そう思ってずっと生きてたかも
ふとそのことを思い付き
考えを巡らせていたら

「良くなんかならなかったのにね」
と気が付く

いつかは母が
私をちゃんと見てくれて
大事にしてくれて
受け入れてくれて
優しくしてくれる
そんな密かなささやかな願いを
ずっと持っていたのだと
それを持ってそのときを
ずっと待っていたのだと
急に実感が胸に来た

頭ではずっと解っていた
だからそうされなかったことに
怒りを持ったし
実際に本人に何度となくぶつけたし
後にはその怒りの納め方も会得した

そうじゃない感覚的なところで
つらかったと
さびしかったと
むくわれなかったのだと
叶わない夢だったのだと
待っていたのだと
そして
どうしようもなく独りだったのだと

既に独りではない確信がある今
昔の自分のたくさんの傷の存在を
感じている

「後で良くなるように」
そう思ってずっと待っていて
ずっと頑張ってきて
待っていることすら忘れていたのだと
そのことに呆然としている