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授業ナッジ③4月の子ども(オリエンテーション・板書の実際)【行動経済学×学校教育】

本記事は、授業ナッジ第3話になります。
前回の記事(第2話)⇩


授業のオリエンテーション

4月、初めの授業で、何のために自分たちが学習するのか、授業の目的を明確にし、共有化を図る授業のオリエンテーションを行います。学校という枠から離れ、自身が大人になった時の社会を連想しやすいよう、経団連が作成した「20XX in Society5.0〜デジタルで創る、私たちの未来〜」の動画を視聴させます。

この動画は、デジタル革新(DX)が私たちの生活にもたらす日々の変化とワクワクするような可能性に焦点を当てています。生徒は「未来最高じゃん」「なくなる仕事がありそう」といった様々な感想を述べていました。

AIと共生していく予測不可能な時代に生きていくことを、自分ごととして認識させることがねらいです。「自分で考える力」「他者を理解し、協働する力」「調整する力」を身に付けることを全授業の最上位の目標として伝えました。

上記の3つの力を身に付けるため、教師が先導して教えるのではなく、自身で課題に取り組み、教科書や資料集、タブレット端末などを活用しながら、仲間と協働する授業のスタイルも合わせて説明しました。

また、1時間の授業の流れとテストの内容、評価の内訳が示されたプリントを配付し、授業に対する見通しを持たせました。評価の内訳の説明では、クラス全員で復唱しながら確認をし、学習した成果がどのように評価されるのかを理解させました。

これは学期末に評価を手渡す以上、子どもたちが正当に知っておくべきだからです。私たち教員に課される教職員評価では、その評価の妥当性が示されていないことが多いと思います。「カリスマ教師だけいい評価をもらうんだよ」「評価は身内かどうかだよね」という荒唐無稽な言葉で済ますのではなく、評価基準を明確に示すべきであることは、私たち教師自身、身をもって感じるのではないでしょうか。

と言いながらも、小学生ではそこまで詳細に語る必要はないと思っています。ただ、テストだけでなく、どんなものが通知表で評価されているのかを、大まかでいいので伝えることは大事だと思います。

板書の構造化

中学国語 年間を通してこの形です
小2算数版

4月はじめ、最初の授業で、板書に掲示している授業の流れとめあてを確認し、ワークシートの課題に取り組ませました。

授業開始直後、当たり前のように生徒の多くが教科書の該当ページや課題の内容などを教師に尋ねてきます。しかし、私はもう何をすべきか説明していますし、まずは「自分で考える力」を使ってほしいので、答えません。かわりに、事前に配付した単元計画表(下記画像)にやるべきことが記載してあることを伝えます。

生徒は不満の声を度々漏らしましたが、板書の「3つの力」の掲示を指差しながら「自分で考える」ことを意識して授業に臨み、分からなければ「他者と協力する」選択肢があることを徹底して伝え続けました。併せて、未来に「3つの力」が授業の中身を理解する以上に、後々大事になっていくことを併せて語り続けました。

中2国語単元計画表 評価基準は児童自立支援施設併設校に合わせた難易度に設定

まとめ

この授業のアプローチは、ただ知識を教えるのではなく、生徒一人ひとりが主体的に学び、未来に向けて必要な力を身につけることを目的としています。そのための「オリエンテーション」「板書の構造」のご紹介でした。

次回は授業で使用する「ワークシート」についての記事です。中学での実践だけでなく、小学2年生の実践もご紹介します。

次の記事↓



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