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恋の墓穴にはアメリカのデート・コーチ

日本で携帯電話が普及した時分には、オンラインマッチングは「出会い系」と呼ばれ、遊び半分の印象が濃厚でした。ところが昨今は、生活必需品ぐらいになってますね。

今やマッチングアプリで素敵な人と結婚した友人・知人は、周りにもいるのでは?

そんな中、今週の人気テレビ番組Shark Tankでは、Dating Coach というサービスを売る女性が見事に経営援助を射止めました。マッチングサイトの利用サポート的なサービスだそうです。 

右は提案者、事業CEO

Shark Tankは成功起業家のビリオネア(シャーク)たちが、新興起業家のプレゼンを見て援助を検討する番組。アメリカでは知らない人がいない定番なのですが、私は去年ニューヨークに戻ってくるまで観たことがありませんでした。(コロナなどでしばらく留守にしていたため)

日本でいえばたぶん、「クレヨンしんちゃん」を観たことがない、みたいな話?(古い?) 見始めたら面白くて、放映の金曜日を心待ちにしています。

で、Dating Coachには、メルマガサービス、レクチャー動画サービス、個別コーチがあります。個別コーチの料金は約$6.000(9万円)で、去年はミリオン(約1億5000万円)の売り上げで$500kの純益があったそう。フルタイムのスタッフはプレゼンをしたCEO女性1人だけだそうなので、そりゃ儲かりますよね……。

日本の婚活サービスでも、成婚のための助言はしているみたいですが、あくまでマッチングの付帯業務として。婚活の心構えを説くサービスだったらあるけれど、確立した事業には至ってない印象です。

アメリカでは個人で始めたデートサポートが軌道に乗って、シャークが乗り出してくるのがすごいですよね。さすがアメリカン・ドリームの国!

Dating Coachの個別コーチでは、意中の相手へのメールも代筆してくれるそう。ラブレターの代筆といえば、瀬戸内寂聴さんの昔のラノベに出てきました。恋文代筆をアルバイトにしているちゃっかり少年のエピソード。「そんなの頼む人いるの?!」と、出鱈目な文面に笑いましたが……。

自分もその後、友人に好きな人へのメールを代筆してもらったのですから、呆れた話。友人に恋愛相談をしていた時に、「じゃあどんなメールを書けばいいかな」と訊いたら、「例えば……」となるほどな案を出してくれました。「それ、いい!できたらメールに書いて私に送ってくれない?」とお願い。もらったメールをコピペして、相手に送ってしまったのです。

自分史上、1番良い内容のメールだと思ったのですが……。返事は……来ませんでした。

恋愛というのは、渦中にいると気が動転してしまって、ともすれば心にもない、墓穴を掘るようなメールばかりしてしまうもの。そんな時は、状況を正しく把握している人に代わりに書いてもらうほうが、却って自分らしくできるのではないでしょうか。

実績あるプロがそれをやってくれるなら、心強いですよね。

実は、私は’00年代に恋愛カウンセリングのベストセラー作家の事務所で、企画・広報をしていたことがあります。Dating Coachの草分けですね。

現在のレクチャー動画サービスに当たるのは、テレビ出演や雑誌での連載、(ガラケー時代なので)NTTの公式サイト。それと有料メルマガも発行していて、私は編集を担当していました。

先のDating Coach と比べて足りないのは、個別コーチです。

「なんでだろう?」と考えたら、日米の違いである「自己責任」なんですね。アメリカでは自己責任が徹底していて、利用は消費者の責任。

2013年にニューヨークに来たときは、コンタクトレンズが眼科診療なしで買えてびっくりしました。(今では日本でも買えますが)。「どうして?」とルームメイトのニューヨーカーに訊いたら、「自己責任だからじゃない?」という答え。

それで失明しようが、買った本人の責任。(もちろん損害賠償は訴えますが)

恋愛カウンセリングで個別コーチをして破談になったら、日本では利用者の責任にできません。これでは正直、サービスを提供するのは怖いです。利用者の人生の責任なんか取れませんから……。

同業者で恋愛個別コーチを提供しているカウンセラーもいましたが、内容は今でいう「綺麗売り」(素の自分は墓場まで持っていけ)。格上彼氏に徹底的に尽くして、結婚をゲットするポリシーでの指導でした。

成婚率は高かったと記憶しています。格上狙いだから、指導を失敗しても言い訳が立ったのかもしれません。

先のDating Coachは男性向けのサービス。女性CEOは女性向けサービス開設のために、男性シャークを希望しての出演でした。事業がどうなるか楽しみ!

日本でも「ダメでも助言者を責めない」という自己責任を意識すれば、恋活・婚活の手助けをしてくれる人やサービスは見つかるし、もっと増える気がします。

科学的に4年で愛は冷めるというけれど、いつまでも冷めない結婚だって実在するのだから、夢は捨てずにいたいですよね。(俳優の夫が癌で亡くなるまで「大好き」と言い続けた結婚の実録↓)

Shark Tankに限らず、とにかくテレビを知らなくて……。なんと、ニューヨークの香りが痺れるSaturday Night Liveも知らず、もちろん去年まで観たこともありませんでした。エンタメのためにアメリカに来たのに、不勉強!

アメリカ東海岸時間では、Saturday Night Live(メイキング動画↓) は今夜です。どうぞよい週末を!

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