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【最近は、こんな感じ】 そういうふうに伝えていく。

上海で生活する女の子たちの日常って?
ファッション、メイク、食べもの、よく行くお店。あと、普段考えていること。悩んでいること。そして目標。
そんなあれこれを、同じ目線で聞いてみた。
@mie_shanghai

19 王小宝

<Profile>
王小宝(ワン・シャオバオ)
生まれ年:1989年
出身:江蘇省蘇州市
職業:新聞記者
Ins @ doc.sunshine
小紅書 @王小宝

『mie Shanghai』を取材してくれた
中国メディアがいた。
担当してくれたのが王小宝さん。
唐揚げが好きで、
いろんなことを知っていて、
おもしろ過ぎたから、
友達になりたいと思った。


――新聞記者なんですね。すごい。
王小宝 2016年にインターンとして『澎湃新聞』(ウェブをメインとした中国のニュースメディア)に入り、今に至ります。担当しているのはカルチャー系の記事と上海のプロモーションです。

――記者になろうと思ったきっかけを教えてください。
王小宝 もともと文章を書くのが好きだったというのもありますが、大学時代に英語を専攻していて、ボランティアでいろいろな国の人と関わったのがきっかけ。こういう体験をもっとできる職業に就けたら、と。取材のたびにいろいろな体験ができるし、誰かを取材することで第二の人生を体験した気分になれるところがこの仕事の魅力だと思っています。

――新聞記者になるのって難しいですよね。王さん、すごい優秀ですよね。
王小宝 いやいや、全然です(笑)。でも最近は採用も少ないし、中国は新聞自体が減っているので難しいと思います。ひと昔前までは紙の新聞とテレビがメディアの中心でしたが、今は違いますよね。

――あと、中国はメディアの中にいる人がみんな若いと思います。
王小宝 そうですね。日本だと記者はおじさんのイメージでしょうか。でもうちの会社はほとんど20代がまわしています。しかも半数以上が女性。国際ニュース、経済ニュースを担当する人は男性記者が多め、という感じですね。

“絵を描いたら、喜んでくれた”

――最近の取材で印象に残った人や出来事などはありますか?
王小宝 延慶路にあった創業37年の麺の店です。安いので儲けはほとんどないそうなんですが、近隣住民の支えで続けてこられたお店。でも、今年取り壊されることになってしまった。こういう、みんなが好きなローカル店がどんどんなくなってしまうな、と。上海の街は、変化が速いですよね。

今年春まで営業していた。2023年7月現在、店は既に取り壊されている
王さんが描いた営業当時の店先

――そうですね。あっという間に変わってしまう。
王小宝 で、そういうお店を残せたらと思って、個人的に取材で好きになったお店の絵を描いているんです。もちろん、仕事とは別で。その麺のお店のオーナーさんにも、取り壊し前に店先の絵を描いてプレゼントしたんですが、「移転先が決まって再オープンしたら店内に飾りたい」と、とても喜んでくれた。うれしかったですね。上海のお店の絵は、自分の取材記事とともに本にして出せたらとも思っています。そういうふうに、上海の魅力を伝えていきたいんです。

――すごいと思います。絵も描けて……。しかも実は日本語も完璧で。
王小宝 2013年から6年、留学も含めて東京にいました。専攻は英語だったのですが、イギリスやアメリカは学費が高くて(笑)。あとは、セーラームーンやジョジョなど、小さい頃から日本の漫画が大好きだったので。

――留学して、どうでしたか?
王小宝 日本の第一印象は、きれい、モダン、現代的でした。みんなマナーを守るし、礼儀正しいけど、でも、あの、正直、同年代の日本人と友達になるのは難しいなと思いました。なんか、近づき難かった。あまり近い関係になる人はいなかったな。でも、お年寄りはみんな親切だった。旅先で出会う人も。あと、母の知人の関係で紹介してもらったご夫婦は、京都在住なんですが、いつもご飯に誘ってくれたり、通訳の仕事を紹介してくれたり、とてもお世話になりました。

“上海市的には「一江一河」”

――では、上海での生活について。洋服とかは普段どこで買いますか?
王小宝 『niko and…』です。日本にいたときから。Tシャツはユニクロかな。上海って、スリムじゃないと着られない服が多い。でも日本のブランドはオーバーサイズ、フリーサイズが多くてみんなが着られるイメージ。今日も『niko and…』です。

――最近ハマっていること、気になることはありますか?
王小宝 セルビア語。勉強中です。ベオグラードと上海が姉妹都市で、今年その20周年なんですよね。あと、セルビア人と中国人のカップルに最近知り合ったのと、上海にでき始めたセルビアのカフェチェーン『PAPITO』で、「セルビアって、クレープの文化があるんだー」と初めて知ったり。あまり知られていない国だけど、興味が湧いてしまって。語学の勉強をすると文化もわかるのでおもしろいですよね。

――王さんは上海のプロモーション記事の担当でしたが、上海はカフェ文化で推していく、みたいな流れはありますか? カフェの軒数は昨年世界一の都市になりましたよね。
王小宝 そうですね。それもあると思いますが、上海市としては「一江一河」を推していくみたいです。「江」は黄浦江、「河」は蘇州河です。上海市内を流れる代表的な2本の川で、その川沿いの文化を観光資源にしていく、ということみたいですね。特に蘇州河沿いは整備が進んでいて、今すごくきれいですよね。

――最後に、今後やってみたいこと、目標はありますか?
王小宝 先ほども言いましたが、自分の本を出すこと、海外の人に上海の魅力を伝えていくことです。あとは、また日本に行きたいな。もう一回行きたいのは四国。瀬戸内海の風景が大好きなんです。2017年にアートフェスに行ったのですが、時間がゆったり流れていて、作品もおもしろくて。また行きたいですね。
(取材日:2023年5月28日 撮影地:延慶路〜新楽路)


<彼女のお勧め>

『知汝食堂』(上海市黄浦区進賢路198号)
☆ナポリタンやオムライスなど、日本風のカフェメニューがどれもおいしい。特に唐揚げ入りのカレーが好き。

『PAPITO』(上海市徐匯区長楽路1035号 ※ほか支店3店舗)
☆パラチンケ(セルビア式クレープ)のお店。ヌテラなどを使った甘いクレープも、野菜系の甘くないものもどちらもおいしい。


text
萩原晶子
フリーライター。上海にて2007年頃よりガイドブック、ファッション誌、機内誌、ウェブなどの記事を手がけている。
カルチャー誌『Ketchup.』(上海と東京で販売)など。
ins:@hagiwara_akiko_
微博:Akiko06

photo
阿部ちづる
2006年にフォトグラファーとして独立。ファッション誌、ビューティー誌、週刊誌、写真誌等のグラビア、ポートレート写真を撮影。アイドルグループやグラビアモデルからのアーティスト写真撮影で指名されることも多く、女の子の新鮮な表情を切り取る。
佐々木希『ささきき』(集英社)、武田玲奈『Rena』(集英社)ほか多数。
ins:@chizuru0821
https://lov-able.com/photographer/chizuru-abe

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