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「知る」ために「知らせる」ことの大切さ

昨晩、ニュースを観ていたら「きょうだい」について取り上げられていました。
「きょうだい」とは「きょうだい児」とも呼ばれます。

自分の兄弟や姉妹に障がいや病気を持っていることで日常的に看護や介護が必要な家族が居る家庭で育つ子供を「きょうだい」と呼んで、そのような障がいや病気を持っている家族(両親や祖父母など)が居る環境で育つ子供を「ヤングケアラー」と言います。

ヤングケアラーについては国や自治体でその支援を始めることがニュース等で取り上げられてきたことから、ここ数年でその言葉が広く知られるようになって来ました。
同時にヤングケアラーが抱える問題もそこで伝えられることで、ただ美談で終わることが無くなってきたのも良いことだと思います。

ひと昔前だったら、家族の介護や看護をしたり、家事などを行なう子供を観た時に「頑張ってるね」「偉いね」と美談として終わらせてしまっていたことが、実はその子の成長にとって大きな障がいとなっており、将来的につらい生き方を強いられてしまうことまで考えられていませんでした。

普通であれば学校が終わった後、友達と遊びに行ったり習い事や部活をしたり、とコミュニケーションを学んだり、友達と居ることの楽しさや喧嘩をするつらさとか、そういったことを学びます。

ですがヤングケアラー・きょうだいにはそういう時間が無く、学校が終わったら夕飯の買い物、家に帰って炊事や洗濯に掃除、家族の介護や看護をしなければならず、さらに自分の勉強などもしなければならないとなれば、その子が「子どもらしく」成長することが出来なくなります。

ですがその本人である子供は、生まれた時からその環境が「普通・当たり前」であるため、その環境に何の疑問も持ちません。
もちろん、他の友達が遊んだり習い事をしているのを観て「うらやましい」と思うことはあります。
(実際に私の元にカウンセリングに来られている方の中には、そういった方も居ます)

うらやましいとは思っても、自分は家族の面倒を見なければならないという責任感や使命感がその頃からついてしまっているため、それを言い出すことも出来ず、ココロの中に寂しさは悲しさを抱えながらも日常の忙しさに埋没してしまいます。

これは例えば、家庭内で日常的に身体的、心理的暴力があるようないわゆる「虐待」がある家庭でも、そこで育つ子供にとってはそれが「日常」であり、自分にとって「普通・当たり前」の環境であることから、その環境を「おかしい」と思わないことと同じです。

それがオトナになった時に「生きづらさ」としてコミュニケーション不全を起こしたり、人間関係で悩みストレスや不安を抱えてしまう「アダルトチルドレン」となってしまう。
このようなことはそれまで、言われることはありませんでした。

ですが今ではそのような環境は「機能不全家庭」であり、虐待の一つであると考えられるようになってきたことで、そのような環境にいる子供に手を差し伸べようとすることはとても大切です。

このように「知らせる」ことで自分がヤングケアラーやきょうだいであると『知る』ことが出来たら、そこから彼らの生き方を変えて行けたり、知る事で声を上げることが出来るようになれば、その子の将来は変わって行きます。

つまり「知らせる」ことで『知る事』が出来て、自分が助けを求めても良い、声を上げて良いと安心出来る環境を整えることは、これからも課題となると考えています。

同じようにアダルトチルドレンや機能不全家庭といったことも、知る事でその後は変わって行きます。

私がこれまで「虐待防止」に関する講座を開き、その中で毒親や機能不全家庭、アダルトチルドレンの連鎖についてお伝えして来ているのはまさに、自分が「そういう環境で育った」ことを知ってもらい、そこで「自分は何も悪くなかった」ことを知ってもらうことを目的としています。

虐待の連鎖は機能不全家庭の連鎖であり、毒親↔アダルトチルドレン↔機能不全家庭のどこかを断ち切ることで虐待そのものを無くしていく。
そこにはヤングケアラーやきょうだいも含まれています。

マスコミはまだそこまでのことが分かっていないのか、政治もまだそこを知らないのか、ここに関しては全くと言って良いほど取り上げてもらえません。
だからと言って何も言わなければ、虐待の連鎖が止むこともありません。

講座を受けて下さる方の中には、その講座の話を聴く事で自分が「アダルトチルドレン」であり、自分が育った家庭は「機能不全家庭」であったことを知り、そこから自分を変えて行こうと行動を始める方も居ます。
そういう方が一人でもいてくれる限り、私はこのような講座を開催したり、SNS等で情報発信を続けることが私の使命だと考えてもいます。

ただ、知らせるのは何もマスコミやSNSだけではありません。
もし皆さんの周りに家族の介護や看護、家事などをしている子供がいたらちょっと気を配ってあげて下さい。

そしてその子が「子供らしく」居られていないと感じたら、声を掛けてあげて下さい。
そしてそのような子供たちへの支援があることも教えてあげて下さい。
もしかしたらあなたのその「一言」で、その子の人生が大きく変わるかも知れませんから。



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