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【読書記録】そして、バトンは渡された

図書室の順番待ちがなかなか回ってこないうちに映画まで公開されてしまった。
映画の番宣を見ていたら、大変読みたくなり、購入。

瀬尾まいこさんは、「幸福な食卓」以来。
瀬尾さんは、ちょっと変だけど、愛情が溢れた人を描くのが上手いなあという印象を受けた。
私は勝手に「里親制度の話」だと思い込んでいたが、そうではない。
そういうシステムの話ではなく、
システム関係なくなぜか親が転々と変わっていく女の子の話。

母親は二人、父親は三人いる。

なんだって血のつながらない親と暮らしていくことになるのか、
不思議でならない物語だけれど、
強烈なキャラクターの登場人物たちが
そこを納得させてしまう。

映画で誰が誰を演じるか知っているだけに、
読んでいる間、彼らの顔が思い浮かぶのだけれど、
「ピッタリ」という言葉以外見つからない。

森宮さんの飄々としていて、おとぼけながら
愛情に溢れて、でも一定の距離感は保っている優しいお父さんは
田中圭以外にあり得ない気がしてくるし、
梨花さんの、華やかでいて、強引ながら真っ直ぐに愛情を降り注ぐ
女性は石原さとみさん以外に想像できない。

この二人の強烈なキャラクターからの愛情によって、
全て物語が作られている気がする。

主人公の優子は、親が次から次へと変わっても決して不幸ではない。

困った。全然不幸ではないのだ。

そんな彼女の言葉から始まる。

それなりに悩みもある。
本当は苦しみもある。

けれども全てを受け入れ、ただ毎日を平穏に、そして逞しく生きていく主人公。

そして、彼女を熱い愛情で見守る親たち。

私は思う。
血のつながらない彼女や彼らが、こんなにも子どもを愛してやまないのだ。
私はもっと負けてられない。
今よりももっともっと愛情を溢れて流れ落ちても拾いきれないぐらいの愛情を子どもたちに注ぎたい。
彼らに負けたなるものか。
疎ましがられようが、人から引かれようが、
森宮さんの言う「親選手権」にぶっちぎりで勝てるぐらいの愛情を
子どもたちに注ぎたい。

そんな親魂に火をつけてくれる、そんな温かい、いや、熱いぐらいのお話でした。


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