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心を柔らかくしてくれる言葉たち『弱火でトロトロ書くように』

発信するときは、伝わりやすいようにハッキリ書かなきゃ!と自分にプレッシャーをかけがちです。
末吉宏臣さんの『弱火でトロトロ書くように』を読んで、もっと気楽に考えていいかなあ、と思えました。
Kindle出版を目標にしようと思ったきっかけのひとつでもあります。


ぼんやり書いてもいいのかも

この人や本はおもしろいなぁ、いいなぁというのはその人なりに感じているはずだ。それをもっと、堂々と話し始めても、書き始めてもいいじゃないかと思う。だからこその味があるし、誰かの役に立つかもしれないんだから。

『弱火でトロトロ書くように』より

輪郭がぼんやりした感想でも、考えている途中のことでも、ひょいっと書き始めてみる。それくらいでいいのかも。
そこに自分の味が出て、同じような感受性を持つ人に共感してもらえるかもしれません。

それに、同じ気持ちでいる人に、もっと素敵な言葉で代弁してもらえるかもしれない。自分でなんとなく思っているだけのことも、人から言われてしっくりくることって多いですもんね。
オンラインで発信していてうれしいことって、そういう反応がリアルタイムで得られることだと思います。

「ポンコツ」の愛おしさ

じぶんのポンコツさを早めに受け入れることが大事なんじゃないかと思う。それは遠回りに見えて、じつは自由で楽しい人生への最短の道だと思う。

『弱火でトロトロ書くように』より

欠点は誰にでもあって当たり前。自分が直したかったら努力するのもいいけど、意外と長所の裏返しであることも多い。
そのおかげで世界の美しさに気づくこともあるよなあ、と最近思うんです。

末吉さんがここで「ポンコツ」を使っているのがツボでした。
真剣なときはムッとくるかもしれないけど、今はこの言葉の選び方が好き。欠点よりポンコツって言ったほうが可愛らしいし、前向きにやってる最中です!って感じがします。

こんなふうに、愛嬌があって柔らかい言葉を使えるようになりたいなぁ。
この本の帯に「読む前の人生には戻れない、禁断のエッセイ」と書いてありましたが、私にとってはこれが「戻れない地点」でした。

「仮面の下の私」を必死で補っていることに気づいた

「一人でなんでもできる」と言う末吉さんのご友人。

「でもさ、本当の自分は、何もできなくて、人に甘えて生きていきたいっていうのが本質だと思うんだ。それを補うために、必死で身につけてきたスキルなんだよね、それって全部」

『弱火でトロトロ書くように』より

仮面の下にいる自分を補うために育てた部分こそが、自分自身だと思い込んだりしてしまうことが多々あります。

私のインナーチャイルドは、本当は母に甘えたくて仕方なかった(最近、子どもの私が泣いている夢を何度も見るんです)。
それが上手くできなくて、甘えたい欲求をいつのまにか承認欲求にすり替えていた。
「あなたのおかげで助かったよ」と言われることによって心を満たしてた。

本当は相手の話を聴くより、私の話を聴いてもらいたい。
そのままで良いんだよって言ってほしい。

自分がしてほしかったことを周りに対して続けていったら、気遣いをする力や相手の気持ちをくみ取る力はだいぶつきました。

でも、それは補うために育てた自分。たまには仮面の奥の自分にも優しくしてあげないとヘトヘトになってしまう。
「私って本当は甘えたがりなんだよね」と認めることが、しおれた心をいたわるための最初の一歩なのかもしれません。

悲しみから立ち直る

末吉さんのお父様が亡くなられた後の記事を追っていくと、少しずつご自身を立て直していっているのが分かります。
本に書いていない感情はたくさんあるのかもしれないけれど、それでも前を向いて進んでいく様子が伝わってきました。

じつはこの本を2年ほど前にも読みました。末吉さんが立ち直っていく姿を文章越しに垣間見て、思わず自分と比べてしまいました。

私は、悲しみから立ち直るためにあとどれくらいかかるだろう

当時の気持ちが読書メモに残っていました。

でも、今読み返して、「大丈夫、立ち直れたよ」と過去の自分に言ってあげられます。
あのときの悲しみはずいぶん和らいだよ。私には未来を明るくする力があるって証明できたよ。

いろいろ経験したり、本を読んだり、自分の気持ちを書いたり、信頼できる人に相談したり。一つひとつの行動があって今の私ができています。

ちいさなことをコツコツ積み重ねていけば、じっくりトロトロと弱火で煮るように自分の味を引き立てていけば、その先に見えてくるものがあるのかもしれませんね。

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末吉さん、書いて発信したいと思えるような勇気を、生きていきたいと思えるような希望を、分けてくださりありがとうございます!!

アイキャッチ画像はお借りしました。

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