想いは巡る
先日、以前勤めていた養護施設を退所したこどもたちと、会う機会がありました。そのときに思ったこと、感じたことや、昔の記憶がいまへと繋がったことを言葉にしてみたくて、これを書いています。
すこし長くなってしまうかもしれません。
読みづらい部分もあるかもしれません。
もしよろしければ、お付き合いいただければと思います。
先生からもらったもの
時は遡ること十数年。
わたしが中学生のときです。
家庭の事情で精神的に参ってしまい、学校へ行けない日が数日、1週間、1か月・・・と過ぎていく状態で、そんなときに気にかけてくださっていたのが、当時の担任の先生。
登校できた日にはよく、時間がない中であるにも関わらず、話をする時間を作ってくださいました。話をする、といっても、わたしのほうから言葉を発することは少なかったので、一緒にいる、と言うほうが合っているかもしれません。
でも、その一緒にいる、ということが当時のわたしにとって何よりも安心できる時間でした。わたしと先生は境遇が似ていたこともあり、いつも、そっと、心に寄り添ってくださいました。
ある日、先生から
小さな鳩のキーホルダーをもらいました。
出張先でみつけたものなんだとか。
先生がいつも持ち歩いているペンケースにつけられているものとおんなじ。
なんだかやわらかくて、あたたかい毛布に包み込まれて、わっと泣きたくなるような、そんな気持ちになりました。
胸のあたりでぎゅっとしたくなる感じです。
それ以降、その小さな鳩のキーホルダーを肌身離さず大切にしていました。学校を卒業して、先生といられることはなくとも、キーホルダーを見れば、「先生が守ってくれている」そんな気がして。
先生とは社会人となった今でも、年賀状のやり取りは続いています。
近況を書いた年賀はがきを送ると、
「元気そうで安心しました☺」
と、綺麗な文字で書かれたはがきが届く。懐かしい気持ちと胸の奥があたたかくなるような感覚に包まれていきます。
私からこどもたちへ。
つい先日の話に戻ります。
こどもたちとの再会の日。
待ち合わせ場所へたどり着くと、先に到着していたこどもたちの姿がありました。(わたしが道に迷ってだいぶ待たせてしまいました…。)
ぴょんぴょんと弾みながらこちらに向けて手を振っています。
懐かしい面々に思わず顔がほころびました。
早いもので高校生だった子たちも、もうすぐ成人を迎える歳に。髪を染めたりして見た目は大人っぽくなった子もいましたが、変わらないしゃべり方や笑い方に当時の面影がありました。
「あ、これ~!」
その子のカバンに付けられていたマスコット。施設に勤めていた当時、一緒に外出した際におそろいで買ったものでした。
わたしが先生からもらった小さな鳩のキーホルダーを大事にしていたように、その子もずっとつけていてくれたのかなあ。あ、ただ単につけっぱなしだった、という可能性もありますが。笑
でも、そのマスコットを見ると、なんだか込み上げてくるものがありました。こどもたちとの再会を嬉しく思う反面、こどもたちが学校や施設を卒業するときに、そばにいられなかったこと。そのことが申し訳なく、後ろめたい思いでいました。
そんな心中でいるのをよそに、こどもたちは「どこへ行く~?」とわくわくしている様子。こどもたちの好きな場所へ行き、今のことや懐かしい話に花が咲いていると、時間はあっという間に過ぎてしまいました。
帰宅すると、スマホにこどもたちからのメッセージが入っていました。
「今日はありがとう!また遊びに行きたいです」
そんな風に思ってくれたんだ。
よかった。
「こちらこそ、元気な顔をみられて安心しました」
返事をするときに自然と出てきた、この言葉。
あ。
先生が年賀状に書いてくれた言葉と、似てる。
私はこどもたちのことをだいじに想います。
先生もこんな気持ち、だったのかなあ。
こんなふうに先生も、私のことをだいじに想っていてくれたのかなあ。
ありがとう、先生。
先生の想いは巡り、今度はわたしからこどもたちのもとへと、繋がりました。
これから先のこと。
どんなふうに生きていきたいか、どんな自分になりたいか、未来を思い描けずにいました。そして目先のことにとらわれて過ぎていく日々。
でもこの記事を書いていると
ひとつ、気が付きました。
以前書いた記事からの引用です。
この言葉は、わたし自身が歩んでいきたい道そのもの、だったんだ。
これからも
こどもたちに寄り添ってあげたいです。
自分にはこれくらいしかできないから。
そして、先生からもらった想いを忘れず、できたら誰かのもとへ届けられるように、生きていきたいです。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
貴重な時間を、ありがとうございました。
追記
小さな鳩さん。
もう傷だらけになってしまった。
いつも守っていてくれて
ありがとう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?