見出し画像

『本が好き』には200色くらいある - エッセイ

十人十色。人の性格、趣味って幅広い!
当たり前のことですが、人々の多様さを実感するたび、この言葉が思い浮かびます。
同じ幼少期を過ごしても、家族同士でも、同じイベントに際してぜんぜん違う感想を持つものです。

人が色々に多彩であることは、世界を様々に面白くしてくれています。
その一方で、自分と同じ or 似た趣味嗜好を持った人に出会えるのも、とても嬉しいこと。
広い世の中で、自分と近しい考え方に出逢えることは、ちょっとした奇跡にも感じます。

異なる相手に出会うことは世界を広げますが、似た相手に出逢えることは、自分の理解を深めてくれる。
今回は、そんな「自分と似た考えとの出会い」の出来事について書きます。


「本が好き」と言うのは難しい

「本が好き」。
私はnoteでは、臆面なくこの言葉で自己紹介しています。けどオフラインだと、「本が好き」と自己紹介することに、一抹のためらいがあります。

それは私の思う「本が好き」状態と、世間で多く出会う人の「本が好き」状態が、異なっていると感じる場面が多いからです。
それは私が特殊であるからというより、「本が好き」という状態が人によりけりだから。十人十色、百花繚乱、「"本が好き"って200色あんねん」(アンミカ)だからだと思います。
ある人は日々の癒しを求めて本を開き、またある人はこの世の真理を求めて本にあたります。

違いは、遠くへだたりある時は厄介ですが、近くで齟齬が生じている時も、やはり厄介です。
「ようやく理解者が出てきてくれたのか!」と期待した後に「なんか違うな…」と気づく。近くの齟齬は、こうした落胆を招いてしまいます。
本好きの皆さんは、きっと多く、こうした経験をされていると思います。

"本"という世界は、一括りにするには巨大すぎるので、同じ「本が好き」という人との出会いがあっても、話が合うとは限らないと思ってしまいます。
共通項にとりあえず喜べば良いし、そこから話を広げることは簡単です。ただ私としては、「同士よっ!」と自分語りをした後に、「misoichiさん"は"、そういうの好きなんだ〜」とやや距離が空いてしまうことが何か嫌で、相手に合わせてしまう日々でした。
だからこそ、「本が好き」と軽々しく宣言するのは、私にとってちょっとしたチャレンジでした。

なんで「本が好き」なの?

何故、「本が好き」を通して繋がることができなかったのか?

最大の理由は、私がなぜ「本が好き」なのか、私自身が理解してなかったからです(アホ)。
本は面白いですが、小説の与える面白さと自己啓発本の持つ面白さは別物です。
私はどちらも面白いとは思うものの、それらは芯から好きではありません。私の中では、面白いと好きは別ものです。(これは話すと長いので、次の投稿で語ります。)

私が好きな本は、文化人類学とか批評。世界の仕組みや世界への視点を教えてくれる本です。
ジョセフ・ヘンリック『文化がヒトを進化させた』とか、ジュディス・リッチ・ハリス『子育ての大誤算』とか。最近読んで、人や社会の理解を深められて、とても楽しかったです。

私の好きな本は、特定のジャンルに絞れるわけではありません。ジャンルではなくタイプに、私の”好き”は存在します。
日々繰り広げられる、私たちの生きる世界のスペクタクル。その理由を説明してくれるなら、それが情報科学であれ文学であれ、哲学であれ歴史であれ音楽理論であれ、好きになれます。
しかし、どういうタイプの本が好きなのか、それを伝わりやすい言葉にすることが出来ていませんでした。

「構造」というキーワード

自分が本を通して何を得ようとしているのか、コンパクトに教えてくれたインタビュー動画がありました。
それが次の動画です。flier 公式チャンネルさんの「Dig Talk」という、著名人の好きな本をインタビュー形式で紹介するシリーズの一本です。

動画内でインタビュイーの藤井さんは、「構造」というワードで、彼に刺さった本のタイプを説明しています。
「コレやん!!!」と見ていてヒザを打ちました。
これです。構造化。
私の好きなタイプの本は、複雑で多彩な世界に対し、それをスッキリと切り分けてくれる本です。
構造化により、世界をより冷静に・明確に、恐れることなく触れ合える様になる。
私の本好きの理由を「構造」という言葉を通して構造化することで、また一歩深く、自分を捉え直すことができる。私が本を通し求める体験は、特にそのようなところにあると、動画を通してリフレーミングできました。

自分を知ることで他人を知る

先述の動画を通し、自分が本を好きな理由を捉え直すことができました。
それがまず嬉しかったですが、もう一つ嬉しいことがありました。
それは他者理解が深まったこと。

Dig Talkシリーズの動画はすごく好きで、順々に流していたのですが、藤井さんの動画にあたる前は、「他人のオススメ本を知る」という情報収集の目的で動画を見ていました。
しかし、藤井さんの会で「自分の"好き"と似ているじゃん!」と、グッと自分に引き寄せられた結果、それ以降は「他人の"好き"にどのような経路や種類があるかを探る」という他者理解の目的から見るようになりました。

その結果の感想が『本が好き』には200色くらいあるです。
小さな発見ですが、この発見が自分には嬉しかったです。
それは動画を「データ」という血の通ってない視点で見るのではなく、「理解」という自分に引き付けた視点から捉えることができたから。
そういうことができるのは、対象を自分事として考えられるようになったからで、自分事と考えられるようになったのは、自己理解の深まりを通してです。


「自分を知ることで、他人に興味が湧く」が、今回の発見のA面なら、発見のB面は、「他人に興味がない人は、自己理解が欠けているのでは」という仮説です。
まぁ他人を推し量るのは難しく、相手の置かれている状況や状態で無限の可能性があるわけですが、いずれにせよ、自己理解を深めることで、他者理解への道筋を増やすことができると思います。
『本が好き』には200色くらいある。そして大事なことは、自分は何色なのかを理解する。
このことが、今回の自分の学びです。


*****

最後までご覧いただきありがとうございました!
これからも週に1回、世界のやさしい構造化のための記事を書いていきます。よければイイネ・フォローをお願いいたします!

どうぞ、また次回!

本やマンガの購入費用にあてさせていただきます!得たものはnoteでシェアします⚡💡⚡