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フィンランド留学記#3 おうちが見つかるまで

9月に入ってから、留学生向けの交流イベントがESN ouluという団体によっていくつも開催されていたので、私はそれに参加しては、会う人会う人に「家を探している」と言って回っていた。

どのイベントだったか、だいぶおぼろげなのだか、たしかコテージで大きなテーブルを囲んで、みんなで食事をするようなイベントだったと思う。私はそこでデルフィンというフランス人の女の子に出会った。

デルフィンも私と同じように、学生寮を用意してもらえず、滞在先を探している学生のひとりだった。でも彼女は、OMENA HOTELという街の中心にあるホテルを、1ヶ月分500ユーロちょっと(7万円弱)という、格安のプランでおさえていた。

(ちなみにOMENA HOTELは、日本語だとりんごホテルという意味。なんとなくまぬけな名前だ。🍎)

彼女が500ユーロ強でおさえていた部屋はダブル(というより、セミダブル)の部屋だったので、これを二人で割り勘して、一緒に住まわせてくれることになった。そうして、出会ったばかりのフレンチガールとの同居生活が始まったのだ!

大変だったのは、プライベートな空間が一切ないところ。電気も1ヶ所でしか調整できないので、お互いが就寝・起床のリズムを合わせないといけなかった。自分だけやらなければならない課題があるようなときは、上記の写真の机のところで、彼女が寝ている間に、暗い部屋でパソコンの光だけでやったりもした。また、ホステルに滞在していたときと同様に、ホテルにはキッチンがないので、1カ月間ずっと、ポットのお湯か電子レンジで調理できるレトルト食品を食べるしかなかった。

でも楽しいこともあった。毎日のように寝る前に、デルフィンのパソコンで映画を観ていた。恋愛映画やディズニー映画を一緒にみて、感想を言い合う日々は楽しかった。

ある日、わたしが寝ている間に日本語で寝言を言っていたらしい。デルフィンが、「I don't understand, say it in English(わからないから、英語で言ってよ) 」と言うと、わたしが英語でもにょもにょと寝言を言い出したという。翌朝、彼女からその話を聞いて、二人で笑ったのもいい思い出だ。

1カ月をホテルで過ごしたあと、なんとか見つかった一軒家にデルフィンと移り住み、彼女の留学期間が終わるまでの5カ月間を共に過ごした。留学のはじめに、彼女に出会うことができたのは、本当に幸運だったと思う。

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