佐藤涼子

所属結社:塔短歌会、澤俳句会、蒼海俳句会 超結社で参加:アルデバラン歌会、仙臺俳句会 …

佐藤涼子

所属結社:塔短歌会、澤俳句会、蒼海俳句会 超結社で参加:アルデバラン歌会、仙臺俳句会 販売中の本:歌集『MidnightSun』(書肆侃侃房)、合本『3653日目〈塔短歌会・東北〉震災詠の記録』(荒蝦夷)

記事一覧

塔四月号作品2村上和子さんの選歌欄から五首選

塔四月号作品2村上和子さんの選歌欄から五首選んでみました。選んでおいてなんですが、自販機の中のお茶とかコーラとかコーヒーってそんなにいつまでもないですよね。 あ…

佐藤涼子
3日前
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ジャニス・ジョプリン

「27クラブ」とも言われるほど、才能あるアーティストは二十七歳で亡くなる例が多い。ジャニス・ジョプリンも、一九七〇年、 薬物の過剰摂取により、 二十七歳で亡くなった…

佐藤涼子
4日前
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塔四月号作品2山下洋さんの選歌欄から五首選

塔四月号作品2山下洋さんの選歌欄から五首選んでみました。 マスターは新成人の吾のためコルトレーンの曲を選びし   佐藤裕扇さん 引き留めることはパワハラいつだっ…

佐藤涼子
4日前
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塔四月号作品2前田康子さんの選歌欄から五首選

塔四月号作品2前田康子さんの選歌欄から五首選んでみました。 たいていはつまらないもの入ってる小さな缶を耳元に振る   谷口富美子さん あやまって流した蕎麦をシン…

佐藤涼子
4日前
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塔四月号作品2小林信也さんの選歌欄から五首選

塔四月号作品2小林信也さんの選歌欄から五首選んでみました。 電飾も取りはらはれて木にもどりわさわさ枝を揺らして冬木   臼井均さん 靴音の乾く深夜は青ざめて今日…

佐藤涼子
4日前
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塔四月号作品2山下泉さんの選歌欄から五首選

塔四月号作品2山下泉さんの選歌欄から五首選んでみました。小路口さんは石川県在住です。 不便なく生きる吾への励ましに後ろめたさもそれでも響く   小路口忍さん 焼…

佐藤涼子
9日前
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塔四月号作品2梶原さい子さんの選歌欄から五首選

塔四月号作品2梶原さい子さんの選歌欄から五首選んでみました。佐藤さんはそこそこ飽きてきていると読みましたが、どうなんでしょうね。 黙る、には言いたいことがあると…

佐藤涼子
9日前
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塔四月号若葉集から五首選

塔四月号若葉集から五首選んでみました。 深皿へ積み木のやうに具を並べおでんはちさき町となりたり   小金森まきさん ありふれた刺し傷として祝日のおまえの頬に木漏…

佐藤涼子
9日前
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塔三月号月集から五首選

塔三月号月集から五首選んでみました。荻原さんのは一首単位ではなく一連で読んだ方が良いと思います。 なぜならと理由にならないこと言いて時計のように過ぎる秋の日  …

佐藤涼子
11日前
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塔三月号作品1前田康子さんの選歌欄から五首選

塔三月号作品1前田康子さんの選歌欄から五首選んでみました。 「赤ちゃんが乗っています」という黒い軽が果敢にコーナー攻める   田村龍平さん 公園でベンチみっつに…

佐藤涼子
11日前
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塔三月号作品1花山多佳子さんの選歌欄から五首選

塔三月号作品1花山多佳子さんの選歌欄から五首選んでみました。 霜月に父を亡くしてその日付暗証番号として生きおり   澤端節子さん 手づくりのカメムシ取り器を携へ…

佐藤涼子
2週間前
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塔三月号作品1梶原さい子さんの選歌欄から五首選

塔三月号作品1梶原さい子さんの選歌欄から五首選んでみました。 布製でも良かったかもなこの軀しょせん魂の着ぐるみならば   逢坂みずきさん 今日さまざまに話をした…

佐藤涼子
2週間前
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塔三月号作品2真中朋久さんの選歌欄から五首選

塔三月号作品2真中朋久さんの選歌欄から五首選んでみました。 朝まだき野面の吐ける息深く堆肥場までを一歩ずつゆく   渡部ハルさん もう二年になるね、と色褪せた壁…

佐藤涼子
3週間前
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塔三月号作品2三井修さんの選歌欄から五首選

塔三月号作品2三井修さんの選歌欄から五首選んでみました。ちなみに、私は来世があるなら水草がいいです。藻とか、花が咲かない地味なやつ。 討ち入りの映画に見たる藩札…

佐藤涼子
3週間前
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塔三月号作品2山下洋さんの選歌欄から五首選

塔三月号作品2山下洋さんの選歌欄から五首選んでみました。 きっともう会わない人に会うために一人の朝に髪を染めてる   中島奈美さん クリスマスのたび思い出すしゃ…

佐藤涼子
1か月前
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塔三月号作品2永田淳さんの選歌欄から五首選

塔三月号作品2永田淳さんの選歌欄から五首選んでみました。 どこにでもあるベッドタウンとしていつか滅びる場所に住むひとぼくは   宮本背水さん 薔薇がしゃべる薔薇…

佐藤涼子
1か月前
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塔四月号作品2村上和子さんの選歌欄から五首選

塔四月号作品2村上和子さんの選歌欄から五首選んでみました。選んでおいてなんですが、自販機の中のお茶とかコーラとかコーヒーってそんなにいつまでもないですよね。

あたたかき冬の硬度は白めなう朝のひとさし指に招きぬ   森山緋紗さん

自販機の中で百年眠りたいお茶とコーラとコーヒーと共に   西村鴻一さん

どうせなら会える人のことを思い出し、そしてあたらしい布巾をおろす    榎本ユミさん

障害を

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ジャニス・ジョプリン

「27クラブ」とも言われるほど、才能あるアーティストは二十七歳で亡くなる例が多い。ジャニス・ジョプリンも、一九七〇年、 薬物の過剰摂取により、 二十七歳で亡くなった。

 ジャニスと言えば、天才シンガー、女性初のロックスター、ヒッピー文化のアイコン等の華やかなイメージが強い一方、彼女の妹の手記によると、元々は内気で恥ずかしがり屋で絵を描くのが好きな少女だったとされる。「ドラッグ セックス ロックン

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塔四月号作品2山下洋さんの選歌欄から五首選

塔四月号作品2山下洋さんの選歌欄から五首選んでみました。

マスターは新成人の吾のためコルトレーンの曲を選びし   佐藤裕扇さん

引き留めることはパワハラいつだって法令遵守の上司であった   山河初實さん

母の名を記すたびふぶく桜ありて四月に印を捺したのは、わたし   小野まなびさん   記す=きす 印=いん

どうしても言えない罪がひとつあり椿の枝が目障りだった   朝野陽々さん

瓦礫とう

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塔四月号作品2前田康子さんの選歌欄から五首選

塔四月号作品2前田康子さんの選歌欄から五首選んでみました。

たいていはつまらないもの入ってる小さな缶を耳元に振る   谷口富美子さん

あやまって流した蕎麦をシンクから拾い上げればまだあたたかい   瀧川和麿さん

被扶養者と書かれし青い保険証しばしみつめる冬晴の朝   阪口和子さん

すいとんがスープのなかを踊りゆく、あ、ぼくはまだ泣いてゐたのか   宮本背水さん

捨てるための理由をさがすぐ

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塔四月号作品2小林信也さんの選歌欄から五首選

塔四月号作品2小林信也さんの選歌欄から五首選んでみました。

電飾も取りはらはれて木にもどりわさわさ枝を揺らして冬木   臼井均さん

靴音の乾く深夜は青ざめて今日のわたしを使いきること   鈴木精良さん

気を抜くと真顔になってしまう癖ガールズバーで教えてもらった   峠秋太郎さん

色弱の検査の如く製作所社名が錆びた看板に見え   八鍬友広さん

目の具合はその後どうですか少しくらゐぼやける方

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塔四月号作品2山下泉さんの選歌欄から五首選

塔四月号作品2山下泉さんの選歌欄から五首選んでみました。小路口さんは石川県在住です。

不便なく生きる吾への励ましに後ろめたさもそれでも響く   小路口忍さん

焼け落ちた家の天井に穴開きて白雲ゆっくり流れていたり   桝田紀子さん

小匣には片割ればかりのイヤリングなくした方の耳の痛さよ   若山雅代さん

傷口から芽吹きを見せるサボテンが引き籠もる子の本棚にあり   富田小夜子さん

月のよう

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塔四月号作品2梶原さい子さんの選歌欄から五首選

塔四月号作品2梶原さい子さんの選歌欄から五首選んでみました。佐藤さんはそこそこ飽きてきていると読みましたが、どうなんでしょうね。

黙る、には言いたいことがあるときと言いたいことが無いときがある   永井駿さん

やらないといけないことをやりがいの類義語として夜の校舎を    鈴木健示さん

移住して野菜作りにパン焼きに焚火にサウナ飽きてたまるか   佐藤隆さん

乾きやすい頬を真冬に晒しつつ歳の

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塔四月号若葉集から五首選

塔四月号若葉集から五首選んでみました。

深皿へ積み木のやうに具を並べおでんはちさき町となりたり   小金森まきさん

ありふれた刺し傷として祝日のおまえの頬に木漏れ日のさす   石田犀さん

落雁に聖母マリアの顔があり舌で溶かすと消える凹凸   藤田エイミさん

時間が栄養だつたあのひととわたしが果実だつたころには   藤田ゆき乃さん

初七日に冷凍庫から母のカレー見つけて父はまた凍らせる   

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塔三月号月集から五首選

塔三月号月集から五首選んでみました。荻原さんのは一首単位ではなく一連で読んだ方が良いと思います。

なぜならと理由にならないこと言いて時計のように過ぎる秋の日   山下泉さん

楽しくもしんどくもない六十代はじめの髪を染めにゆくなり   なみの亜子さん

人ごみのごみとはごみのこととゆめ疑わぬわれに初潮来し冬   朝井さとるさん

偉い人に自分の人事を頼んだというひとの口見ないで食べる   荻原伸

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塔三月号作品1前田康子さんの選歌欄から五首選

塔三月号作品1前田康子さんの選歌欄から五首選んでみました。

「赤ちゃんが乗っています」という黒い軽が果敢にコーナー攻める   田村龍平さん

公園でベンチみっつに区切られてそのひと切れにわれはおさまる   垣野俊一郎さん

この頃は尖りを知らぬ鉛筆に止め撥ねもなく帳簿書きゆく   橋本恵美さん

差し色を赤にしながら生きていくコンビニ寄ってばっかな冬も   上澄眠さん

方舟に招かれなかったもの

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塔三月号作品1花山多佳子さんの選歌欄から五首選

塔三月号作品1花山多佳子さんの選歌欄から五首選んでみました。

霜月に父を亡くしてその日付暗証番号として生きおり   澤端節子さん

手づくりのカメムシ取り器を携へる仲居につづき部屋に着きたり   友田勝美さん

ひと束のふるき手紙に火を放つ霜月十日まだ夢はある   澄田広枝さん

身体というものに馴染めずオカリナの右手の小指の穴塞げない   はなきりんかげろうさん

街灯が心臓のやうに灯りをり銀

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塔三月号作品1梶原さい子さんの選歌欄から五首選

塔三月号作品1梶原さい子さんの選歌欄から五首選んでみました。

布製でも良かったかもなこの軀しょせん魂の着ぐるみならば   逢坂みずきさん

今日さまざまに話をしたる唇をおもいだすかな夜の孤食に   徳重龍弥さん

枯れ菊にまだ香のあればアドベントリースに挿しぬ十輪が程   清田順子さん

私はロボットではありません椰子の木選べば承認される   佐原亜子さん

温かいお茶を飲んだら「死にたい」は「

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塔三月号作品2真中朋久さんの選歌欄から五首選

塔三月号作品2真中朋久さんの選歌欄から五首選んでみました。

朝まだき野面の吐ける息深く堆肥場までを一歩ずつゆく   渡部ハルさん

もう二年になるね、と色褪せた壁紙のように見ている戦争   谷口結さん

目を閉じてまぶたのうらに見えるのはわたしの奥の市松模様   由本慶子さん

君の肌の綺麗さにおののく吾は沖に流される舟のようです   故太田愛葉さん

マヨネーズに背中をあずけケチャップの声援を

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塔三月号作品2三井修さんの選歌欄から五首選

塔三月号作品2三井修さんの選歌欄から五首選んでみました。ちなみに、私は来世があるなら水草がいいです。藻とか、花が咲かない地味なやつ。

討ち入りの映画に見たる藩札にとても似てゐる市民クーポン   山縣みさをさん

来世があらば雑草がいいとふ青年の画面の中のやはらかな髪   有澤裕紀子さん

内診台から降りる度に失ってゆく眩しかる女子という時代のこと   小野まなびさん

カワックを使うつもりで浴室

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塔三月号作品2山下洋さんの選歌欄から五首選

塔三月号作品2山下洋さんの選歌欄から五首選んでみました。

きっともう会わない人に会うために一人の朝に髪を染めてる   中島奈美さん

クリスマスのたび思い出すしゃがれ声チバユウスケのいないこれから   仲原佳さん

焼印の「祝」の文字濃く捺されたるまんぢゆうを買ふ菊花展にて   小平厚子さん

やがて土に還りますとう立札を二度三度読む倒木の前   山口淳子さん

言の葉の無き関係でいることのただ

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塔三月号作品2永田淳さんの選歌欄から五首選

塔三月号作品2永田淳さんの選歌欄から五首選んでみました。

どこにでもあるベッドタウンとしていつか滅びる場所に住むひとぼくは   宮本背水さん

薔薇がしゃべる薔薇には舌が何枚もあるからいつまでも飽きないで   田村穂隆さん

ただ一日海の深みの静けさにくるみて君を熟睡させたし   沢本ひろみさん

透きとほるアガパンサスのむらさきにしみてゐるらむ画家の吐息は   染川ゆりさん

フォーゲットミー

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