あと数日で終わってしまうが、今アジア最大のスポーツの祭典「アジア競技大会」が中国・杭州で45の国と地域の代表が40競技481種目を競い合っている。

その国と地域って何だ？　と幾度か過去に思ったのだが、その都度放置してきたため未だに良く分からない。
今回改めて思ったので長年の疑問を解決しようと思う。

様々なスポーツ競技でそれぞれのアジアNo.1を決めるこの大会は、ホスト国中国の影響が色濃く出ている。
例えば、インドとの間に国境問題を抱える地域からのインド選手の入国を拒否したり、競技開始前に国家が吹奏 (録音されたものを再生) されるのだが、ある日の「君が代」は冒頭の部分が流れなかったりしている。(テレビ観戦では聞こえなかったのかもしれないが、途中から聞こえ出したということは音量差があったということで間違いない)

こういう国際大会では不思議な現象が起こるものだが、私が最も不思議に思うのは今回に始まったことではなく、中国、香港、台湾 (チャイニーズタイペイ) が参加していること。

中国政府は香港は当然のことながら台湾も中国の一部と公言している。
ではなぜ中国は３チームの出場が可能なのか？　ただでさえ人口の多い国から３チームが出場するなど、他国の競技者にとっては不利な条件にしかならないはずだが、それが認められているのが不思議で仕方ない。

香港はイギリスに統治されていた時代があるから、特別な地域として理解できなくはない。しかし、150年ほどの統治を終え1997年に中国に返還されてからは一国二制度とはいえ中国だろう。政治体制も返還された当初は自由主義が中心だったが、現在では共産主義が中心となり本国の意向に沿うような政治体制が作られており、名実共に中国になったのだから香港が出場権を持つのは理解できない。
「一度決めたことは安易に変えられない」みたいなお役所仕事的なことだろうか？

では、国や地域がどうやって決まっているのか？
気になって少し調べてみると意外なことが分かった。

国や地域はその国を認めるかどうかで変わるという曖昧さ満点であるらしい。
例えば北朝鮮。日本語では朝鮮民主主義人民共和国という名を持つが、日本にとっては国ではなく地域になる。アメリカも大韓民国 (韓国) の一部であるとし国として認めていない。一方で160以上の国が北朝鮮を国として認めている。その上国際連合で国として認められているから一般的には国となる。

そもそも国の定義とは何か？　３つあるようだ。
　　1. 国土があること
　　2. 国民がいること
　　3. 法律があること
そしてどこかの国が国として認めてくれれば国となる。
だったら４つじゃないかという言葉は敢えて飲み込もう。

関連する事柄として皆さんはコソボ紛争という言葉を覚えているだろうか？
一時期マスコミの間を賑わした話題だが、日本はコソボを国として認めている。一方世界の過半数の国々はセルビアの一部として国として認めていない。

それぞれの国が認めるとか認めないとか、それに国際連合が認めるとか認めないとか、今回のようなスポーツの場合は国際オリンピック委員会が認めるとか認めないとか。
ややこしいことこの上ない。

今回の中国・香港・チャイニーズタイペイの件で言えば、いずれも国際オリンピック委員会で中国は国、後の二つは地域として認められているからそれぞれに出場が可能ということのようだ。

因みに中国はチャイニーズタイペイを国として認めていない。だから中国を国として認めている他の国はチャイニーズタイペイを国として認めていない。またチャイニーズタイペイも積極的に国であろうとはしていない。両国 (？) にとっては今の曖昧さが一番良いのだろう。
香港はまた一味違って国となる要件は揃っているのにその意思がないので地域ということらしい。それなら中国でいいだろう。マカオも同様だ。

事実は理解したが腑に落ちない。
だとすれば、かつては琉球王国が栄え、アメリカに統治された経験を持ち、往来するのにパスポートが必要だった頃もあり、米ドルが通用し、中国が狙っていると噂もある沖縄県が、仮に独立宣言などしたら日本国はどうするだろう？　認める国は出てくるだろうか？

想いはあらぬ方向へ飛んでいくが、国と国、または国と地域の関わりは他人事なら面白い。

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