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「そいじゃ、今度の水曜日で。いつもの駐車場で待っているから」
そういって、柱田さんはカーテンを開けた。
右上に付いている鈴の音が、凛とした響きを上げた。

今まで球技等、一切したことがなかった。
なのに、どうした展開でこんなふうになったんだろう。

受付にタブレットを起き、ベッドメイクにかかる。

「いい感じですね---心の開かせ方が申し分ない」
微妙な距離から、柔らかい声が入る。

「しかしよく、妃容李さんから自分のものにできましたね−−−凄い凄い。」

今で20代の前半だが、歳の割に丁寧な印象があり、ある種の慇懃さすらある。
管理者で名前を茂木といった。

「ゴルフの話題だったんですか?」

真ん中で分けた髪をきれいに揃えている。
細い切れ長の目から、たまに射抜くような目線になる。
それがなんともアンバランスだった。
髪型は作り物のようだ。

「ゴルフと、あとは−−−」

「男として、どちらが上か、勝負だ、仮野君。」
柱田は、更衣室から出てくると、一気にサーバの水を飲み干した。

これまでかなりの人数とゴルフに行かれたらしいが、熟練者がどうして自分みたいな初心者を誘うのか分からなかった。

「退職して、ゴルフ三昧なんですかね、あの人は−−−」
モールの入り口に消えていく柱田を見ながら、モテギはぼやいた。

批判したいのかはわからない。只、言外になにか意味を含ませがちだった。

「退職したら、私もあんなふうに暮らしてみたいです。島で一日のんびりして−−−結局は金ですからね。」

どんなビジョンを描いているのかや、今までの経歴は聞いたことがない。

ふと気づくと、茂木の切れ長の目は、仮野の方をまっすぐ見ていた。

「ところで、仮野君は入真知さんてご存知でしたっけ?」

初めて聞いた名前だった。

茂木は急に手のひらを振って
「いやいや、なければ結構ですよ−−−ちなみに柱田さんと話したのはそれだけですか?」


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