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面白い本・好きな本|神秘に満ちた、生き物の暮らし[生き物の死にざま、極北の動物誌、ネコはどうしてわがままか]

タマゴが先か、ニワトリが先か

答えはタマゴ
ニワトリが誕生するより遥か昔から、トリはタマゴを産んでいる。タマゴの中でニワトリの祖先種が変異してニワトリとなり、この世にニワトリが誕生する。よって、タマゴが先。

答えはニワトリ
生物進化の過程で誕生した最初のニワトリがタマゴを産む。ニワトリが産む最初のタマゴ。よって、ニワトリが先。

タマゴを、トリのタマゴと定義するか、ニワトリのタマゴと定義するかで、答えが変わる。
一件落着。

と思いきや、そう簡単には終わらない。

キリスト教の「創世記」には、神がトリを創造したと記載があり、タマゴには言及がない。よって、ニワトリが先。

仏教では、「時間は循環し、歴史は繰り返す」と考える。時間は永遠であり、最初も最後もない。つまり、「どちらが先か」という問いに解はない..

定義や学問分野によって、答えが変わる。答えがないこともある。やっぱり、どっちが先か分からない。

タマゴが先か、ニワトリが先か..

ということで、神秘に満ちた生き物の暮らしを、少しだけ覗いてみる?という話。

メスに寄生するだけで一生を終えるアンコウ
タマゴを破壊してオスを略奪するタガメ
極北の厳しい環境を生き抜くカリブー

いろいろな生き物の悲喜交々

コンセプトと受精

コンセプト[concept]は概念。原点となる抽象的なアイデアで、基本となる骨格。ビジネスやデザインの場でもよく使われる。

コンセプション[conception]という似た言葉もある。思考、構想、着想という意味だけでなく、「受精」や「妊娠」という意味をもつ。

「コンセプト」と「受精」は、どっちも「創造」

アイデアや思考の創造と生命の創造は、深い意味で類似性があるという。『進化思考』で太刀川さんが言及しているのを見かけ、確かにそうだなぁと。

「デザイン進化」と「生物進化」
進化して、深化して、真価が生まれる


生き物の死にざま|生死

生命の“最後の輝き”を描く哀切と感動の物語

数カ月も絶食して卵を守り続け孵化を見届け死んでゆくタコの母、地面に仰向けになり空を見ることなく死んでいくセミ…生き物たちの奮闘と哀切を描き感動を呼んだベストセラーの文庫化。

あらすじ

交尾に明け暮れ、死す

アンテキヌスというネズミのような有袋類の繁殖期は2週間しかない。一般的に哺乳類は、より優れた子孫を残すために、メスの獲得に熾烈な競争を繰り返す。しかし、アンテキヌスにそんな時間はない。ただひたすら、たくさんのメスと交尾を繰り返す。

あまりに交尾を繰り返すため、ホルモンバランスが崩れ、毛は抜け、目は見えなくなり、2週間もするとボロボロに死に絶える..

見た目はかわいいアンテキヌス

メスに寄生するチョウチンアンコウ

チョウチンアンコウと聞いて、思い浮かべる姿はすべてメス。大きさは40cm。オスはなんと4cm。オスはメスの体に噛みつき、吸血鬼のようにメスから栄養をもらって暮らす。

泳ぐことも、餌を見つけることも必要ない。徐々に、ヒレも目も内臓も退化していく。最後はメスの体に取り込まれて、静かに一生を終える。

寄生虫と化すチョウチンアンコウ

ネコはどうしてわがままか|男女

動物行動学の第一人者が解き明かすエッセイ

飼ってもフンが見つからないドジョウのえさは? オタマジャクシを脅かすと皆一斉に逃げるのはなぜ? 雌雄同体のカタツムリはなぜ交尾する? ……みんなみんな生き物たちの動きは不思議に満ちてます。

あらすじ

春を告げるウグイス

梅にウグイスといえば、早春の代名詞。まだ風は肌寒く共、人々はウグイスの声に春の訪れを感じ、心が和む。

ウグイスは、自分のなわばりの中をたえず巡回し、その境界でホーホケキョと鳴く。鳴くのはオス。よい声で鳴けば鳴くほど、別のオスはなわばりから離れ、メスは寄ってくる。必死なオス。

ウグイス

タガメの空中産卵

タガメは水生昆虫なのに、水面から突き出た棒くいに卵を産む。卵が干からびないように世話をするのはオス。天敵はまだ産卵をしていない別のメス。メスは卵に襲い掛かり破壊する。

すると、オスは卵の世話をあきらめ、そのメスと交わり自分の子孫を残すことを優先する。略奪が壮絶な怖いメス。

略奪するメスのタガメ

極北の動物誌|環境

星野道夫が「名作」と呼んだ幻の古典

カリブー、ムース、オオカミらが危ういバランスの上で織りなす極寒の地の生態系――。気候危機と生物多様性の危機が差し迫るなか、人の営みと自然の営みの共存を問いかける本書は、「エコロジーとは何か」を知るための入門書であり、今を生きる全ての人へのギフトだ。

あらすじ

狩の王者、オオカミ

太陽が地平線の下に沈まなくなって1週間が過ぎる。北極圏には樹木が一本もなく、湿地帯が緩やかな起伏なして広がっている。尾根にオオカミが姿を現す。

遥か昔、大陸氷河にこすりとられ堆積した砂の尾根は数十キロにわたってつづき、エスカーと呼ばれる。地面は掘りやすく、オオカミの巣穴もエスカーにつくられる。

極北に暮らすオオカミ

カリブーの一年

夏、カリブーは数千頭単位の大きな群れをつくる。ラ・フールと呼ばれる。ラ・フールが通過したあとの湿地帯は踏み潰され、地面に傷跡が深く刻まれる。幾世代ものカリブーが通過する道は、空から見ても判別できる。

冬、カリブーの動きは、積雪の深さと固さと密度によって決定される。雪の下に覆われている地衣類を、掘り返し食べるのに適した雪を求めて。

極北に暮らすカリブー

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