あなたは目の前を見ていない。常に夢の中。
あなたは目の前を見ていません。
1日のほとんどの時間、頭に自動的に浮かぶ思考やイメージを通して目の前で起きていることを歪めて見ています。ありのままに現実を見ているのではありません。
見ているようで見ていない状態。
いきなりこんなことを言われても意味がわからないかもしれません。
それを体感するために暇な時で良いので、次のことを試してみてください。
目の前にあるものを改めて丁寧に見ます。
ペンやコップなど目の前にあるものであれば、何でもかまいません。出来ればよく使っているものが良いでしょう。
それを丁寧に細部まで見てください。形や模様、細かい所まで丁寧に見るのです。
改めて見るといろいろなことに気づきませんか?
「よく見るとこんな形をしていたのか?」「こんな所に文字が書かれてある」とか発見すると思います。
いつも見ているはずなのに・・・
次に今と同じものでかまいません。
「今日の夜は何を食べようかな?」と考えながら見てください。
違いがわかりましたか?
考えながら見ると、対象となるものがぼんやりとしませんか?
見ているけど見ていないという感覚になったはずです。意識が目の前ではなく、頭に浮かぶ思考やイメージに囚われたからです。
これがあなたの通常モードです。
あなたは目の前を見ているけど見ていないのです。
「そんなはずはない」と思う方がいるかもしれません。
そう思う方に質問です。
家から会社まで、通勤するときの景色を細部まで思い出すことが出来ますか?
家を出て駅までの道、どこにどんな看板があってどんな店があるのか?、すれ違った人の服装、電車内の広告、降りた駅の自動改札機の形・・・
恐らく無理でしょう。
なぜなら見ていないからです。
家から会社に行くまでの間、あなたの頭の中は自動的に浮かぶ思考やイメージでいっぱいになっています。
「会社に行くのは嫌だ」「〇〇さんにメールを返さないと」「今日は何を食べようか?」
このような思考やイメージが自分の意思とは関係なく、次々に浮かんでいるはずです。
そしてその思考やイメージの連想ゲームが始まっているはずです。もちろん無意識です。
これが囚われた状態。
私たちは囚われた状態に置かれると、ありのままの現実を見ることが出来なくなります。自分に都合よく歪めた世界を見ているのです。
夢の世界に居るのとあまり変わりません。
それでも正確に会社に行くことが出来るのは、会社までの行き方を身体が覚えているからです。
無意識がオートマチックにあなたを会社に連れて行ってくれます。
酔っ払いが意識が半分なくても自宅に帰ることが出来るのと同じ現象です。
初めての場所へ行くときは、道なりを意識して細部まで見るでしょう?
その時「今日は何食べようかな?」なんて頭に浮かんでいないはずです。
初めての場所へ行くときは、目の前をしっかり見ようとします。「今ここ」に近い意識状態です。
マインドフルネスの瞑想は、常にこの意識状態で居るためのトレーニング。心の筋肉のトレーニングです。
心の筋肉が強くなるほど、「今ここ」に意識を保つことが出来るようになります。「今ここ」に意識があれば余計な思考やイメージ、不安や恐れ、焦りや怒りなどに振り回されることはありません。
「夢の世界からの覚醒」とも言います。
ブッダは「目覚めた者」という意味です。
何から目覚めたのか?
夢の世界からですね。
仏教ではそれを「悟り」と呼びます。
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