見出し画像

最近読んだ本の話 vol.96

 「最近読んだ本の話」の第96弾です。暖かくなって桜が散りつつある中、ツツジが咲き始めました。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1
村山 由佳『ある愛の寓話』 

原点回帰にして到達点。猫、犬、馬、人形など、異質な存在との交歓によって導かれるカタルシス、圧倒的な熱量をはらんだ作品集です。

Amazonより引用

 6つの愛にまつわる物語が収録されています。1つ目の『晴れた空の下』は、最後にそうだったのか!とわかって、涙がドバっと出ました。美しい愛です。自分が大切にしてきたぬいぐるみを一緒に大切にしてくれる人と巡り合えるのは幸せですね。不思議な物語ばかりなのだけど、説得力があるというか、そういう人もいるよね、と思えてしまう素晴らしい描写力です。村山さんの長編小説しか読んだことがなかったのですが、短編もいい!独特の世界が描かれているんだけど、主人公の気持ちが十分に伝わってきて、ジーンとします。


2、岩井 圭也『完全なる白銀』

山岳×青春×ミステリ、最大級の感動作
写真家として活動する藤谷緑里はアラスカに向かっていた。シーラと北米最高峰デナリに挑むためだ。
緑里とシーラの旧友、リタ・ウルラクは新鋭の女性登山家として名を馳せていた。リタとシーラの故郷、サウニケは北極海に面した小さな島だが、90年代後半から地球温暖化の影響で海に浸食されている。このままでは島は海に沈む――そんな故郷の危機を世界に知らしめる。それがリタが登山家として名を上げようとした理由だった。だがリタは冬季デナリ単独行に挑み、下山途中に消息を絶ってしまう。頂上から「完全なる白銀」を見た――という言葉を残して。
行方不明となったあと、リタの言動を疑ったマスコミは彼女を<冬の女王>ではなく<詐称の女王>と書き立てた。緑里とシーラは、リタが登頂した証を求めるべくデナリに挑むことに。だが世界最難関の山への登攀は、一筋縄にはいかない。ブリザード、霧、荷物の遺失、高度障害……二人の信頼関係も揺らぐ。さまざまな困難を乗り越え、北米大陸で最も高い地へ手を伸ばす緑里。その先に見えたものとは。
極限の高地だけでなく、社会でも闘う女性たちを描きだす、気鋭の著者の新境地。

Amazonより引用

 ⅠからⅩまでの10章からで構成されていて、2023年の現在と、過去の何年かの時代のできごとが交互に描かれています。
 主人公の緑里は写真家で、冬のアラスカに向かっています。友人のシーラと北米最高峰のデナリに登頂するためです。なぜそんなことになったのか、緑里は学生時代にどうしても行ってみたかったサウニケという北極海に面した小さな島に行きます。そこで知り合ったリタとシーラと仲良くなります。サウニケは、地球温暖化の影響で海に浸食されていてこのままでは島は海に沈んでしまう、その危機を世界に知らしめるためにリタは登山家になりました。自分が北米最高峰デナリの冬季単独登頂に成功したら、緑里に写真を撮ってほしい、そう約束していたのですが、リタは行方不明になってしまいます。心無い記者にリタの今までの登頂は詐称だったのではないかという記事を書かれてしまい、緑里とシーラはリタの登頂を証明できる何かを見つけるためその後何年もトレーニングをして、とうとう2人で冬のデナリに登頂するのですが…。2人がぎくしゃくしながら登り始めますがいろんな出来事に見舞われて、だんだん心が近づいてきます。私は冬山に登ろうと思ったことはないのですが、読みながら2人の過酷な挑戦を一緒に体験した気持ちになりました。凍った崖みたいなところを登るのは、私には絶対できないと思うけど。


3、阿刀田 高『小説作法の奥義』

文筆生活60年。生み出した小説は900篇超。それを可能にした手の内、明かします。小説が躍動する登場人物命名法、読者を満足させる〈九合目の理論〉、書き出しとタイトルのパターンとコツ、本を持たない蔵書術――短篇の名手にして古典名作案内「知っていますか」シリーズの著者が、来し方を振り返りつつ、培ってきた実践的テクニックとアイデアを大公開。創作を志す人々必読の知的興奮に満ちた全10章!

Amazonより引用

 また小説の書き方の本を読んでしまいました。やり方は人によって違うはずなので、色んな方法を知りたくなってしまいます。この本には短編小説の発想のヒントがたくさん書かれています。思い付いて発想を繋げていって、それで書けるっていうところが技術だよなあ。文章を書く力って、書き続けていけば上達するようになるのかなあ。


 もう4月になりました。毎日が慌ただしく過ぎていきます。今年になってもう3か月たったんだ!最後までお読みくださってありがとうございました。

この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?