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詩『午後一時~爪将棋京都王将戦』

さんざん放置した挙げ句に
もげた爪の残骸たち
(京都コレクション2019~)
切ることを面倒くさがって
伸びては切って
切っては伸ばす

しょっちゅうギザギザの深爪か、魔女みたいな長い爪のどちらかなんて、格好悪いよ。根。爪爪爪爪爪爪爪爪爪爪爪爪爪爪爪爪爪爪爪爪、広げて、爪将棋を指そう。子供の時に夢中になって、お金を賭けずに遊んだ、あの花札のように。

(禁じられた遊び。おとなたちに見つかると、烈火のごとく叱られたけど、花札にずっとひとめぼれの片思いしてたんだ。ほんとうに、ほんとうに、猪鹿蝶はきれいだったなあ。萩に猪、紅葉に鹿、牡丹に蝶。わたしたち、は、まるい眼?四角い眼?三角の眼?ご機嫌なな眼?いやいや、快眠、快食、快便、猪鹿蝶の美しさは、プライスレス。鮮やかな日々に感謝、ビビッドなヒビに開眼。ちいさな世界の花鳥風月に水をやるのを忘れないで。うっかり青信号のフライングを踏みつぶさないように、幸福論が机上の空論にならないように)

将棋の正式なルールなんて、ちっとも知らないけれど、これっぽっちも気にしていない。ルールなんて、全部、束にして、焚き火でもやもや、燃やして、灰だらけのもやしっこ、ごっくんこ!

何度も被写体に飛車
『パシャッ、ピシャッ』
何度も覆う手に王手
『おお、うまい、おおうまい、我ッ!』
何度も餃子の王⚪戦へ
『ギョギョッ、産湯を冷まして、沐浴、行水、行列、元祖・京都・餃子の⚪将へ、いざ、行かん(湯灌)』

(独楽づかいの駒使い、家々、爪の装飾どうしてる?お金かけて、ネイルサロン行っても、結局、三日坊主ならぬ、三回坊主だし、アンラッキー13日の金曜日、家事できないし、台所は火の車だし……未完成の山車剥き出しだし……だし巻きたまごの出汁をケチって、ただの卵焼きだし、だせー焦げ焦げ定食だし、)

『選手宣誓!参加することに異議がありまーすっ』
『なんだい、なんだって、もういちど言ってみたまえ』
『…………(放送事故)』
『なるほど参加することに、異議を唱えているんだね』
『右へ倣えが大嫌いなんです』
『だからずっと“左”側に立っているんだね、yes or no ?』
『……(ハンガーストライキ)』
『言論の自由とことばの踏み絵かね?』
『表現の自由を表現しています、あっ、また、参加してしまった(ついつい条件反射)』

スクランブル交差点にて、信号待ち
赤信号から青信号に変わるとき
みんな一斉に歩きだす
長いものに巻かれてるふりしたり
朱に交わって赤くなったふりしたり
大人になったカメレオンの(わたし)、は
お金をかけたきれいな爪を折って
集団に宣戦布告する

『王手!』

photo :フリー素材
design:未来の味蕾
poetry:未来の味蕾

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