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3-3.自分の感性をみつめるP③

オフサイトの事前研修とオンサイトの事前研修

書くPでは、オフサイト、実際に顔を突き合わせるリアルMTGと、オンサイトでの文字・ファイル等共有ツール(2011年まではML,以降はFBグループ)の双方で意思疎通を図る。

高校生には、事前にシートに書き込んでもらい、それを高校からFAXで送信してもらうことになった。
同時に大学生にも同じシートに自分の経験と五感を書いてもらう。

これらのシートをアップしてもらい、次のようなワーク2を課した。
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<ワーク2>「五感別に記したものをもっと具体的にする」
五感のところをもっと深めましょう。
例えばこのSさんのシートの例で説明します。
【触感】
「メガホンのビニールがパリパリした感じ」は、他人が見て「ああそういう感じだねと想像ができるくらいの表現にはなっています。ただもう少しつけ足してもいい。「パリパリした」というのを表現を変えたらどんな感じ?私は耳で「パリパリ」という音がする感じを想像しました。でもここでは触覚にあがっているので、手のひらで感じているのかな?固い感じかな?尖った感じかな?手に刺さるような感じなのかな?もっと膨らませてみてください。(文にまとまらなくてもOKです)
【嗅覚】
「私を包み込む熱気のにおい・芝のにおい」辺りはもう少し掘る余地もあります。「私を包み込む熱気」ってどんなもの?もう少し具体的にしてみましょう。「芝のにおい」ってどんな?青臭い?湿った感じ?鼻をくすぐる感じ?
【味覚】
「苦みのあるウーロン茶の味」。苦みをもう少し具体的に言ってみよう。どんな味なんだろう、あなたが感じた苦みは。この苦みは美味しかった?ツンと来る感じ?香ばしい?渋さがある?いろいろあるよね。

以上のような感じで、自分が書いた感覚をもっと膨らませてみましょう。五感全部やってください。

<ワーク3>「五感別に感じた時の感情・思いを記す」
※上記シートは、Tくんのワーク3終了時のもの。
ワーク3は「五感別に感じた時の感情・思いを記す」です。
手元にTくんのものがあるので、これを例にすると、
【触感】
自分のベタベタした手と釣り竿の硬い感触(黒字)→餌を触ってしまって気持ち悪い。釣り竿はつるつるしてすべりそうだが、手がべとべとしているせいでしっかりと手についている(赤字~ワーク2)
「ベタベタした手」はどうしてベタベタなのかと思っていたのですが、エサを触ってベタついていたということかな?「気持ち悪い」と記載されていますね。べとべと感が気持ち悪いということでしょうか?
今回は、こういう「感情」や「思い」を書いてください。
「つりざおの硬い感触・すべりそうな感触」は自分にとってどんな感覚なのか。感覚に対比して感情を書く、という作業をしてください。
「気持ち悪い」「心地いい」「好き」「嫌い」というと、その言葉でおわってしまうので、「その言葉を別の言い方に換えたらどうなるか」、「一つの感覚に対し、3ワードくらい」考えて書いてください。ワーク2と区別できるよう、青字で書くこと。

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ML上には、大学生からワークをこなす中で気づき、それが言葉として書き込まれたシートがアップされる。
高校生の書いたシートを受け取り、MLで共有した。
大学生には見ておくように勧め、T先生と私は大学生と高校生の組み合わせ(グループ分け)を高校生のシートを参考に検討する。
その過程で、自発的に大学生から次のような投稿があった。
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<掘り対策>
3年Oです。
高校生のシートをざっと見た感じでは、さすが高校生といいましょうか、空白はほとんどない気がします。
それでどのように掘るかですが、ワーク2に関しては、あった出来事の情景をもっと細かく聞き出し、言葉を引き出してあげればいいと思います。
問題はワーク3ですが、例えば「嬉しかった」という言葉を別の言い方で表現したり、少し変わった言葉で表現したり、その人らしさが出る言葉で表現させるのが目標だと思います。

ポイントは、それらを私たちが言い換えるのではなく、どう高校生自身から引き出すか。。。
残念ながら発想力のなさから、いいアイデアは浮かびません(泣)
しかし、以前の書くPのように、S高校のHPを見るなどして、高校生たちがここ数か月で経験した出来事をあらかじめ知っておけば、少しは掘りやすいかもしれません。
ちなみに9月に大運動会、10月に2年生は屋久島研修(山登り)というものがあったそうです。

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オフサイトの事前研修の前日(本番6日前)には、T先生から当日の大まかな流れがアップされた。
また別の大学生から次のような投稿があった。
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4年Mです。高校生の資料、確認しました。
内容的には以下の4つに分けられると思います。
1、体育祭(7人) 
2、部活(5人:弓道、テニス、柔道、吹奏楽、水泳) 
3、屋久島(3人) 
4、その他(2人:カラオケ、手芸)
掘り対策として、
・その時の情景を思い浮かばせる
・写真のような一つのシーン想像させる
・過去や未来の見える文を意識する
(例)楽しい、悔しいなどの感情に対して
→今までこんな気持ちになったことあるか
→その時と同じこと考えたか
→何で違う気持ちなのか など
以前の書くPも参考にしてみました。
高校生は、言葉がさらさら出てきそうな気がします(あくまで気ですが)。相手に伝えるために、どう言葉を選ばせるかが重要になってくると思います。
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書くPの目的は、大学生の自発的な意識の誘発や醸成にもある。
以上に紹介した投稿は、大学生が、課題(プログラム)を与えられたものではなく、自分のものとして向き合っている証左だと考えられる。

19日10時から、福大文系センター13階共同研究室で、事前研修を行った。
シナリオをもとに当日の流れを説明。
説明の重点は①今回の書くPの狙い、②90分の流れのなか、どこで自分たちが率先して動くべきか、そのときどう動くかを共有することにおいた。
その後、高校生と大学生を3つのグループに分けたうえで、高校生のシート(コピー)を担当する学生に配布し、各グループごとに対策を協議してもらった。

オフサイトの協議で決まったこと、問題点はML上にアップされ、メンバー間で共有する。オフサイトとオンサイトの連携、MLでの情報共有が、書くPの、大学生参画型プロジェクトとしての真骨頂をなす。
特にML上での学生同士のやりとり、提案、指摘がプログラムの成否と深度を決定する。

19日の午後、さっそく、次のような投稿がアップされた。
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<部活班 掘り方報告>
シート分析 Uさんの場合
①印象に残った出来事:部活中、柔道場で先輩と練習をしていて負けたことが悔しかった
②なぜ印象に残ったか:試合ではなく練習だけど、先輩に何回も負けて、悔しくて涙が出てきたから、
と書いてあります。ここから、キーワードを選び、それが表現されていた(されそうな)五感をピックアップします。
キーワード
何回も負けて: これは一日の出来事かどうか 時間のスパンを聞く
悔しい: 悔しさを五感のなかで表現させる
涙: 理由と気持ちを聞く 部員に涙は見られたか 

①と②が一番表現されていた(されそうな)五感をピックアップ
<触覚> 柔道着の固い布の感触、畳の冷たくて少し固い感触
→ここで肌に涙の感触は無かったのか
→今まで練習で涙したことはあったかなど、涙というワードで掘ってみる
<味覚> 口に入ってきてしまう汗の味
→汗と共に涙の味や感覚はなかったか(触覚ともつながる可能性あり)
<聴覚> ファイトーという掛け声、畳に投げられるときのドンという音
→自分への応援か、そうだとしたらどう感じたか
→何回も投げられるのと、一回投げられる場合の思いの違いはあるか   など

以上3つを挙げていますが、時間がなければ触角と聴覚を掘ります。
H君、一部勝手に内容変えました。ごめんね。補足があればお願いします。

最後に、私たちの目標
①、②を隠しても、五感の言葉だけで悔しさや涙を伝えられるようにする。
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結局、本番までにMLには84の投稿がアップされた。
オフサイトとオンラインの連携、MLでの情報共有が、学生参画型プロジェクトの書くPの特徴となった。書くPが「書く」ことを重視する所以はここにもある。

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