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メンタル疾患から少しずつ回復したお話2(認知行動療法〜就職

上京してからの治療は、

薬物療法と、
臨床心理士の先生との個別カウンセリングを受けていました。
陽性症状が落ち着いてきた段階で集団認知行動療法も受けることになりました。

個別のカウンセリングでは、
45分~1時間の決められた時間の中で、
1つお題(困り事)を決め、それに対する考え方の新しい側面を見出したり、解決するための行動計画を立てたりしていました。

集団認知行動療法では、
複数人で認知行動療法について講義をうけ、ワークをしながら不安や考えを共有したり、解決策を共有したりしました。

私が受けた認知行動療法は、

1、行動活性化法
2、認知再構成法

でした。

1、行動活性化法では、
色んな行動を試してみて、自分の感情がどう変わるのか観察・分析する方法です。

うつ状態の時、何もやる気が起きなくて布団の上で一日中寝ていると、なかなか気分が晴れず、一日をムダにしたと余計落ち込んでしまう事ありますよね。

でも家族に、お願いされて仕方なくでも買い物の荷物持ちで外出してみると、少し疲れたけど達成感を感じて気分が少し晴れた

みたいな経験ありませんか?

このように、気分が乗らなくても「敢えて」行動を起こしてみる事で気分がどう変わるのか、研究者になった気分で観察・分析してみよう

という方法です。

そのためにまず毎日の活動の記録を取ります。

こんな感じです。

9時    起床(喜び 30%)(達成感 50%)
10時  2度寝(喜び 20%)(達成感 0%)
11時   SNS(喜び  50%)(達成感 20%)
12時  散歩(喜び 50%)(達成感 70%)
  ・
  ・
  ・
  ・

というように、取った行動と、それを行った事による喜びや達成感も%で記入していきます。

すると、
普段何気なくやっている行動が達成感が低い事に気づけたりします。

例えば、2度寝は達成度0%、
クセになっているSNSは達成度20%です。

2度寝をすると気分が落ち込み自分を責めてしまうため達成感が0%でした。

クセになっているSNSをしている時、SNSを楽しんでいるようで、他人と自分を比較しているため、達成感が20%と低かった事に気づきます。

達成感を得られなかった、気分を下げてしまう行動は、今後出来るだけ選ばないように気をつけます。

逆に散歩は出かけるまでは面倒だと感じたけど、何とかやってみると達成感が70%と高く、気持ちがすこし上向いたことに気づきます。

行動を起こすだけでなく、分析・振り返りをして、達成感が低い行動を、達成感の高い行動に意識的に置き換えていきます。

このように行動のパターンが変わると、気分が変わるという事に気づく療法です。

2、認知再構成法は、
自分の中の認知の歪みを知り、新しい考え方(適応思考)をするようにします。

例えば、「なぜ私は仕事にも行けず、行けたとしても簡単なこともミスしてしまうんだろう」…と落ち込み気分がふさぎがちになる事がよくあるとします。

①自動思考(その時にふと浮かんできた考え)として、
▶︎なんて自分はダメなんだろう…
▶︎他の人は週5で働けてるのに…

などが、あるとします。

①自動思考の
②根拠を考えます。
勝手な思い込みではなく、事実を確かめて客観的に考えます。
▶︎実際にミスをしている
▶︎今日仕事に行けなかった

などと、考えるとします。

①自動思考の
③反証(矛盾する事実)を書き出します。
▶︎仕事には行けなかったが、家事はできた。ダメと決めつけるには早計だ。
▶︎皆が皆、週5で働いてる訳ではない。介護や体調に合わせて働き方をセーブしている人もいれば、不労所得をえて働かない人もいる。

などと、考えます。

④適応思考(柔軟で現実的な考え)を考えてみます。

考える方法として、
・②根拠と③反証を「しかし」で繋いでみる
・他の人が同じ立場にいたらなんてアドバイスするだろう?
・以前に同じような経験をした時、どのように考えたらラクになっただろう?
・最悪と最高のシナリオを考えて、現実的なシナリオはどうだろう?

というような考え方をします。

例えば、
▶︎仕事に行けずダメな人間だと考えたが、家事はできた。昨日は出勤できていた。学生の時は頑張れていた。仕事は人生を占めるウエイトは大きいが、人生は仕事だけでは無い。
仕事に行けなかったことで、私の全てをダメだと決めつけるのは早計だ。
▶︎実際にミスをしている。でも、他の人も同じようなミスをしていた。私のミスの回数は仕事に慣れていない事も原因かもしれない。もしかしたら目の前の事に集中出来てなかったのかも。ミスをしないよう同じ作業をする時に気をつけてみよう。
▶︎他の人は週5で働いているのに、自分は出来ない。しかし、皆が皆、週5で働いている訳では無い。親の介護のためや体調に合わせて働き方をセーブしている人もいる。そもそも週5で働けることが正義という考え方が間違っているかも。海外は労働時間が日本より短いと聞く。体力・精神力に合わせた働き方をして自分なりの幸せを持つ方ががいいのではないか。

などと、考えてみます。

最初は適応思考を考えるのはとてもとても難しかったです。
臨床心理士の先生と話すうちに導かれた適応思考にどうしても馴染めなくて拒絶したくなる事もたくさんありました。

でも臨床心理士の先生と個人カウンセリングを重ねたり、集団認知行動療法で他の参加者さんの考え方を聞くことで、
徐々に柔らかく考える糸口みたいなものを見つけた気がします。

認知再構成法の例では仕事をしている例を挙げましたが、上京して治療に専念していた時はまだ働けてはいませんでした。

さらに良くなった段階で、

単発(1日)のバイトを少しずつこなしたり、
ユーキャンで資格取得をしたりして過ごすようになりました。

働けるようになりたい
働かなきゃと焦ってはいましたが、

働くことへの怖さの方が勝っていたので、
いきなり正社員やパート・バイトには応募せず、単発(1日)のバイトをする事で、働くことへの怖さや、働くために必要な基礎体力、精神力を確認していました。

資格も取り、回復していると実感できるようになると、
自分が大学で学んだ挫折した分野の国家資格をとることに挑戦してみたい
と思う気持ちが芽生えてきました。

しかし、実務実習の苦い経験やそもそもの苦手意識は依然としてありました。

そのため、私はその分野のサポート役の職種としてパートで働く事を決意しました。

その分野に改めて身を置いてみて、改めて国家資格を取る事について考える時間を作ろうと思ったからです。

応募したのは、その分野の新店舗のオープニングスタッフでした。

人間関係の構築が苦手で、出来あがっている人間関係の中に飛び込むのは怖い…と考えた私は、
まだ人間関係が出来ていない、皆一斉に用意スタートで業務を始めるオープニングスタッフに応募しました。

その会社はオープニングスタッフに対して開店前に1ヶ月有給で丁寧な研修がありました。

社会人経験がバイト以外無かった私は、そこで接遇を学びました。元キャビンアテンダントの教育係をされていた方が研修をされていたので、質の高い接遇を学べました。その時の私にとって、とても大きな財産になりました。

そこではパートとして週3-4働いていました。

仲良くなった同僚のおばちゃん達に、
今までの経緯を話し、国家資格を取得するべきか迷っていると話しました。

「チャレンジしてみたら?
私には受けたくてもそもそも受験資格がない。受けたくても受けれれない人はたくさんいる。資格を使って働くかは別として取ってみたら?」

そう背中を押され、
資格を受験するための予備校に1年通う事を決意しました。


(続)

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