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手放さない、美徳。

必要最低限の”モノ”だけで暮らす。

「 ミニマリスト 」

数年前に突如として現れた、新しい価値観。
断捨離、整理整頓に励まれた方はきっと大勢おられたはず。

私もそのひとり。
モノで溢れた暮らしに嫌気がさし、もういっそ全部無くしてしまえばいいんじゃないかとすら思った20代半ば。モノに固執している自分がカッコ悪いような気がして、あらゆるものを手放した。

段階を踏んで、勢いよく、ときには慎重に。

そうしていくと、すっきりはする。

が、どこか心はポカンとする。

何も要らないと思った、けれど、何が必要かわからなくなった。



「この雑誌知ってますか?」

携帯の画面を見せながら、隣の席の林さんに声をかけた。

数ヶ月前から建築関係の学校に通っている。
設計課題のため、インターネットや雑誌からたくさんのエッセンスをいただきながら、想像を膨らませている。建築好きの林さんならきっとご存知だろうと思い、そう聞いてみた。

「知ってるわよ。好きな雑誌。」

「素敵ですよね!」

「何十年も昔に、コレクションと思って、集めたものが家にあるの。」

「わ〜プレミアムものじゃないですか✨」

やっぱり、林さんならわかってくれると思った。それ以上に、年十年も前のコレクションを大切に残されているなんて、、うらやましい、という気持ちにもなった。

リビングに置いてパラパラ読んでもいいし、オブジェとして本棚に陳列させてうっとり眺めるのもいい。そこにある、という存在感だけでどこか心が満たされるのだろう。



私も過去に、大切にしている雑誌があった。
TRANSIT』という、旅行誌。

一冊の雑誌に対して、取り上げる国はだいたいひとつ。あれもこれもではなく、限られた国や派生する文化に特化して特集されている。『地球の歩き方』よりも、一歩二歩踏み込んだ内容、その国の”今”が描き記されている。雑誌を通して、活きた時間を味わうことができ、私はその瞬間が大好きだった。

何冊か、自分好みの刊号を揃えていた。それこそじっくり読み込むのも、部屋にそれがあるというだけでも、心がぱーっと熱くなった。

当時1冊2000円ほどで、大学生の自分には決して安くはない出費だったが、どうにかして自分のワンルーム城に持ち帰りたい、そういう衝動に駆られた。


あんなに愛情深くコレクションした雑誌たち。

残念なことにもう私の手元にはない。何度も何度も読み込んだので、手放してもいいのかもしれないと思った。分厚くて重いそれが、自分の重荷になるような気がして。


今でもたまに読みたいな、と思う。
あの刊号の、あのページに、浸りたい、と思う。

バックナンバーから購入はできる。kindleで持ち歩くこともできる。

だが、そうではないのだ。
あのとき、あの瞬間に手にした、コレクションだから、欲しい、と思う。


モノに固執するな、

何度も自分に言い聞かせた。


モノには執着していない。

手放せないのは、きっと想い出のほうにある。


かつての疑問の答えが、分かったような気がした。


必要最低限の”モノ”だけで暮らす。

引っかかっていたのは、”最低限”とか”だけ”とか。
どこかネガティブに感じる言葉。

余計と思うものから、アイディアが生まれたり、
遠回りと感じることから、自分なりの答えが見つかったりする。

最短で生きようなんて思わない。
必要でないモノは、言われなくても、とっくに手放している。

+αを求めてもいい。

そこに、自分なりの”美徳”が生まれるのなら、なおさら。





*おまけ*

僭越ながら、私のコレクションの紹介ですm(._.)m

🔸美術展図録

分厚いし重いし体積とります。
それでも手元に置いときたい。
慎重に厳選してちょっとずつ。

🔸美術展パンフレット

大学時の教授の影響、どっぷり。
真ん中はパリ開催のFOUJITA展。
同じ展示が異なる時期に、異なる会場で見れる至福。
京都展の時、チケット売り場に並んでいたら見知らぬおばさまにチケットを頂いたんだよなあ、、。自慢ですが、私このような経験が人生で3回ございます(えっへん)。
左手は、最近のモネ展。観に行かれた方も多いのでは??
10月にもモネ展が開催予定です♪楽しみですね~✨



🔸映画パンフレット

10年ほど前のものです。
パッピーなエンドだけではない、ふわふわっと終わる映画が好みです。
右側、昨日ちょうどこのような記事を書いたなあ。
人生はマラソンなのです、そうなのです。


🔸ポストカード

モネの連作。『ルーアン大聖堂』
左から、『朝』『昼』『夕』。
オルセー美術館にて、本物に出会えます♪
ショップカードや企画展のあれこれ。
かわいいものを収集しがち。
「おとぎもの。かくれもの。」くぅ~

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