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恐竜

恐竜

幼い頃、大きな口を開けたこの恐竜が怖かった。
階段や机の上、玄関先やトイレの前。いろんなところにこいつがいて、僕を睨みつけていた。微動だにしないくせに、なぜかこっちを見ている気がして、僕が近づくのを静かに待っているように、僕が近づけばいつでも噛みつけるように、じっと、ただじっとこいつは立っていた。

ママが言うんだ。「そこには行かないでね」って。
ママが言うんだ。「そこは危ないよ」って。

僕はい

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ハロウィンの夜に

ハロウィンの夜に

 ぽつり、ぽつりと雨が降ってきた。予報外れの雨に打たれながら、秋月は家路を急ぐ。街には街灯がともり、行き交う人たちも早足で駆けていく。きっと今頃は、こんな雨の中でも、渋谷ではしゃぐ若者たちがニュースにでもなっているだろう。なんといっても今日はハロウィンだ。最近は、仮装をして街を練り歩く人たちも増えてきた。もちろん、会社帰りで急いでいる秋月には縁のない話だ。

 ふと何かの視線に気づき、足を止め道の

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