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【読書感想文】 息づかいが聴こえてきそうな描写と後半の伏線回収が見事 『グラスホッパー』

私は虫が苦手です。

夏の夜に窓を開けるとたまに飛び込んでくる謎の虫に何度絶叫したか知れません。

別に何の悪さもしないと言われても、同じ空間に居るのは恐怖です。

子供の頃はカブトムシを飼っていたことがあるのですが、今となってはよく飼えたものだと不思議に思えます。

克服するのはもうとっくに諦めているので、せめて害がないものとは、なんとか上手く交わしながら共存していけたら良いと考える今日この頃です。

「今まで書いた小説のなかで一番達成感があった」

本日は、『グラスホッパー』(伊坂幸太郎 著)をご紹介します。

2004年に刊行され、第132回直木三十五賞の候補作になりました。

2008年に漫画化、2015年には実写映画化されています。

著者曰く、「今まで書いた小説のなかで一番達成感があった」という作品です。

息づかいが聴こえてきそうな生々しい描写と後半の伏線回収が見事

そんなこの作品は、殺された妻の復讐をしようとする男、自殺させる殺し屋、ナイフ使いの殺し屋がそれぞれの理由で押し屋と呼ばれる殺し屋を追いかける物語。

殺し屋シリーズの1作目。

誰がいつどうなってしまうのかという緊張感が終始張りつめていて気が抜けなかったのですが、まったく関係がなかったこの3人がどこでどのように繋がっていくのかがとても楽しみでしょうがなかったです。

息づかいが聴こえてきそうな生々しい描写と後半の伏線回収が見事で、最後まで驚かされ、思わず唸ってしまいました。

そして、登場人物のほぼ全員が悪人なのですが、皆が必死で追いかける押し屋が意外にも人の心があるところに只者ただものじゃなさが現れていて、空恐ろしかったです。

悪の組織や怪獣と戦う変身ヒーローみたいに思えたのはたぶん私だけでしょうけれども…。

それにしても、現実にこんな業界があったらたまったもんじゃないというのが私の本音です。

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P.S.

読書メモを見てみたら、「ナイフ使いの殺し屋のナイフ使いが見事すぎる。武士だったらきっと惚れてる」と書いてあって、我ながら呆れました。

もっとちゃんとしたこと書きなさいよ、私。

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