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啐啄とは何か?

先日、とある指導者と話をしていました。

「大切だと思うことを伝えているけど、伝わらない。」

という感じで言っていました。

おそらく、選手がそれを求めていないのでは?
という話になったのですが、
選手が気づくとか、それを欲するまで、
いくら大切だということを言い続けていても、
入っていかないんですよね。


コーチングモーメント

選手が伸びる瞬間というものがあります。

いつどこでその瞬間が来るかわかりません。
指導者はその瞬間を見逃してはいけないですし、
その瞬間を楽しみにできる人じゃないといけないと思います。

コーチングの効果が最大化する瞬間はいつなんでしょうか?

何か問題が生じたとき、
行き詰ったとき、
新しい刺激が入るとき、

いろんな場面があります。

雨が止んだときに虹が出るのはなぜか?
というその瞬間にしか出現しない虹について、
教科書で学ぶよりも、
その瞬間に説明をした方が圧倒的に効果的になります。

指導者側のコーチチング効果を最大化するための
コーチングモーメントというものは多少意識していきたいところです。


選手が殻を破る気があるかどうか?

選手が現状に満足してしまったら、
その時点で成長が止まる。

ということは多くの選手が認識していると思いますが、
じゃあ、新しいチャレンジを常にしているかどうか、
といわれたら、そうでもない場合が多い。

特にシニア世代になると、
新しい何かを積み重ねるというよりは、
これまでのパフォーマンスを維持する、
障害を予防するためのケアをする、
という部分にフォーカスしがちになります。

大切なことを、
大切だからこそ、
言い続けるのですが、
毎日言われていると、意識がそこに向かない場合があります。

それでいて、

自分はできている。
自分にそれは必要ない。
他にやりたいことがある。

なんてことを考えていたら、
何を言われても入ってこないんですよね。

指導者のアプローチに対して、
前向きにチャレンジする気が持てるかどうか、
というのは本当に大事ですね。


啐啄同時(そったくどうじ)

鶏のひながふ化をするときに卵の殻を内側からつつくことを啐といいます。

それに対して親鳥が外側からつつくことを啄といいます。

啐啄同時というのは、
卵からふ化するときの共同作業ですね。

選手が求めている

それに対して、指導者がアプローチする。

それが同時に起こるからこそ、
コーチングは成り立つし、
やはりコーチングというものは
殻を破ろうとしているものに対しての手伝いになります。

選手の自主性に任せている、
だけのコーチングは内側からの力が弱ければ
ふ化する前に力尽きるかもしれません。

かといって、まだふ化できる状態でもないのに、
外側から圧力をかけて卵を割れば、
それこそ生きることができないかもしれません。


とても大切なこと

指導する側からしたら、

内側から、自ら、殻を破ろうと促すことが大事です。

それは精神面かもしれませんし、
新しい技術戦術的なことかもしれません。

何度も言いますが、選手はというか、
脳は新しい刺激を好みます。

同じことを言いたいのだけれども、
同じ言い方ややり方をするのではなく、
様々な角度から変化を加えながらアプローチしたいものです。

選手自ら、内側から殻を破ろうとするようにしたいものです。

選手からしたら、

殻を作ってしまうのではなく、
外からノックされたときに、
それに対応してみる、というのが大事です。

卵の殻の中の世界しか知らないのであれば、
判断基準も選択肢もその中だけのものになってしまいます。

殻を破るというのはエネルギーが必要なことです。

ですが、それをするかどうかで世界観は一気に変わります。

受け入れてみる、そして少しの勇気を出してみる。

というのが殻を破るには大事なことになります。


まとめ

選手だけがやる気があっても駄目だし、
指導者が一方的に教えているだけでもダメです。

選手自らが殻を破ろうとするようなアプローチ。
それが見えた時に、手助けするようなアプローチ。

指導者としてはどちらも大事ですね。

選手が求めていないのに、
指導者が一生懸命に怒鳴り散らしながらコーチングしても、
おそらくそれは無意味になります。

コーチングとしては
①選手が求めたくなるような意識付けや材料の提供。
②それらを克服するためのアプローチ。
③適切な距離感での見守りと修正

となるでしょうか。

指導者が設定した課題を、
指導者の都合で一方的にやる時代は終わりました。

②をすぐにやりたがる指導者は多いと思いますが、
まずは①ができていないと、
効果的なコーチングにはならなさそうです。

啐啄同時を感じた瞬間、
そして新しい世界を知った瞬間、
指導者としての最大級の喜びになるのかもしれませんね。


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