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自己啓発ブームの頂点:デール・カーネギー『道は開ける』

自己啓発書の人気は衰えぬばかりで、書店の棚には次から次へと新作が並びます。

しかし、一世を風靡するものでさえ、数ヶ月後には人々の記憶から消えてしまうのが常。

そして、何年にもわたって読み継がれる本、いわゆるロングセラーは極めて稀です。

しかし、そんな難関を突破し、未だに絶大な支持を得ている自己啓発書の金字塔が、『道は開ける』です。

この書籍は、1948年にアメリカで初版が出版され、その原題は『How to Stop Worrying and Start Living』。

これは「不安を消し去り、新たな人生を歩むための方法」を指すもので、慣れ親しんだ日常の不安を解消し、平穏な心を取り戻すための指南書と言えます。

だからといって、ただのポップなハウツー本ではなく、その深い洞察力が世界中の読者を引きつけてきました。

本書の著者、デール・カーネギー(1888~1955)はミズーリ州出身。彼は自身の意志に反する会社勤めを断ち切り、YMCAの夜間学校の教師として新たな道を歩むことを決めました。

彼が教えるのは、人生の困難を解決するための知恵。その熱意と経験をもとに、この不朽の名著が誕生しました。

「今日」だけに集中する生き方

本書では初めに、著名な医学者でジョンズ・ホプキンス大学の設立者でもあるW・オスラーの重要なメッセージを引用しています。

それは「今日という一日を精一杯に生きる」こと。

この哲学は、「全てのエネルギーと熱意を今日一日に捧げる」という意味を持つとともに、「明日への恐れを持つな」という聖書の教えとも連携しています。

そして、カーネギーはこの観点が日々の不安を軽減すると語っています。

つまり、思考が明日に向けられると、そこから生じるのは不安ばかり。

真実は、今日という一日だけが確定的なものであるということです。

つねに移り変わる未来にある問題を解決しようとしたり、予測不可能な未確定の未来に心を悩ますことは何の意味があるのでしょうか。

私たちは常に、変えることのできない過去を反芻し、まだ来ていない未来を心配し、その結果、今日という存在自体を忘れるか、あるいは無意識的にただ過ごすことで不安を避けてしまいます。

もちろん、未来への準備は重要ですが、それは今日を全力で生きることにより、初めて価値あるものになるのです。
仕事のストレスを軽減する四つのステップ

仕事をしていると、どうしようもない悩みが多々発生します。

それは大企業のCEOであろうと新入社員であろうと同様です。

本書には、大出版社の社長や年間で百万ドルの契約を獲得した保険営業マンのエピソードが掲載されていますが、彼らもまた仕事の悩みに直面していました。

カーネギーは仕事のストレスを軽減する四つのステップを示しています。

・問題は何か?
・問題の原因は何か?
・どのような解決策があるか?
・どの解決策が最適か?

というシンプルなものです。

具体的な例として、前述の保険営業マンが新人だった頃のエピソードが紹介されています。

彼は、一生懸命に営業活動を行ってもなかなか契約が取れず、心が折れそうになっていました。

そこで彼は一度落ち着き、「問題は何か?」と自問自答しました。その答えは明らかで、努力しても成果が出ないことでした。

次に、「問題の原因」を突き止めるために、過去一年間の契約実績を見直しました。

その結果、成約した契約の7割が初回訪問で決まったものであることがわかりました。

逆に言えば、二度目、三度目の訪問で得た成果はほんの一部でした。

「問題の原因」が明らかになると、解決策は自ずと見えてきます。

彼は、同じ顧客に対する営業活動を三回以上行わないと決定し、新規の顧客獲得に時間を投資しました。

その結果、営業成果は劇的に改善し、悩みは解消されました。

初めて聞くと、「それだけのことか」と思うかもしれませんが、自身の状況に置き換えてみると意外とできていないものです。

カーネギーは断言します―これによりあなたの仕事における悩みは半分になると。

効果的なリストを用いて疲労から解放されよう

不安と疲労は不可分な絆を持つことをカーネギーは教えています。

疲労が身体に襲い掛かると、自然と不安も湧き上がってくるのです。

本書には、この疲労感を未然に防ぎ、また、疲労から早く立ち直る方法が見事に解説されています。

その最初の戦略は「限界に達する前に休む」です。

多くの人々は、仕事の一区切りをつけるまで働き続けること、あるいは締め切りが迫っているために何とか耐え抜こうとする傾向があります。

しかしながら、カーネギーはこの手法が本末転倒であることを指摘しています。

既に疲労が限界に達した状態で休むと、生産性や健康に悪影響を及ぼす可能性が高いと述べています。

具体的に推奨されているのは「昼寝」です。オフィスで働く人でも、昼食後に10分程度の昼寝を取ることは可能でしょう。

それが難しい場合は、夕食前に少し休憩を取ると良いでしょう。

夜間の睡眠とは別に、日中に少しだけ眠ることの価値を、カーネギーはチャーチル首相やトーマス・エジソンの事例を引き合いに出して強調しています。

さらに、無自覚に筋肉が過度に緊張することが疲労感を引き起こすという事実も指摘されています。ここで役立つのが「リラックス」です。

一日に何度か自分自身を見つめ、「現在の作業は本当に厳しいものなのだろうか? 関連性のない筋肉を使ってはいないだろうか?」と問いかけてみると良いでしょう。

心理学者のデイヴィッド・ハロルド・フィンクも、このリラックス法を日常の習慣にすることを強く推奨しています。

その他、問題を先送りにせず、現在の仕事に関係のない書類をデスクの上に置かない、睡眠不足を過度に心配しないなど、疲労を予防する方法が幾つも説明されています。

これらは決して難解なものではなく、取り組むだけで疲労と不安が減少することを体感できます。

特筆すべきは、本書が古くさいと感じさせないことです。

現代の多くの自己啓発本よりも新鮮さを感じさせるほどです。

何世代にもわたり読み継がれてきた本書の特異性を理解することができます。

最近の自己啓発本に物足りなさを感じているなら、この本を手に取ってみてください。

新たな満足感が得られることでしょう。

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