永井博本接写_v2_zeke



20年という月日は 長くもなく あっという間でもなく ”今” だった


*


やや太った俺は 容積が2倍位になった彼を見て
「誰だか分からなかった」という ただそれだけの事を
3回も まくし立て…

それでもまだ  この喜びが伝わっている自信が無く…

今度は自分の境遇を べらべらと
一方的に話し始めた


言葉はしゃぼん玉となり 雑踏に 弾けて 溶ける


何を話しているのか 自分でも分からなくなるほど 上気して
俺たちは 再会を祝った

”会えて うれしい”

1人 また1人  やって来る…


*


人の価値は、学歴や境遇や、収入格差で決まるものじゃない。


うまく話せなかったあの人と、
「うまく話せなかったよね、あの頃は」と、笑い合う…

子供が出来なかった彼は、
「でもそのおかげで、カミさんとメキシコ旅行に行けたんだよ」と、
遠回しに俺を元気づけてくれた。

だから俺は、
「最近、酒が止められなくなりつつある」と告白した
シングル・マザーのあの人が、酔っ払ってハグしてきた時、
全力で抱きしめ返した。

”大丈夫。そういうとこ、変わってないです!”

笑顔はあの頃のままだった。
俺も笑っていただろう。


*


街は見る影もなく 変わり果て

時計の針は ただ カチカチと


スクランブルの人混みを 泳ぎながら

頭は空っぽだった



”駅に着いたら、電車に乗ればいい”

ただ、それだけのことだ。

長い間、忘れていた気がする。

でも、それでいいんだ。




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ありがとうございます! (ノД`) 頂いたサポートは、いつの日かパンを、 パンが無ければお菓子を食べればよいので、 お菓子の専門学校で作り方を習う必要性、 そうなってくると学費とか交通費、 え、ちょっと待って下さい、 紙に書いて考え直そう、そうするとやはりパン、 いやペンか、ペ