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「大人になると時が経つのが早くなる」感覚。

「年齢を重ねると、時間が経つのが早くなる」そんな感覚ありませんか?若いころに年長者から聞くと「生活が充実してないだけでは」なんて思って聞いていましたが、実際に自分の身を振り返ると10代、20代、30代、40代と次第に時間の経過が加速しているような感覚になります。

それこそ「アナタの生活が充実してないのでは?」と突っ込まれるかもしれません。だとすれば、ソレはソレで生活に改善の余地があると認識しつつ、似たような感覚を抱いたことのある人はきっと多いと思うのです。

ジャネーの法則…年をとると1年が早く過ぎるような感覚

すでにご存じの方も多いかもしれませんが、ジャネーの法則というものがあります。19世紀フランスの哲学者ポール・ジャネが発案し、甥の心理学者・ピエール・ジャネの著書において紹介された法則です。

主観的に記憶される年月の長さは年少者にはより長く、年長者にはより短く評価されるという現象を心理学的に説明しています。
例えば50歳の人間にとって1年の長さは人生の50分の1ほどですが、5歳の人間にとっては5分の1に相当する。従って50歳の人間にとっての10年間は5歳の人間にとっての1年間に当たり、5歳の人間の1日が50歳の人間の10日に当たるというものです。

言われてみれば確かに、と思います。後で振り返った時の時の長さに対する感覚ならば、ジャネーの法則は納得出来る感じがします。

ただ、ジャネーの法則だけを考えるならば「年とともに短く感じる1年」に対してもし「1年の間に経験した事象」がどの年代でも等しかった場合、後に振り返ると10代より20代、20代より30代のほうが、短い間にやたら凝縮されて「慌ただしかった」ような感覚を抱いても不思議ではない気がします。

耳が痛くなる「新鮮な体験」「思い出の濃さ」

そこで、どことなくお説教されているようで耳が痛くなる(きっと、その自覚がある)考え方が出て来ます。

時間感覚は一定ではなく、脳が処理する情報量によるようです。情報が多ければ多いほど、それを理解するのにより多くの時間が必要です。そのため、新しい発見にたくさん出合う若い時代は、時間の経過が遅く感じられたのです。

どうやら「単調な毎日、ルーチンに慣れ親しんだ日常。」これらの事象は記憶に残らないということのようです。

本来、人間は長じるとともに自らの活動領域を広げていくことが出来る訳ですが、むしろ新しい発見や出会いの数は乏しくなっていくことで「記憶に残らない時間」が増えているという考え方です。例えば旅行に出かけるとき、行きよりも帰りはあっという間に感じるのも同じことかもしれませんね。

自分を含む多くのサラリーマンは、毎日1時間の通勤をしますし目の前の仕事をこなすことはとても大事です。「新鮮な感覚を持ち続ける」といわれても、ソレはときとしてお説教じみた感覚で受け入れられることも多いかと思います。例えば「言われなくても分かってる」といったような受け止め方。

『日々を充実させるために努力する』という言葉自体に、ちょっと肩肘張った感覚もありそうですしね。ただひとつの心理的作用としてこれを知っておけば、例えば

「月に一度は、10年後でも憶えていそうなバカげたことをやってみよう」とか「年に1回は、これまでに出掛けたことのない土地に足を運んでみよう」とか、そのくらいの感覚になることが出来たら後で振り返ってプラスに作用しているなんてことがあるかもしれません。

一方では「ジャネーの法則」の起点を「物心ついたころ」として考えるならば小学校のころの記憶、思い出などが「懐かしい~!」といった大きな感動を伴って呼び起されることも、とても自然なことなのかもしれませんね。

60代や70代になったとき、私たちが小学校のころの記憶を「懐かしい~!」といった心地よい感覚と共に思いだすように、30代や40代のころの出来事も「あったね~、そんなこと~」なんて感覚で、振り返ることが出来るなら、それは幸せなことだと思います。

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