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【読書感想文】 緊迫感の中に家族愛と友情が溢れている 『AX』

屋根から煙突が出ているお宅が近所にあります。

敷地の隅に薪がストックされているところを見ると、暖炉か薪ストーブがあるようです。

今年のゴールデンウィーク、ふと見るとどこから入手したのか駐車スペースに大量の薪が山積みになっていて、オレンジ色のツナギを着たご主人と思われる男性が薪割りを始めました。

しかし、量が多すぎて1日では終わりません。

そして、山積みのまま放置されること数日、突然それが綺麗に消えてなくなっていました。

見える限りですが、ストックの量はそんなに変わっていないだけにどこに消えたのか謎です。

それにしても、北海道では当たり前かもしれませんが、最近、暖炉や薪ストーブがある家が増えたような気がします。

個人的な印象では、暖炉に憧れるのは男性が多いように感じますが、どうでしょうか。

緊迫感の中に家族愛と友情が溢れている

本日は、『AX』(伊坂幸太郎 著)をご紹介します。

第6回静岡書店大賞(小説部門)大賞受賞作

有能だけど恐妻家の殺し屋が、家族を持ったことで罪の重さや生命の尊さに気づいていき、どうにか殺し屋稼業を辞めようと格闘する物語。

『グラスホッパー』、『マリアビートル』に連なる殺し屋シリーズの3作目。

生きるか死ぬかの緊迫感の中に家族愛と友情が溢れていて、切なくも温かい気持ちになりました。

主人公は最高の父親で夫

物騒な身分を隠して普通を装うのは難しいことなのに、最大限に気をつかい妻の怒りに触れないことでそれをクリアしている様が滑稽です。

しかしながら、大切な家庭を存続させるには、そうするのが最良だとしか思えない人生を主人公は送ってきたのだろうと想像すると哀しくもなります。

でも、家族を持ったことで人の心を知っていったのは救いで、さらに本来の誠実な人柄が幸いし、友を得て、積年の想いを果たし、ずっと家族を想い守る姿はとても格好良かったです。

主人公は殺し屋であったけれども、最高の父親で、夫でした。

そして、そんな父親を持った息子が立派な良い子であることがさらに素敵です。

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P.S.

中盤の急展開に驚き、見事な伏線の回収っぷりに感服し、心の中で悶絶しました。

伊坂さん、流石です。

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