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【読書感想文】 まったく予想がつかない怒涛の展開に圧倒 『マリアビートル』

東北新幹線は1982年に開業しました。

以来40年、毎日たくさんの人を乗せて走っています。

私が初めて新幹線に乗ったのは10代の頃でした。

当時はお菓子を食べるのに忙しく、景色を眺めたり、感慨にふけったりすることはまったくありませんでした。

しかし、頻繁に乗るわけではないせいか、大人になった今の方が乗車すると何となくワクワクするので不思議です。

まったく予想のつかない怒涛の展開が繰り広げられる様に圧倒

本日は、『マリアビートル』(伊坂幸太郎 著)をご紹介します。

東京駅から盛岡駅まで走行する東北新幹線の車内で、個性豊かな殺し屋たちと悪魔のような中学生が、狙い狙われ交錯する物語。

殺し屋シリーズの2作目。

新幹線という動く密室で、数時間のうちにまったく予想のつかない怒涛の展開が繰り広げられる様に圧倒されてしまいました。

物語の疾走感と最後の最後まで驚かせてくれる仕掛けが見事

兎に角、ありとあらゆる業種の殺し屋たちが皆人間味溢れていて、とても面白い。

そして、殺し屋たちが右往左往すればするほど愛おしく、殺し屋なのにヒーローに思える瞬間があります。

それに対して、狡猾こうかつで人間の振りをしているような中学生には終始苛立いらだちを感じ続けていました。 

しかし、終盤に思いも寄らない殺し屋の登場で溜飲は下がり、カッコ良いとさえ思ったものの、本当の結末は読者の想像に委ねられているため、詳しく知りたい気持ちと知りたくない気持ちの狭間で身震いしたのでした。

それにしても、物語の疾走感と最後の最後まで驚かせてくれる仕掛けが見事です。

人の死が淡々と描かれることに抵抗を感じる方もいらっしゃると思いますが、個人的には素晴らしいエンターテインメント小説のひとつだと思わずにはいられません。

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P.S.

現在、『マリアビートル』を原作にした映画『ブレット・トレイン』が絶賛上映中です。

奥田民生氏が歌う挿入歌『Kill Me Pretty』も素晴らしいと評判なので、観てみたいなと思っております。

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