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終わったはずの平成が 硬貨の中で生きている

令和になった。

令和になる前は、連日テレビで平成を振り返る特集が組まれたり、平成にヒットした商品がリバイバルされたりと、「平成を懐かしむお祭り」が日本全国で繰り広げられていた。

令和になるとき、「予告された改元」という今までに体験したことのない歴史的瞬間を前に、人々は何をしたらいいのかわからずソワソワした。大晦日のように、カウントダウンをしてみたりした。

令和になったあと、誰も平成の話をしなくなった。毎日のように、「平成最後の…」を連発していたテレビは「令和初の…」しか言わなくなった。まるで、平成という時代なんか、最初から無かったかのように。

切符を買おうと小銭を探したとき、久しぶりに平成に出会った。終わったばかりの平成31年も、私が生まれた平成5年も。中には、昭和生まれもいた。

終わった時代に生まれたものも、世の中で回り続けていく。令和生まれの硬貨には、まだ出会っていない。これからきっと、多数派になっていくのだろうけど。終わったはずの平成も、硬貨の中で生き続ける。

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