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父と娘の珍介護道中(日記的エッセイ2010〜2022) 時々、母のこと、故郷のこと、自分のこと EP25

エピソード25
何があっても愛を送ろうと自分に言い聞かせる

2018-07-12

「みほちゃん、また目がちょっとめーなくなっちゃった」と父が言ったのが1ヶ月ほど前。昨年白内障の手術をしてもらった東海大に急いでかかったら、網膜下出血との診断。
「でも、もう出血は止まってるようだから、また3週間後に様子見せてください」とのことで、今日も連れて行った。

幸い前回から広がりはなく、このまま出血は吸収されるでしょうと先生。
「出血の原因はわからないけど、動脈瘤の破裂とかあるかもね」とも。
そんなこと軽く言われても心配になるだけだわさと思ったけど、サラッと小さい声だったので、父には届いてなかったようで、ホッ!
ということで、また2週間後の予約をして帰ってきた。

お待ちかねのお昼は、ららぽーと湘南平塚の「あぶりや」で海鮮丼。
久々に飲むあら汁が美味しかったようでおかわりしてはりました。
検査で両目瞳孔開いてたから、移動はきっと疲れたことでしょう。
でも、車椅子で通るららぽーとの東急ハンズの品揃えにワクワクしたようで、
「よく書けるボールペンを買いたい」と2本お買い上げ。
こういう刺激も大事だね。

2018-09-28

やっとお天気。大量の洗濯物をやっつけて、父のご機嫌伺い。
出発する前「薬の行き違いがあってね、見てくれる?」と電話があったので、
ああ、またこの薬が合わないとか強すぎるとか神経質なこと言い始めるかなぁとちょい憂鬱だったけど、
東名走ってる間「何があっても愛を送ろう」と自分に言い聞かせて行った。

そのおまじないが効いたのか、到着したら「問題解決」と笑顔。
どうやら次の病院の日まで薬が足りない気がして不安になったらしい。
それを知ったケアハウスの看護師さんが、管理してる薬を全部数えてくれて、
足りることを確認してくれたのだそう。ありがたい!

その足で、手作り小物をやっている大磯のマブダチの実家へ。
ウチ同様、ここもほぼ無人になっているんだけど、それをきれいにして、今日は彼女のコネクションのいろんな作家さんも出品する展示会が行われている。
彼女は今、親戚含めて今4人の介護で忙しいのに、元気に頑張ってて逞しい。
で、オマケにもらった煎り豆が、先日テレビでも紹介された店のものらしく、
「みほんちのホントそばだよ」というので、散歩がてらその店にも行ってみた。

本当に実家から百歩くらいのところにそれはあった。
4年前から地味にやっているというお若い女性店主さんは、北海道出身で、自分の大好きな北海道のお豆を広めたくてお店を始めたのだとか。
ご夫婦でサーフィンもやるので時折大磯に来ているうちに気に入り、川崎から移ってきたそう。
大磯出身者としてはなんだかうれしい。

テレビで紹介されたというお豆のピクルスは売り切れていたけど、「味見はできますよ」と奥からわざわざ出してきてくれてた。
あえて固めに茹でられたお豆のピクルスは、酒のつまみにもいい感じ。
今回は、雑穀的にお米と一緒に炊飯器に入れて炊くビーズのような小さなお豆を買った。100g220円!

お店には、またべつの友人が作っている素敵なフリーペーパー「海の近く」も置いてあって、なんかつながるつながる。
散歩中知っている人たちの家が、ここもあそこもというくらいなくなっていて切なくなったけど、こういう新しい出会いもあるのね。
それが人生ね、と、ちょっとしみじみした次第。

2018-10-26

「何着ていいかわかんなくなっちゃった」との電話で、足りない冬物をいろいろ揃えて父の衣替えに。
自分のはまだだけど、急に朝晩冷えるようになったから、そりゃ急がねばと。
で、着いたら待ち構えてたように「失敗しちゃってさ」と父が困り顔を向けた。
理由を聞けば、「朝から咳が出ちゃったから、パブロン飲んじゃった。そしたら注射はダメだって」。

そう、今日はケアハウスで申し込んだインフルの予防注射の日だった。
でも、パブロン飲んじゃったから、看護師さんから「打てません」と言われちゃったんだね。はいはい。
んじゃ、3ヶ月に一度通ってる病院に連絡してして、次に行く日に打ってもらえるよう予約しまひょ。
ちょっと割高になるけどしゃーないね。

んなやりとりをして、最近の出来ごとを話してたら、
意表を突いて小さな仏壇を買う(おそらく弟の家に置いてもらうため)という話が飛び出した。
実家は無人なので、自分が亡くなったらお参りしてくれる人がいないのは困るからと言う。
91歳にならんとしている人に「そんな先のこと考えてるの?」と返したら
「先のこと考えないとしょうがないよ」と恬淡。
うーん、何か思うところがあってのことなのだろうか。
これもまた父の未来志向と解釈しました。

そのあと、毎年の年金申告の郵便を取りに実家に行くと、住む人のいない家は息をしていないよう。
月2くらいで来てくれてた叔母がこの5月に亡くなり、私や弟が時々来ているとはいえ、せいぜい2ヶ月に一度くらい。
如実に朽ち果てた感じになっていて、なんか寂しさと申し訳なさが募った。
雑草や落ち葉をちょっと片づけるも、作業中プラスチックのちりとりが崩壊。
時間は止められないのね~。

でも、先日知り合った近所のお豆やさん「maru庄屋」で、
女性店主さんと話して、お豆のピクルスとご飯に混ぜるビーズのようなお豆を買って、ちょっと心が温まる。
これまた近所の同級生のなべたくん(田辺くん)ち「よろずや」さんでポテサラ購入。ちょうどいたなべたくんに聞いた地元の同級生の話に、いろいろ驚いた。
今日から3日間「大磯うつわの日」が開催されていていることも。
そういえば、さっきパンフ片手に歩いている人たちを見かけたなと。
知らない間に大磯に育ちつつある新しい文化にヘェ~! ホォ~! の連続。
後ろ髪引かれつつ、ああ仕事が待ってると帰路を急いだのでした。

2018-11-02

父の御ご機嫌伺いに行ったら、ハロウィンの可愛い名残が。
ケアハウスの人が毎年手作りで小さなバスケットを作ってくれて、そこにキャンディを入れてくれる。
それを狙って、隣接する保育園の小っちゃな子どもたちがやってきて、「トリックオアトリートー!」と言うと、知らないおじいちゃんがそのバスケットのキャンディをくれる。そんな図式になっております。

何年か前偶然その現場を目撃したけど、わけもわからず一生懸命大きな声を出す子どもたちにホントに癒された。
「最近できたお祭りらしいね」と父は言うてはりました。
こういうハロウィンならいいね! 

海鮮丼にご満悦、お豆屋さんのビーズみたいなお豆、ハロウィンバスケットと

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