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AI時代に初期衝動でマンガを描くということ 【まんが0.1】

2023年11月26日、12月16日の2日間に渡り、川崎市高津区役所で開催された「マンガの描き方が身につく!ワークショップ」で講師を務めてきました。

2023年9月に「秋のふるさと館まつり」内で開催された90分間ワークショップに続き、マンガを活用して地域の「当事者を増やす」活動になります。

壮大で長期的な活動になっていくポテンシャルまでも感じられたイベントだったので、熱が冷めやらぬうちにレポート記事を作っておこうと思います。

■マンガの醍醐味が詰まっている4ページマンガを作る!

私が原作を担当し、えんどうあかりさん(東京藝術大学大学院美術研究家デザイン専攻第10研究室修士1年。藝大の漫画サークルに所属)と共に作成した4ページ漫画をお手本にしてもらいました。

©️Takashi Mizuno, Akari Endo
©️Takashi Mizuno, Akari Endo
©️Takashi Mizuno, Akari Endo
©️Takashi Mizuno, Akari Endo

4ページマンガの基本構成を理解して、その仕組みで自分の作品を作れるようになれば、16ページでも30ページでも、もっと長編でも、面白く作れる!
ということを学んでもらえたらと考え、
参加者みんなが各自の4ページマンガを作ることをゴールに設定しました。

…とサラッと書いてみましたが、これって
かなりハードルの高いことを目指しているのです。

漫画家志望者が集まる学校で開催するならまだしも、
ちょっとマンガに興味がある、くらいの人たちが集うイベントで
果たして成立するのか…???
実のところ、開始前は結構不安でした。。

■創造力がほとばしる子どもたち! 悩んで筆が止まる大人たち…

その不安は全くの杞憂でした。

「小学生以下コース」では開始早々から描きたい欲求がほとばしる子どもたちに圧倒されるほど。

子どもたちの溢れ出る創造エネルギーを浴びて、5歳くらい若返った気分です。

終了後、机いっぱいに広がる消しゴムのカスは、彼らの奮闘の証に思えて、輝いてすら見えました。


その一方で「中学生以上コース」では、悩み過ぎて筆が止まる人も少なくなく、ちょっと厳しいかも…と思ったりもしていました。

が、2日目の90分間を終える頃には全作品が傑作の片鱗を見せているではありませんか!

互いの作品を発表しあう参加者の方々

中でも、商業誌に掲載されていても不思議でないレベルの作品を描いていた人が中学2年生だったり…!!と、
とてつもない可能性を感じられた一日でした。

「小学生以下コース」と「中学生以上コース」、それぞれの違いも非常に面白かったです。

■AI時代だからこそ「まんが0.1」の意義は大きくなる

前の記事 「当事者を増やす」マンガの在り方 【まんが0.1】 でも記しましたが、
「膨大な人たちに届く」ことだけが正義ではない
マンガの在り方への関心が私の中で最近高まってきています。

ヒットコンテンツや人気漫画家に依拠するのではなく、
みんながプロを目指すでもなく、
まちの市民の皆さんが当事者となり、
日常的にマンガを描き、街中で自分の作品をお互いに見せ合う

そんな文化を広げていきたいと思っています。

まんが0.1」の取り組みです。

今後も今回のようなワークショップを各地で開催していきたいと思っています。
また、東京藝大でのアート研究にも繋げていけるかも?と考えたりもしています。

2024年も生成AIの勢いは止まることがないでしょう。
それによって拓かれていくクリエイティブの未来もとても面白そうです。

私も画像生成AIを本格的に使いこなせるようになろうと思い、
年始からMidjourney のトレーニングを始めました。


そんな時代だからこそ、
多くの人が子どもの頃に味わった
白い紙に無心にえんぴつやクレヨンを走らせていく
初期衝動に近い喜び
にもまた、大いなる可能性があると思うのです。

AIによる創造とは対極に見えて、根っこは同じでもあるのかもしれません。

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