1億総活躍社会考〜ワーキングペアレンツ〜

先週末、ファルコン(娘・仮名)が熱を出して仕事を休んだ。

今週末、つまり今日、ファルコンの保育園の発表会で仕事を休んだ。

つまり、2週連続で仕事を休んだわけなのだが、それに伴って1億総活躍社会について考えさせられた。

私の職場は学校なので、子育てしながら働くことについてはそれなりに理解がある(と思う)。産休育休はもちろん取得できるし、出産に立ち会うために早退、あるいはこどもが熱出して欠勤もさせてくれる。しかし、させてくれるレベルであり、もちろん歓迎はされない。そして、人事権を掌握する校長自ら「小さい子供がいると雇ってもらえない場合が多い」という転職アドバイスをくださった。(つまり私の勤務校は小さい子供がいる女性は採用しない方針であることがわかる)

私はシングルマザーとはいえ、実家が目と鼻の先にあって母はほぼ専業主婦。そのため保育園の送迎やファルコンの急な発熱のときも任せて仕事ができる。しかも、仕事といっても取引先との商談があるわけでもアポイントがあるわけでもなく、学校の中で授業をするだけだ。これは授業が楽、というのではもちろんなく、最悪「自習」という選択ができる。生徒に迷惑はかけるが、会社(学校)に金銭的損失を即座に与えるわけでも、利益を逸するわけでもない。

これが、たとえシングルマザーでなかったとしても、夫婦共働きでどちらの両親も近くにいない、あるいは両親も現役で働いている場合、そして欠勤が会社の損失に即つながる仕事(そもそもそんな仕事である時点でその会社やばいけど。リスクヘッジ的に。)だった場合、一体全体どうすればいいのだろう。欠勤が会社の損失に即つながらなかったとしても、大抵の仕事は同僚にしわ寄せがいくはずだ。(その点教師はさほどのしわ寄せはない。困るのは自分と生徒)

そう考えると、仕事も子育ても頑張る、というスタイルはそもそも無理なのでは?両立が無理だというのではなく、どちらも自分の満足のいくようにするのが無理。どちらかに重点をおかなければならない。やりたい仕事を存分にやるためには、子供を誰かに預けなければならない。(両親であれ、シッターであれ。)そして子育てに一定以上の手間ひまをかけたいならば(たとえば病気の時はシッターではなく自分で看病する、子供の行事には参加するなど)、ある程度代わりのきく仕事でなければ成立しない。もちろん、大きな責任のある役職はちょっと難しいと思う。

でも、これって現代の働く母のメインストリームな受け止められ方だと思うけど、やっぱり打破していかなければならない気がする。

私は、この「ワーキングマザー問題」を考えるにあたってのキーパーソンは「働くお父さんたち」だと思う。

もちろん、子育てにさほど興味のないパパもたくさんいる。が、一定数いる(はずの)「子煩悩パパ」たちは、子育てよりも仕事再優先!という文化の中できっとたくさん我慢をしてきたんだと思う。運動会に行きたいけど仕事だからママ行ってきて。授業参観にも行きたいけど仕事だからママお願いね。休みの日ぐらい子供とゆっくり遊びたいけど、忙しくしていたら子供が離れてしまった...。

日本にはこういうお父さんがゴマンといる。そして、こういうお父さんが世の中を動かしている。つまり、「働く=子供との時間を多少諦める」というのが当然だと思っている人々。それがいい悪いではなくて、そういう人にとって、子供の運動会で会社を休まれるというのは、「え?俺だって行きたいのにがまんしてきたんですけど!」というやや割を食った感のあるものなんだと思う。そういう文化があったからこそ日本は発展してきたと思うし、ある意味では家庭内の分業が成り立っていた時代だったんだなと思う。戦後から平成10年ぐらいまでは。

専業主婦の文化ってそんなに長くなくて、戦前ぐらいまでは女性が働くの当然だったらしい。もちろん、今みたいに男女雇用機会均等なんかじゃなくて、社会的に男女分業だったわけだけど。外で働いていたらしい。

男女関係なく、仕事も子育ても、が笑顔で両立できる日が本当にくるのだろうか。私はそのためには、「働く=子供との時間を多少諦める」という常識を変えない限り無理だと思う。そしてその常識を変えるためには、「今まで我慢してきた人」をなんとかなだめる必要があるのだ。

「子育てしながら働いている間は、常に申し訳なさそうに働かなければならない」「俺だって子供の運動会行きたかったけど、1回も行けなかった」この2週間で職場の管理職に言われた言葉だ。もちろん気持ちはわかるけど、そのぶん一生懸命働いているんだから、そんなこと言わないで欲しかった。迷惑かけてるから申し訳ない気持ちはもちろんある。でも、迷惑なんてかけたりかけられたり、持ちつ持たれつなんじゃないの?その分働ける時に人の何倍も頑張ってるつもりなのに。申し訳なさそうにはたらいたら、ストレスもたまるし生産性も下がるし、職場の雰囲気だって悪くなるような気がするんだけどなあ。

子育てだけじゃなくて、介護にだって当てはまる。このままでは、お金のある人(外部委託できる)と人でのある人(都会出身)しか活躍できない社会になる。保育園や介護施設を作るよりも、もっと常識の変革に着手して欲しい。

やっぱり、世の中が行き詰まる最たる原因は、人間の思う「どうして私ばっかり」や「どうしてあいつばっかり」という妬み嫉み僻みの感情だ。


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