実家の片づけと並行して、家計の見直しや整理を行っていた。
それまでの両親のお金の使い方では、これからの賃貸の生活はできない。
何にいくら使っているのか、使ってよいのかを、今後はきちんと管理していかなければならない。
 
これも本当に大変な作業だった。
父の通帳が3つ、母の通帳が4つ。なんでこんなに通帳があるのか？
年金が入ってくる銀行と、借金が引き落とされる銀行が、なぜ違うのだ？
クレジットカードが、一体何枚あるのだ？
どのクレジットカードで、何を払っているのかも、よくわかっていない。
こっちのお金をこっちに入れて、と毎月、無駄な労力と手数料と交通費を使っている。
 
まず、わかりやすくするために、クレジットカード払いになっているものを、通帳引落に変更していく。
銀行引落も、年金が振り込まれる銀行に集約していく。
最終的には、一人一つずつの通帳に集約することを目指す。
不明なものは、カード明細を紙で取り寄せたり、内容をネットで調べたりして確かめ、一つずつ解約していく。
 
年金収入から、水道光熱費、保険料、など差し引いて、一か月に使える食費＋日用品費は、月60,000円とした。
二人で6万円は、そんなに厳しい金額ではないはず。
ひとりずつのお小遣いとして、15,000円ずつ。医療費込み。
父に15,000円、母には食費＋日用品費込みの75,000円。
これらを毎月現金で渡し、現金出納帳をノートにつけてもらうこととした。
現金出納帳というと、大層な名前に聞こえるが、要は、おこづかい帳である。
小学生でもつけられる、足し算と引き算だけの帳面である。
これを私が、毎月内容をチェックし、何が無駄なのか、節約できるのかを指摘していった。
 
そんなこんなをやっている最中に、母が新たに借金をした。
私は母にブチ切れた。
何をしてくれてるんだーー！今いろいろ整理しているところなのにーー！

母が言うには、こういういきさつ。
某信用金庫の担当者が家に来て、今貸している分を完済してほしいと言ってきた。
もちろん、返せるわけはないので、「返せません」というと、それでは、借りなおしをしてください、と言われた。
年金の振込先を、この信金に変更し、ほかの信金や銀行から借りているお金をすべて、借りなおしたお金で返済してください、と。
それで、新たに借り入れをしてしまった。
母は、兄に電話して「良かれと思って、良かれと思ってしたことなのに！」と号泣していたそうだ。
こういう時、やさしい兄がいてくれてほんとに助かったなと思った。

納得がいかないが、借りてしまったものは、しょうがない。
これを活かす方向に、計算をやり直すしかない。
信金さんに言われた通りに、ほかの金融機関の借金を、このお金で返済し、
それによって完済できた金融機関は、解約した。
 
毎月、決まった金額の範囲内で、やりくりするということを、両親はしてこなかった。
現金出納帳生活を始めて、母は、お金の範囲内でやりくりできていたし、帳面もきちんとつけていた。
しかし、父は時間がかかった。「足りなければ、借りればいい」という考え方が、しみついていた。
長年の習慣や価値観を変えることは、なかなか難しいようであった。

次回は、新居の賃貸物件探しについて書こうと思います。