見出し画像

139/1096 弱きもののちから

吾輩は怠け者である。
しかしこの怠け者は、毎日何かを継続できる自分になりたいと夢見てしまった。夢見てしまったからには、そう夢見る己を幸せにしようと決めた。3年間・1096日の毎日投稿を自分に誓って、今日で139日。

(この毎日投稿では、まず初めに「怠け者が『毎日投稿』に挑戦する」にあたって、日々の心境の変化をレポートしています。そのあと点線の下から「本日の話題」が入っているので、レポートを読みたくないお方は、点線まで飛ばしておくんなましね。)

139日目は雨の日曜日。人の気分は日替わりどころか分刻みで変わる・・昨日まで自分をネタ切れからの個体進化に追い込みたかった気持ちは自然と自分のものとなり、うわー新しい考えがやってきたぞ・・・!という強いリアクションが収まってきた。

とにかく静かに自分を追い込もう・・・追い込めたとしても追い込めないとしても、どちらを向いても楽しいだろう。それを思うと温泉に浮かんでるかのごとき安心とリラックスと幸福を感じられる。
強い執着が湧いたときというのは、それに対してニュートラルになるチャンスなのだと思う!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【闇からとどいた光】

あるところに、闇の世界がありました。
そこには、音も、匂いもあります。
でもそこには、自然の光がありませんでした。

あるときその世界の住人であるミッタは、いつも胸にしまっている懐中電灯の明かりを頼りに外に出ました。そして庭に咲く一輪の花を切って、家に戻りました。

「この花を病気のオルクに届けよう」

ミッタは花に水を吸わせて包み、出かける支度をしました。自分で焼いた小さなケーキを紙の箱に入れて、ラベンダーの香りのするろうそくと、毛糸のろうそく包みをカバンに入れて、準備は万端です。
彼の好きなようにぼんやりと灯らせている部屋の明かりで革靴のひもを縛って、大きな伸びをして歩き出しました。

「僕が行ったら、オルクはびっくりするぞ!」

闇の世界を、街灯がやさしく照らします。
意気揚々と、ちょっとお花に気をつけながら歩くミッタ。
そこでトントのおばさんが帰ってくるところに出くわしました。

「あらミッタ!驚いたわ、どこへ行くの?」
「あ、トントのおばさん!オルクのところだよ。お花を届けに行くんだ」
「ミッタ、あなたが行ったらオルクはびっくりして、きっとあの子の体に障るわよ」
「オルクはきっと退屈しているから、びっくりしたほうがいいと思うんだ。僕はいつもお家にいるから、僕だって歩いたほうがいいんだ。僕がオルクのために出かけたら、それは僕たちどちらにも良いことだから、きっと喜んでくれるよ」
「気をつけなさいよ。なにかあったらと思うと心配だわ」
「大丈夫、すぐに戻ってくるよ」

ミッタはオルクのいるところまで、バスに乗ってたどりつきました。
そして病院のオルクのいる部屋まで元気に歩いていきました。

「オルク!君をお見舞いにきたよ。調子はどう?」
「ミッタ!どうしたの、こんなに遠くまで、よく来たじゃないか!」
「お花が咲いたから届けに来たんだよ。ろうそくと、ケーキも持ってきたよ」

「ミッタ、本当に嬉しいよ。ありがとう。でも、僕はここから帰る君が心配だよ。いつも静かに家にいるのに、どうして外になんか出たんだい?」
「僕はお家にいるのがつまらなくなっちゃったんだよ。僕はケーキも焼けるしお花も育てているんだから、それを僕だけで楽しむのはむなしいと思ったんだ。君は病気だから、ケーキもお花も自分で作れないだろう?だからちょうどいいと思ったんだよ」

「外出嫌いなミッタにそんなに気を使われるのは情けないよ。僕が元気になったら僕の方から会いに行くのに」
「オルク、僕にだってできることはあるんだ。心配しないで」
「僕も元気を出さなきゃな。ミッタに負けていられないや!」

ミッタはお花を花瓶に挿して、オルクの枕元に置きました。消毒で湿った病室に、生きた香りがただよいました。ミッタは嬉しそうにガラスのコップに入れたろうそくを毛糸のろうそく包みでくるんで花瓶のそばに置き、ケーキの箱を開けてオルクに渡しました。

「僕が作ったろうそく包みだよ」
「器用だなあ君は。僕なんかよりずっとなんでもできるんだね。すごいや!」

ミッタはオルクと握手をして別れました。病院に向かうときよりもずっと元気な足取りで、家路につきました。

家のそばに、トントのおばさんが立っていました。

「あれ、おばさんどうしたの」
「ミッタ!帰ってきたのね。あなたが珍しく出かけたりしたから、心配でここで待っていたのよ。オルクには会えたの?」
「うん!オルクはびっくりしていたよ!僕は僕の育てたお花と僕の焼いたケーキと、僕の作ったろうそく包みを持って行ったの。それが僕のできること全部だから。そうしたらオルクがね、僕になんか負けていられないって言うんだよ」
「じゃあそれは良い"びっくり"だったわね」
「うん、オルクはきっと元気になるよ!」

ミッタがオルクのお見舞いに摘んで行った花の咲く季節は終わり、木々が真っ青に燃える夏がやってきました。ミッタは闇の世界の夏を楽しく過ごしていました。

そんなある日のこと、誰かがミッタの家のドアを叩きました。

ミッタがドアの前で、誰なの?というと、「オルクのお母さんと来ましたよ」と言うトントのおばさんの声がしました。

ミッタはその声を聞いて、二人を歓迎する気持ちを息を飲むように引っ込めて、ドアを開けて言いました。

「やあ、こんにちは・・・どうかしたの?」

トントのおばさんは、リハーサルをしてきたみたいに心づもりのある顔で口を開きました。
「ミッタ、驚かしてごめんなさいね、あなたにお知らせしたいことがあるの。オルクがね、残念だけど・・・少し前に旅立ったのよ」

ミッタはそれを聞いて、氷水をかぶったようになって、すべてのリズムが止まって棒のようにつっ立って、それから意識を取り戻したかのように叫びました。

「うそだ!!いつなの!どうしてなの!どうして!!」

オルクのお母さんは言葉だけを先走らせるように言いました。
「10日前よ・・・・ミッタ、悲しませて本当にごめんなさいね。でも、どうか聞いて。今日はあなたにお礼を言いに来たのよ」

「オルク!!オルク!!どうして助からなかったの!!オルク、どうして・・・・」

ミッタは、怒りなのか悲しみなのかわからないはげしい気持ちでなにかを責めたくなりました。
「僕のせいなんだね、僕が会いに行ったから!僕が驚かしたからオルクはショックを受けちゃったんだよ!」

オルクがいないなんて、オルクが消えてしまったなんて!!もう10日も前だなんて!!
僕はここにいるのに、僕に負けないって言ったのに、僕は何をしてしまったの?

「ミッタ・・・そうじゃないのよ。オルクはね、亡くなる前に好きなことを全部したのよ。あなたに負けられないって、あなたは勇気を出して生きているから、って」

「え・・・・・?」

オルクのお母さんは、そこまで言って突然両手で叩くように顔を抑えて、それからよろめいて後ろの壁に背中を当てて、じっと動かなくなりました。
彼女は心が体にもどってきたみたいにさっきまでとは別人になって、そのまま嗚咽に呼吸を奪われて、声もなく泣き出しました。
トントのおばさんもミッタも、それを身動きもできずに見ていました。

ミッタはそのとき、自分よりも悲しんでいる人がいることに気がついて、とても恥ずかしく、ひどく気の毒になり、オルクがいないことを本当のことなのだと認めるのを感じました。

トントのおばさんは、わたしがしっかりしなくちゃね、というかのように気を取り直した声で話しはじめました。

「ミッタ、オルクはね、最後に自分で外に出たのよ。お医者さまがね、オルクに残された時間はとても短いからって、許してくれたのよ。・・・もし病院にいたら、あと何日か生きられたかもしれないの。でもね、オルクはそれを知っていて、それでも外に出たのよ。
それで、そりに乗って遊んでね、お父さんとキャッチボールもして、たくさん笑ったのよ。それから大好きな野球の選手にはがきを書いて自分でポストに入れたの。みんながびっくりするくらい、元気だったわ。それできっとお返事が来るって言って、夢見るように眠って、そのまま旅立ったのよ」

ミッタはこぶしを握って聞いていました。悲しくて悲しくて、震えながら泣きながら聞いていました。でも、泣いているのに、心のどこかが、オルクに良かったねと言っていました。オルクを思い浮かべると、ミッタの心の中でオルクはお花畑にいました。

「ミッタ、オルクはあなたをずっと心配していたわ。ミッタは家から出るのが好きじゃないからって。でも、そんな怖がりのあなたから精一杯のお見舞いをもらったから、オルクは元気を出してみたいと思ったのよ。」

トントのおばさんは、ミッタをやさしく眺めながら大きく息を吐いて続けました。

「ミッタ、あなただから、オルクは最後にあんなに元気を出せたのよ。お見舞いに行く日にあなたの言ったとおりだったわね。あなたはたしかにオルクを元気にしたのよ。」

「僕が・・・・元気に・・・・」

オルクのお母さんが、顔に当てていたハンカチを裏返して涙を拭き取って顔を上げました。

「ミッタ、ほんとうにありがとうね。」

ミッタは震えながら、心許なく灯る部屋の明かりをたよりにしてチェストまで進み、引き出しから1枚の写真を持ってきました。今渡さないと、きっと悲しくて渡せなくなってしまうと思ったのでした。

「僕が持っていても仕方ないから、これ・・・」

オルクのお母さんにそっと渡すと、彼女は涙の溜まった目で写真を見ました。そこには、まだ小さかった、杖をついたミッタとオルクが肩を組んで写っていました。家を出たくなかったミッタは、これをオルクにわたすチャンスのないままだったのでした。

ミッタがまだ、闇の世界が悲しくて、心の中に懐中電灯も街頭も、部屋の明かりも、今のように灯すことができなかった頃。闇の中で唯一の仲良しはオルクでした。

そう、ミッタは盲目の少年でした。ミッタだけが、闇の世界の住人だったのです。盲目のミッタが会いに行ったからこそ、オルクは元気を出して最後の望みを叶えられたのでした。

ミッタは目が見えないという弱点があったからこそ、オルクの力になったのです。オルクはミッタから、強くて完璧な人に励まされるよりも、ずっとずっと、大きな力をもらったのでした。

「オルク、よかったね、オルク。僕が君を元気にしたなら嬉しいよ。僕は闇にいても、外にひかりが灯せるんだね。ありがとう、オルク・・・」

※※※

このつたない話を10代の頃にふと思いついて、何故か覚えていた。
ありふれた話だからと、どこにも書いたことがなかった。書いてみて、今思えば弱かった自分への励ましだったのだなと思った。

弱いところ、欠点、失敗・・・これらを恥じて隠して治そうとするよりも、それを持ったまま、堂々と精一杯生きよう。改めてそんなことを思った。

完璧になろうとするよりも、ダメなところを持った自分をいたわりながら、やさしく生きよう。
わたしは弱い。だから、強者にはできないことをしよう。

生きようとしない人は光の世界を闇だと言う。
生きようとする人には、闇の世界からも光が届く。

わたしはこれからも、失敗や恥を重ねるたびに書いていこう。そこから誰かが元気になるかもしれないなら、失敗も宝物だ。わたしにはそんな宝物しかない。

弱い自分にもできること、ダメだからこそできることを、いじけないで一生懸命にしよう。小さなケーキやろうそく包みのように、つたなくとも心のこもったものを書こう。
あなたがもし弱き人ならば、我らは弱きまま、どんどん動こう、愛そう、元気を出そう!弱きもののひかりを、たずさえて・・・・

読んでくださる皆さんへ、欠点ばかりのわたしより。

いつも本当にありがとう。
それではまた、明日!!

【夏の特別イベントのお知らせ!!】

なんと今年の夏、わたしにとっても非常~に楽しみな
コラボイベントを行うことが決定いたしました!

あの一子相伝秘術・クンルンネイゴン他、
古今東西のさまざまな秘術を操る【現代のアルケミスト】と呼ばれる
清蓮くん(裕也くん)との

『枠を越えて』いくための
トークライブ&ワーク伝授を行います!!!

その名も、『秘行×神聖幾何調身法』
〜ワクワクが枠枠になっていないかい?〜

2時間のトークライブのあと、1時間のワーク伝授もあるという
愛の太っ腹企画です!!

彼に会って同じ磁場で呼吸できるだけでも
すでにお釣りのくる貴重な体験。

わたし自身も真に嬉しい大興奮の企画で、
ワクワクがバクバクになってます。

早期割引を適用するために
今からの募集となりますが、

お席が早めに埋まることを考えてぜひお申し込みはお早めにーー!!

みなさまに実際にお目にかかれるのを楽しみにしています!

 
お申込みはこちら↓
(お申込みが定員オーバーし、会場を変更することとなりました。ありがとうございます!!)
https://paurosa.com/items/5c4d7b7f687024798f37a499?fbclid=IwAR3vEVFSH1OXbszV61CsXxI7jGSj1eEZymS9qE823ZW3EV8Lm5PYqXW-pmI

わたしのフェイスブックです。
良ければつながってくださいませ!
コメントなどでコミュニケーションしましょう~!
(スパムと見分けるために、申請時にお手数ですがひと言メッセージくださいませ!)
https://www.facebook.com/michie.suga

こちらはわたしのオフィシャルサイトです。
コンタクトフォームも設置されていますので、
noteのご感想などもお気軽にメッセージしてくださいませ!
(わたしに直接届き、わたししか読みません☆)
https://miyuworld.net/

こちらは、わたしの伝えている秘行という思い込みを解くためのシンプルなワークのオフィシャルサイトです。
ワークのやり方がよく分かるようになっています。
よければご訪問くださいませ!
https://higyou.com/

TwitterInstagramもよろしくお願いします。

Twitter
https://mobile.twitter.com/michiesuga
Instagram
https://www.instagram.com/michiesuga/







毎日無料で書いておりますが、お布施を送っていただくと本当に喜びます。愛と感謝の念を送りつけます。(笑)