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#4 フォレットの行動科学

こんにちは、Kazumiです。
この記事ではフォレットの「統合と状況の法則」について書いていきます。
フォレットとは、もとの名をMary Parker Folletと呼び、1868年にアメリカのマサーチューセッツ州に生まれました。

彼女は生涯をとおして、古典的経営理論の黎明期における偉大な女性経営専門家の一人として貢献しました。そして「現代経営の母」と呼ばれているのです。

彼女は、経営をこう定義しました。

"the art of getting things done people".

Mary Parker Follet

これを翻訳すると、「人を通して物事を成し遂げる技術」となります。
そんなフォレット氏の功績が「統合と状況の法則」なのです。

統合と状況の法則

筆者作成

企業内で各人が仕事をやっていくにあたって、「揉め事」や「諍い」を避けることはできません。フォレット氏はそれらを「対立(コンフリクト)」と呼びました。

従って、どうそれらを管理していくかが大事になってきます
では、「争い」というものは一体どんな定義をもつのでしょうか?
広辞苑では、

あらがうこと。あらそい。喧嘩けんか。古今著聞集8「よも御―は候ふまじ」

広辞苑

とあり、Oxford Dictionaryでは

1. a situation in which people, groups, or countries are involved in a serious disagreement or argument
2.a violent situation or period of fighting between two countries
armed/military conflict

Oxford Dictionary

とあります。
しかしながら、フォレットは「相違」と定義しました。先の2つの辞書の定義からするとかなり柔らかい表現です。

この「相違」について、対立は第一の「抑圧」もしくは第二の「妥協」で処理されると彼女は主張しました。第一の抑圧とは、力と支配による方法で、必ず勝者と敗者を作り出すものです。次に第二の妥協は民主的ではあるが、両者の犠牲を伴うものとなります。

筆者作成

つまり、こういうものです。Lose-Loseの妥協は不満と将来の対立の恐れを両者に生み、Lose-WinとWin-Loseは「組織」という共同体の中では適切ではないわけです。

フォレットが評価される「新規性」は「組織の対立はWin-Winにできるじゃないか、いやそうしないといけないんだ」という点にあります。これが「統合」という考え方です。

「統合」の下では、両者が満足するような発明を伴う創意工夫がなされるとされます。それだけでは「アイデアベース」じゃん!となるでしょう。
しかしそうではありません。
「命令する」「命令される」という関係、つまり上下関係ではなく、「今その場の環境がそうしているんだという状況の法則に立って解決するのが大事なんだというのです。

命令の非人格化

筆者作成

この考えは現在あなたが所属しているであろう人間関係や組織、グループで早速使えます。状況の法則の本質は、「命令の非人格化」です。

これが何を話しているかというと、「しっかりと最終のゴールと、それに取り組む背景を説明した上で、これをお願いしてもいいかな?」と提案してね、と話しています。

ジョン・P・コッターがリーダーシップ論という書籍や論文で「ビジョンを示せ」とか「社内コミュニケーションをとれ」とかと話しているが、その根底にはフォレットの考えが流れています。

考えてみましょう。
ある日、上司に「つべこべ言わず明日有休を取れ」と頭ごなしに命令されたらあなたでも怒るでしょう。あなたが辛そうにしている時に「今日はすぐ帰れ」と言われてもムッとくるはずです。
しかし、「明後日から社内が忙しくなるから明日休みをとってリフレッシュしたらどう?」とか、「辛そうにしているよ?みんながあなたのことを心配しているから今日は早く帰って休んでほしいな。急いでやらないといけない仕事があれば引き受けるし、締め切りは私が責任を持つから体調が良くなってからやればいい」と言われればどうでしょうか?

これがフォレットのいう「命令の非人格化」です。この考えはのちのモチベーション論やリーダーシップ論などにも用いられるようになりました。

終わりに

いかがでしたか?

特に命令の非人格化という考えは明日から職場で使えるでしょう。
フォレットの見出したこの考えはのちの研究者にも大きな影響を与えています。

以上フォレットの統合理論でした。


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