いったい、何年かかるんだろう・・・。

 

自分の好きなことを表明すると、気の合う仲間が集まってくるらしい。とりあえず、読んでくれた人に感謝、スキ押してくれた人に大感謝、あなたのスキが次を書くモチベーションです。サポートはいわゆる投げ銭。noteの会員じゃなくてもできるらしい。そんな奇特な人には超大感謝&幸せを祈ります。