無常の日へ向かう

2022年8月某日。俺は別に酔っぱらってはいなかった。

私が日常的に最も使用しているSNSであるTwitter。そのタイムラインにこんなことが流れてきた。

NUMBER GIRLはふたたび解散します。

私がもっとも愛してやまないジャパニーズロックバンド、NUMBER GIRLが解散するという。

「えっ?」という驚嘆の声を部屋の中で出してしまったが、数秒後それほど驚くことでもないように感じた。

一度既に解散してしまったバンドが15年という時を経て再結成されるということ自体が奇跡以上のようなもの。「金稼ぎ」という名目の元、向井秀徳という気まぐれなおっさんに集められた四人はいつまた別々になってもおかしくないような空気感を纏いつつ演奏を続けていたように思う。

最後の解散ライブが12月11日、ぴあアリーナという新しい箱であるらしい。「また稼ぎてえと思ったら、何度でも時を超えて集まる」といったことを向井は述べていたが、解散と再結成を度々繰り返すなんて半ば野暮にも思えるようなことを向井はするだろうか。


これが最後のNUMBER GIRLかもしれない。


現在暮らしているオーストラリアから日本までの航空券は世界情勢のあれもあってバカ値上がりしていた。年末に近いことも相まって往復で20万円以上はかかる。そこまでして行くべきなのかという渋りはあったものの、最終的に私はチケット争奪戦を勝ち取り、今夜21時の羽田行きの飛行機に乗るためにシドニーで時間を潰している。


NUMBER GIRLの二度目のラストライブを見ないで後悔するかといったら、我ながらそれほど後悔はしないだろう。したとして数日といったところか。

だが、


見たら間違いなく一生モノになる。


自分を鼓舞する時、叙情的になりたい時、なんとはなしに暮らしている時。常に耳元でNUMBER GIRLが流れていた。ジャキジャキの轟音、詞の世界観、叫び、どれも日本で唯一無二でありながら常に「和」の雰囲気を醸し出している。そして、媚びない。彼らこそがモノホンのジャパニーズロックバンドだと今でも信じている。

Spotifyが擦りきれるほど聴いてきたサッポロラストライブのあの轟音。

冷凍都市東京で、一万人と共に素晴らしき音響施設で生演奏を聴けば、どうなるのだろう。

自分の中で何かが起こりそうな気がする。

起こす。


南半球オセアニア州から明日、4年と数日ぶりに日本国の地に降り立つ。


ドラムス、アヒトイナザワ

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