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#翻訳 LGBTQについて知るべき5つのこと

6月はNYでプライドパレードが開催されましたが、パレードが終わると意識が日常へ戻ってしまうもの。Fast Companyが解説している、今日のセクシャルマイノリティを取り巻く課題についての記事が勉強になりました。

原文:
5 LGBTQ issues that need the same energy you just gave Pride Month

LGBTって聞いたことあるけど、LGBTQIAって何だろう?という方はこちらの記事が分かりやすかったです。
http://jobrainbow.net/whatislgbtqia

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LGBTQについて知るべき5つのこと

ニューヨーク市にて、先日ワールドプライドが開催された。今回のワールドプライドは、ストーンウォール事件から50年記念と合わせて行われた。ストーンウォール事件とは、ニューヨークのストーンウォールインというバーに警察の手入れが入った際にLGBTQ+の人たちが抵抗した事件を指し、結果としてゲイとトランスジェンダーについての現代のムーブメントのきっかけとなったものである。このパレードは、何百万人もが参列し、このLGBTQA+のコミュニティがここまで来た事を祝った。写真家はこの祭典で良い写真をたくさん撮った。しかし祭典が終われば、このきらめきはぬぐい払われ、テクニカラーフラッグが下げられ、人々は6月のエネルギーを他の月と同じくらいにしてしまう。

(訳注)ワールドプライド
セクシャルマイノリティのパレードイベントを指し、毎年の恒例行事として世界の主要都市で開催されている。プライドパレードとも言う。

ここに、全員が注目すべき5つのLGBTQIA+の問題をあげよう。

1.黒人のトランスジェンダー女性に対する暴力

今年だけで少なくとも11名の黒人トランスジェンダーの女性が殺害されており、残忍でしつこいパターンが蔓延していると米人権NGOヒューマン・ライツ・キャンペーン財団は報じる。Human Rights Watchによると2017年以降、およそ65名のトランスジェンダーの人々(ほぼ全員が有色人種女性だ)がアメリカで殺害されている。トランスジェンダーの女性の平均寿命が30~35であるのも少しも不思議ではない。

人種と性自認の脆い交差の上に存在する黒人のトランスジェンダーの女性は、間違いなく社会で最も軽んじられているグループであり、LGBTQIA+コミュニティの中でさえそうである。National Center for Transgender Equalityによる最近のレポートでは、25の最大のアメリカの警察部門の間で"失敗が普及している"ことにより、トランスジェンダーの人々を守るためにポリシーが変更されたり更新されたりしたと報じる。同機関の2015年の調査によると、58%のトランスジェンダーの人々が警察から虐待された経験を持ち、17%の黒人トランスジェンダーが、逮捕を避けるために性的な行為を強制されることも含め、警察から物理的かつ性的に虐待を受けている。

今年のプライドパレードでさえ、黒人トランスジェンダーの女性が彼女の姉妹が殺害されたことを主張するためにドラッグクイーンのパフォーマンスを遮りった時には、白人やシスジェンダーゲイの集団からの不満とヤジがあふれ、ストーンウォールインでの緊張は爆発寸前であった。もし有色人種のトランスジェンダーが女性が自分の意思を表明できるコミュニティの中でさえ保護および支援されていないのであれば、他のどこにケアしてくれるはずの場所があるのだろうか?

(訳注)シスジェンダー
性自認(自分で認識している性)と身体的性(身体構造上の性)が一致している人。トランスジェンダーではない人。

2.職場での差別

今年の4月、最高裁判所は市民権法が性的指向や性自任をもとに仕事の差別をすることを禁じるべきかどうかの裁判について控訴を認めた。Apple, Amazon, Alphabet, Facebook, Microsoft, Nike, Uberを含む200以上の米企業が、どんな差別も有害であるというアミカス・キュリエの主張を支持した。

(訳注)アミカス・キュリエ
個別事件の法律問題について、裁判所に情報または意見を提出する第三者。法廷助言人とも言われる。
アミカス・キュリエには、裁判所からの要請や許可を得た個人・組織がなり、裁判所に意見書を提出したり、口頭で意見を述べる。

この裁判の中心となる点は、企業は従業員に対し性別や人種、肌の色、出身国、宗教による差別を禁止する、1964年に定められた公民権法7章である。最高裁判所は、これらの権利が性的指向や性自認にまで拡張されるかを判断する必要がある。

3.健康管理の権利

トランプ政権は今年の政策として、オバマケア(医療保険制度改革法)によって守られてきたトランスジェンダーの人たちの健康保護を無効化する予定であると発表した。保健福祉局から発表された提案は、第1557条で定められた差別の禁止のうち、性別による差別を撤廃することだ。2016年、この規制は性自認にまで、つまり、性転換手術まで拡張して適用されている。
現在トランプ政権はこの適用を廃止しようとしている。これについてGLAADは以下の声明を発表し、第1557条の重要性について強調した。

(訳注)GLAAD(グラード)
アメリカ国内においてLGBTの人々のイメージに関するメディアモニタリングを行っている非政府組織。

"繰り返すが、アメリカの人々は、ヘルスケアはただの人権ではなくアメリカ人そのものでもあると信じて疑ってこなかった。2018年の選挙で、ヘルスケアへのアクセスを厳しくするものではなく、よりアクセスしやすくなるものが選ばれていることも、ヘルスケアの権利がいかに重要な価値を持つかを実証する具体例である。しかしトランプ政権によるこの新しい規制は、推定150万人のトランスジェンダーの人たちを、彼らの命を救うであろう医者の処方薬や事前検査や治療から妨げることを優先している。規制を作ることで、トランプ大統領とその側近たちは自らの手を血に染めるということだ。"

4.国政調査の内容

トランプ政権下では、米国勢調査は性指向や性自認についての質問を2020年の調査から取り除いた。国勢調査では、もともと2013年から導入されていた、同居しているカップルについて、同性か異性かだけを質問することになる。民主党は、先日LGBT Data Inclusion 法案を再提案した。これは連邦調査にLGBTAIQ+コミュニティに関する質問についてより幅広いスコープを含めるよう求めている。

記者会見で、セーン・タミー・ボールドウィンはこう言った。
トランスジェンダーの人たちは、暴力の被害にあったり、健康の機会について不平等であったり、貧困を避けられないリスクがより大きい。国勢調査が2013年以降同性婚も家族の選択肢に含める質問をするなど、重要な前進を遂げている一方で、実際私たちはLGBTQの大半の人の社会的経済的環境についてほんの少ししか知らない。

LGBTQについての収集データが増大することは、政策立案者やコミュニティ関係者がこのような不平等を理解することを助け、どのような施策が必要なのかを識別しやすくなるだろう。これは私たちが攻撃されやすい人たちならではのニーズを把握し、有益な政策を以て応えるたに極めて重要だ。

5.経済的不平等

LGBTQの貧困についての共同研究によるレポートでは、安全でない食料や、不安定な住環境、雇用について分析された統計が載っており、LGBTQの人たちは同等の能力の人たちと比較して貧しくなりやすく、黒人・褐色人種のコミュニティはさらにそのリスクが高いとされる。

"黒人のトランスジェンダーの人たちの平均年収は1万ドルを下回る。"と、Trans Woman of Color Collectiveのエグゼクティブ・ディレクターであるルーデス・アシュリー・ハンターは言う。"黒人・褐色のトランスジェンダーの人たちは、不釣り合いに、国に認められた暴力の影響を受けている。その原因は、レズビアン、ゲイ、シスジェンダーを含んだ持続可能な社会経済の成長が欠如していて、圧倒的に白人が利益を受けていることに根差している。"

レポートの著者は他にも、2016年の研究を引用している。4人に1人のLGBTQ(およそ220万人)が自分や家族を養うのに十分な金銭を持ち合わせないという。