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冬の夜散歩◎間違いはふたつ

サマータイムが終わったこともあり、夕方日が暮れる時間がグンと早くなった。午後5時前にもなるともう黄昏ている。

夏の間、ミアの夜散歩は午後8時過ぎだった。9時や10時になっても明るかったからそれでちょうど良かった。

だけどこの時期、もう12月にもなると寒いし人通りはまばらだし、どんどんと夜散歩の時間が早まり、今では5時を過ぎるとそろそろ出かけようかと準備を始めるようになった。


昨日も5時半ごろに家を出て近所のパン屋の辺りを歩いていたら、道端で酒盛りをするおじさん2人組に遭遇した。

ひとりのおじさんがこっちに向かって何やら叫んでいる。

ア・イ・キ・ド~!ア・イ・キ・ド~!

海外へ行ったことのある人なら分かると思うが、道を歩いていると何かと声を掛けられる。

コニチワ!とかアリガトゴザイマス!とか、ここ数年ではニーハオ!と言われることが増えたがそれでも知っているアジアの言葉を大声で叫んでくるおやじに遭遇することがあるのは周知の事実。

ケッ、またか。めんどくさいなぁ(心の声)

そう思いながら宴会をするおじさん達を遠巻きにして避けて歩いていたら、最短距離に近づいたタイミングで直接話しかけてきた。

なぁ、その犬、なんてったっけなぁ。その犬の名前。

犬種を聞いているのだ。これもよくあること。道端で犬の犬種を聞いてくる人は案外たくさんいる。

絡んできたり害を与えたりしそうな気配はない。無視すると感じが悪い印象を与えてしまうので、急いで通り過ぎる振りをして素早く答えた。

これはシバよ、シバイヌ。

話しかけてきたおじさんは缶ビールを握っていない方の手で自分のおでこをポンっと一発叩いて、そうそう、それだ!シバ、シバだよ。ありゃシバだ!と隣の酔っ払いに向かって説明していた。

後方からはふたりの笑い声が聞こえる。楽しい酒のようだ。


ミアはは小さなお尻をプリップリッと左右に揺らしながらサッサと歩いて行く。トイレが近いと歩くスピードが速くなるので私も競歩並みのスピードでついて行かなければならない。リードはめいいっぱいの長さでピンッと張っている。

小さな三角形の両耳とクルンと巻いた尻尾を立ててモンローのように歩くミアの後ろ姿は街灯の少ない道に入ると暗闇に紛れてしまう。

明るいうちに出かけると夜が長くなるのでどうしても暗い時間に出かけることになってしまう。それが冬の散歩。

暗い道に入って密かに用事を済ませるミアを待っている間にふと思った。

それにしてもあのおじさん、何で『合気道』って叫んだんだろう?

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