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秋の落としもの (150字ショートショート)

朝の参道に、なにか白い欠片が落ちていた。
 
かき氷の容器だろうか。
それとも誰かが落とした綿飴か。
昨晩はこの夏最後の縁日だった。
 
澄んだ秋風がすり抜けた。
それがふわりと舞い上がる。
 
目で追えば、天蓋を覆う鱗雲。
 
端に小さな穴―― 鱗が1枚欠けている。
 
そこに白い欠片はぴたりと嵌まり、鱗雲は高い空をゆったり泳ぎはじめた。



季節のなかでは初秋が一番好きです。一年中、秋の国に住みたい。
もう人生で何十回も秋を経験しているはずなのに、毎年この時期になると「嘘っ、この時間でもう真暗!?」と、必ず驚くのは何なんでしょうね~。

この作品は『自由研究』に引き続き、Web Novel Labo 様のトップページに掲載して頂きました。(2022年9月初) 
管理人の蜂賀三月さんご自身も文筆家なので、物書きが本当に欲しい情報を精査して掲載されています。小説を発表したい方・応募したい方には、本当にお薦めのサイトです。


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