君影草
この花には毒がある。決して貴方の可愛いペットを近づけてはいけない。貴方自身もこの花を触ったあとは必ず手を洗うように。美しい花に毒やら刺やらあることは多い。毒があると分かっていても、棘があったとしてもその美しさに惹かれて触れてみたくなることはよくある事だ。
君影草。聞き慣れない言葉だと思う。これは鈴蘭のことである。鈴蘭には特別な思い出がある。正確にはスズランエリカであるが。
両親が結婚してから20余年、3月30日になると必ず思い出す。スズランエリカというエリカはその名の通りスズランの形をしたエリカ(ヒース)である。小さな白い花をたくさんつけ、ツリー仕立てに出来る花で、父親はプロポーズの際、母親にこの花を贈ったという。
スズランエリカの花言葉は、「幸せな愛を」「愛らしい妖精」、また鈴蘭の花言葉は「幸せが再び訪れる」「純粋」「癒し」「謙遜した美しさ」である。鈴蘭の花言葉がスズランエリカにも影響を及ぼしていることが分かる。
私の名前の由来はもちろんこの花、スズランエリカである。そのようなことがあり私は鈴蘭とスズランエリカに特別な想いを持っている。また1年半ほど前に天に昇った愛しい姉妹の名もこの花から取って「ラン」と名付けた。きっと次はスズだろう。愛しい姉妹を亡くすことが怖くて暫くはお迎えすることはないとは思うが。
鈴蘭の話はいい、なぜ君影草なのか気になっている方が居られるだろう。調べてみたところ下記のような説明を検出した。
鈴蘭の花が葉の影に隠れながらひっそりと咲く姿が、男性の後ろに佇む奥ゆかしい女性をイメージさせる。鈴蘭の花が少し垂れている様子から、女性がこうべを垂れてじっと男性を待っている姿をイメージさせる。鈴蘭は女性的な印象が強い花である。
今の時代女性が必ずしも奥ゆかしい必要もなくなってきている。自身が自分の意思や軸は持っている人間であるし、年齢性別関係なく良いところを見つけるように努めているのはもちろんなのだが、やはり表に出た時ぐらいは無条件に年長者や男性を立てられる可愛らしい人間でありたい。
そしてわがままが叶うなら大きめの少し汚れたスウェード生地ショート丈の履物をこっそり綺麗に磨いてから揃えておきたい。
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