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自己紹介① 〜特殊な学校とナッジ〜

挫折①

初めての投稿記事として、
私の避けては通れない原体験について、
皆さんにお話ししたいと思います。

皆さんは
「児童自立支援施設」という施設をご存知ですか?

児童自立支援施設(じどうじりつしえんしせつ)とは、犯罪などの不良行為をしたりするおそれがある児童や、家庭環境等から生活指導を要する児童を入所または通所させ、必要な指導を行って自立を支援する児童福祉施設である。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

私は29歳の時、
この児童自立支援施設内にある本校に、
異動を命じられました。

そして、
今まで上手くいっていた教師生活が、
全て打ち砕かれることになりました。
プライベートの話ができない、
授業のみでの勝負の世界
こちらが如何に教科の魅力を伝え、
面白い雑談をしようが、
太刀打ちできない世界がそこにはありました。

まるで、それまでの全てが
虚構であったかのように。
自分の6年間を呪いました。


転職サイトを漁ったり、
YouTuberになることを考えて
機材を買い込んだり、
真剣に退職を考えました。
ストレスは溜まり続け、
どうにかしようと毎朝5時に起き、
好きな銭湯に通い、
自律神経を整えるなど様々な工夫をしました。
根本的な解決には至らないと
自身でも分かっており、苦しい日々でした。

挫折②

どうにかこうにか苦しい日々を過ごしながらも、
生徒と信頼関係をある程度築くことが
できるようになりました。
しかし依然として、
学習に対する主体性、やる気 
引き出すことは困難でした。

なにしろ、
「勉強しても無駄」「高校に行く気がない」
「授業を受ける意味なんかない」と
口にする生徒がほとんどでしたから。

しかし、
「学びたい」「もっとできるようになりたい」
という生徒の意欲が感じられる場面に
遭遇することもありました。
例えば、テストの点数が思ったよりもよかった時、
居眠りせず授業に集中して取り組めた時など、
「やればできるでしょう」と
嬉しそうに報告してくる生徒もいました。
そこで初めて、

心の内側にある「学びたい」という意欲は、

生徒自身でしか生み出せないことに気づきました。
そして、1時間の授業や単元だけでなく、
中長期にわたって生徒自身が学びたいと
思える授業が必要だと思うようになりました。

変化①



壁にぶつかっていた私にヒントとなったのが、
施設の臨床心理士に教えていただいた
行動経済学の知見を活用した
ナッジ(nudge)、ブースト(boost)という
概念でした。

ナッジとは、
「肘でそっとつつく」ことを意味し、
人が意思決定する際の環境をデザインすることで、
自発的な行動変容を促す仕組みづくりのことを
指します。
(男子小便器の的あてのシールを貼り、飛沫を防ぐ仕組みなど)
ブーストとは、
よりよい判断や意思決定を行うための
力自体を高める工夫を指し、
ナッジの後押しを意味します。
(行事の反省や授業の振り返りなど)

ナッジ・ブーストについては、
また別の記事で詳しく解説をしますね。

クラス全員が、
①学習に後ろ向き
②学習に耐えうる素地もない
③学習の強制は一切通用しない

そんな状況を打破するため、

従来の教え込み授業から脱却し、
「生徒の意志決定を尊重し、よりよい選択を後押しする」
ナッジ・ブーストの理論を取り入れた
授業や学級経営を行うようになりました。

変化②

ある日、
施設内で子どもたちが運営を行う、
夏祭りに招待された時のことです。
普段の彼らとはまた違った子どもらしい姿を見て、
心をギュッと掴まれるような
何とも言えない切なさを覚えました。
最後におこなった手持ち花火大会では、
「はじめてこんな楽しいことしたなぁ」と
つぶやく子どもがいました。
それは抑揚のない、感情のない、味気のない、
でも確かに少し満足したようなつぶやきでした。

恥ずかしながら
この時初めて、子どもたちに対して
「どうか幸せになってほしい」と
心の奥底から思いました。
自分の子ども以外に、
ここまでの本気の感情を抱いたことは、
かつて今までありませんでした。

困難な状況の中で、
子どもたちの無限の可能性を信じ、
彼らの成長を支援する重要性を学びました。

これからも、
子どもたちが自分の未来を切り開くために、
私はサポートを続けます。
このブログを読んでくださった皆さんに感謝し、
次回の記事でまたお会いできることを
願っています。


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