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最近読んだ本の話 vol.54

 「最近読んだ本の話」の第54弾です。今週はとても寒かったですが、梅の花が綺麗に咲いていました。桜はあと1か月ぐらいでしょうか。今週は、最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、李琴峰『生を祝う』

「あなたは、この世界に生まれてきたいですか」
子どもを産むためには、その子からの同意が必要となる世界を舞台にした衝撃作。
『彼岸花の咲く島』で芥川賞を受賞した著者による、芥川賞受賞第一作。
                       -Amazonより引用-

 子どもの同意なく子どもを産むことが犯罪になってしまう世界の物語です。どのようにして胎児の意思を確認するかというと、妊娠して8か月目の段階で、検査をします。電波を使って、胎児に両親の様々なデータや本人のデータを指数化して生きづらさを10段階であらわした数値を伝えて、返ってきた反応で生まれたいかどうかを判断します。こんなことになったらどうなるんやろう?と、こわごわ読みました。最後の主人公の決断が、そうなんや、と意外に思ったんだけど、もし自分がこの物語の世界にいたらどうしただろう?検査が間違ってる可能性を疑ってしまうやろうなあ、と思いました。


2、ロベルト・ヴェラーヘン『アントワネット』

几帳面な「ぼく」と自由なアントワネットは、愛に満ちた理想の二人だった――子供に恵まれないことをのぞいては。
病院で診察を受けるも原因は不明。時はいたずらに過ぎ、夫婦の間の亀裂は少しずつ広がっていく。
不妊治療に臨む夫婦を夫の視点から描く、オランダの実力派による文芸作品。
美しい過去への憧憬が、静かに、確かに、胸を打つ。 -Amazonより引用-

 ハンガリーのブダペストにある「サーマルバス」というプールのような温泉浴場で、アントワネットという女性を待つ主人公と周りの光景がとても美しい描写で描かれています。主人公たちには何があったんだろう?と思いながら読み進むと、なかなか子供に恵まれない夫婦だったことがわかってきて…。検査をしても夫婦どちらにも何も原因が見つからず、だけど何年も子どもができなくて、少しずつ2人の間が広がっていってしまいます。もしこの状況に自分がなっていたとしたら?と、想像しようとするのですが、私はどうしても子どもが欲しいと思ったことがないので、この夫と同じような考え方になってしまうんじゃないかと思いました。なんとか科学的に解決できたらいいのにと思います。1冊目にご紹介した『生を祝う』では、出産が今よりずっと簡単にできるようになった世界が描かれています。それでも産むには子どもの同意が必要なんだけど…。不妊治療の成功率がもっと上がってほしいです。


3、冲方 丁『生き残る作家、生き残れない作家』

作家・冲方丁が、25年ものあいだ生き残ることができたのはなぜか「? HOWでなくWHYを知ること」「言葉・文章・描写の特質を理解すること」「物語る存在として生きること」。作家であり続けるためのシンプルかつ不可欠な原則を伝える、大人気創作講座の完全書籍化。   -Amazonより引用-

 興味のある題名だったので、思わず手に取りました。冲方さんは30代の時に6億円稼いだのに、40代になった時にはほとんど手元に残っていなくて、また書いて稼げばいいや、と考えているという、メンタルがすごい人です。なぜ書き続けられるのか、その秘訣が紹介されています。書く理由が重要だそうです。それがあればずっと続けられるような書いていく上で芯になる理由を、私も意識しようと思いました。

 

 今週は「最近読んだ本の話」を書くことができました。最近読みたい本のリストを作ったので、それだけでワクワクしています。地道に少しずつ読んでいきます。最後までお読みくださってありがとうございました。

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