見出し画像

モナ・リザは今日も出張

友人と初めて訪れたパリでルーブル美術館に行こうという話になったのも
「パリに行ったら行くでしょ、ルーブル!」
くらいのノリで、大して下調べもせずメトロカード片手に乗り込んだ。

さすがはルーブル美術館。
私くらいのど素人でも
「あ、世界史の教科書に出てた!」
「なんか見たことある!」
な大勢の有名人達が迎えてくれてテンションがあがる。
それは、ミロのビーナスだったりダビデ像だったりナポレオンだったり。

画像1

やっぱ本物はオーラ半端ないね。
数世紀にわたり世界中の色んな人が色んな想いで眺めたであろう作品たちの前で私も佇んでみる。
「こんにちは。あ、いやぼんじゅーる、かな。。」
気後れ気味に彼らに挨拶をしながら(もちろん心の中でね)、ぼーっと突っ立ている間に時間は過ぎる。
そう、ルーブルは一日じゃとても回り切れないくらい広いのだ。

時間がない、だけどパリに、ルーブルに来たからには彼女を一目見たい。
名画の森を潜り抜け大急ぎで向かった先は、そう、お察しの通り?モナ・リザである。
理由はやはり有名人だからであり、そしてなぜこのこちらに向かって不敵な笑みを浮かべる眉なし女性が長年人々の心を掴み続けているのか釈然としないからである。
「本物見たらやっぱ違うのかも、すごいのかも、良さがわかるのかも!」
審美眼等ないのに張り切る。

がしかし。
モナ・リザは海外出張中だった。
名画ほど世界各地の企画展に引っ張りだこな為、不在の事が多いようだ。
おとなしそうに見えて実はバリキャリだな、とつまらぬ冗談を言って下調べしてこなかった自分たちの落ち度をやり過ごした。
そうはいってもモナ・リザが描かれたのは実に500年以上前。
魔女レベルのおばあちゃんではないか。運搬技術が発達した昨今とはいえあまりに多忙ではご老体を案じられる。ムリしないでね。

編集:アカ ヨシロウ

ジャンルも切り口もなんでもアリ、10名以上のライターが平日毎日更新しているマガジンはこちら。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?