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気を許した人としか話したくなかった


中2の時、それは私にとって暗黒の1年だった。

中1の時のクラスは、とても居心地が良くて楽しかった。比較的、みんな仲が良く平和的なクラスだった。
当時、うちの中学は人数が多すぎて、2年に上がる時に学校が二つに分かれる事になった。その新しい学校には、クラスでも特に仲良くしている子が数名行ってしまう事になっていた。さらに、他にも仲良くしている子が2人転校するという。
私は、仕方のない事だと思ったけど、寂しい気持ちが大きかった。

2年に上がった時、新しいクラスには好きな子がいた。とても嬉しかったけれど、なんだか素直に喜べなかった。
新しいクラスには、同じ部活で仲良くしている子もいたし、小学生の頃から仲が良かった子もいた。だから、別に友達がいない訳じゃないから寂しい訳でもなかった。だけど、なんとなくつまらなかった。

そのクラスは、運動部でキラキラしたような人が多くいた。それに、ヤンキーっぽい人もそれなりにいた。私は、地味な存在だったので、余計にそんなクラスに馴染む事ができなかった。

もちろん、さっきも書いたけど、友達がいない訳じゃない。休み時間を楽しく過ごす友達はちゃんといた。
それに、好きな子も同じクラスだったので、ちらちらと見てはこっそり喜んでもいた。

だけど、だけど、何かが違うと心が感じてしまっていた。

1年の時のクラスがあまりにも良すぎて、つい比べてしまっていた。クラスは1年ごとに変わるのだから、比べたって仕方がないのに。仲の良かった友達がいない、そのクラスに馴染む努力を私はしようとしなかった。

そうやって、限られた人とだけ話をする分にはまだよかった。

私が嫌だったのは、班で活動する事だ。
いろいろな教科で、班で活動をする事がある。よくある、席が近い者や出席番号順で4~6名くらいでグループになって行う授業。そんな時が嫌でたまらなかった。
どうして、たいして仲の良くない人とグループを作らないといけないの?
どうして、たいして仲の良くない人と話さなくちゃいけないの?
今思うと、それは幼稚な考え極まりないのだけど、当時は本気で考えていた。きっと、中2だったし中2病を発病していたのだと思う。

私はそんな時、必要な事以外は話す事をしなかった。ずーっと黙っていた。
同じ班だった人は、そんな私が気持ち悪かった事だと思う。私だって、同じグループに黙りこくって何もしゃべらない人がいたら、なんか嫌だ。
分かっているけど、本当に気を許した人としか話したくなかったのだ。

話は変わるけど、私は中学の時塾に通っていた。塾といっても5教科が学べる本格的な塾ではなくて、学校の先生が副業的に教えてくれる数学と、その先生の奥さんが教えてくれる英語の塾だ。
特に数学は先生の自宅の居間で3人くらいで勉強していた。
数学のクラスでは、同じクラスの女の子もいた。その子は運動部のキラキラグループの子だった。塾の時は、私はその子と話す事ができた。学校では話せないけど、塾では話す事ができたのは不思議だった。

だけど、やっぱり学校では話せなかった。

夏休みが終わり、2学期になっても、やっぱり私は馴染めなかった。それでも、体育祭や遠足などの行事は協力して楽しむ事はできていた。

そして、冬休みが終わり、3学期になってもイマイチ馴染めなかった。
3学期も終わりになると、クラスの女子の中でサイン帳がまわる。
そんな時、私の所には来ないのかなと思ったら、サイン帳はまわってきた。私は、そのまわってきたサイン帳を精一杯、丁寧にかわいく書いた。そして、私もサイン帳をまわした。そのサイン帳には、みんなもかわいく書いてくれていた。

最後の日には、クラスの女子でお楽しみ会みたいな事をした。みんなでお菓子を食べたり、フルーツバスケットをしたりして遊んだ。
その時、やっとそれが楽しいと思った。遅過ぎるけど、そう思った。

結局、私が悪かったんだ。最初から、心を開いて接していればみんなも私に心を開いてくれたのに。なのに、私は最初から心を閉じていた。そんな私には誰も心を開いてくれるはずなんて、ない。
私の学校生活のうち、一番の暗黒時代が中2だった訳だけど、それは誰が悪かった訳ではなく、私の心の弱さが招いたものだった。

中3に上がる時には、私は心を開いてみんなと接する事にした。すると、みんなも私に心を開いて接してくれた。中3のクラスも、中1の時のクラスに負けず、とても平和的で楽しいクラスだった。
すべては、私の心の持ち方ひとつなんだと分かった。

それからは、高校に上がってもこちらから心を開いて接するようにした。高校のクラスは、そのおかげかどのクラスでも楽しかった。

社会人になってからしばらくは心を開けずに辛かったけど、心を開いてからは、みんなに可愛がってもらえた。それは、新しい会社に移っても。

私が人見知りなのに、心を開いて人に接する事ができるのは、あの中2の時の経験があったからだ。あの1年間は、暗黒時代でつまらなかったけど、あの時の事があったから、今の私になったのだと思う。


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