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シェイクスピア全集(松岡和子訳):⑪ベリクリーズ/⑫タイタス・アンドロニカス/⑭コリオレイナス/⑮お気に召すまま

シェイクスピア全集を読もう!第3弾。

読んだ時の感想をなるべくそのままのせることにする。
「メモ」部分は他の方の感想を聞いたりして、後で捕捉した。

シェイクスピア全集11 ベリクリーズ

タイアという国の領主であるベリクリーズは、あるいきさつから国を追われ、各地を転々とする。殺されそうになったり、嵐にあって死にそうになったり、途中の島で結婚したり、妻子と離れ離れになったり。

タイトルすら聞いたこともなく、予備知識ゼロで読み始めたが、意外と読みやすい。
一幕ごとに語りが出てきて、先に説明してくれるし、登場人物は多いけど、いっぺんに出てこないで徐々に登場するので混乱が少ない。

「喜劇」だとたいして面白くもないジョークを連発して脱線するのでイライラしたりするけど、この戯曲は、全くそんなことがなく、展開が早いのでどんどん先を読みたくなる。
結末は「悲劇」なのかどうかさえ知らずに読み始めたので、どうなるのかとハラハラもしたが、全集を読み始めてから、いまのところ、最も期待した展開になった作品だ。

*メモ
海難事故を扱った話としては、「テンペスト」と共通点が。
地名は、新約聖書に出てくるものだそう。
地図もついていたのでイメージしやすかった。

シェイクスピア全集12 タイタス・アンドロニカス

古代ローマが舞台のようなので、楽しめるかも?とちょっと期待したが、期待は見事に打ち砕かれた。

ローマの将軍タイタス・アンドロニカスは、捕虜であるゴート人の女王タモーラの長男王子を殺して、戦死したわが子たちの霊廟への生贄とする。これを恨んだ、残る王子2人は、ローマの皇帝妃となったタモーラの狡猾なムーア人情夫、エアロンと共謀しー。

あらすじから

あまりに残虐な殺人方法に気分が悪くなる。
特に何も罪のない人々が、声も上げられずに殺されていく様は、耐えがたい。
そもそも、ローマの皇帝や将軍の中には残虐な人たちもいたかもしれないが、生贄を捧げるなんてことはしないのでは。アステカあたりと混同していないか。
最終的には悪人も始末されるが、とてもハッピーエンドとはいいがたい。

残虐なシーンだけを描きたかったわけではなく、何か意図はあるのだろうけど、それを確認するためにもう1度読みたいとは思えない作品だ。

*メモ
これがシェイクスピアの作品とは思いたくない、という感じ。
特に、タイタスの娘のラヴィニアはもっとも悲惨。
この作品読むまでは、「リア王」がもっとも悲劇的、と思っていたが、この作品はグロテスクな分、より嫌な気分に。


シェイクスピア全集14 コリオレイナス」 

ローマの隣国ヴォルサイとの戦いで、都コレオライを陥落させた将軍ケイアス・マーシアスは、コレオレイナスの名を与えられるが、市民の反感を買ってローマから追放される。
行方知れずになった誇り高き英雄は、宿敵オーフィディアスと手を結び、祖国ローマを攻め落とそうとする。この企てを知った母ヴォラムニアと妻ヴァージリアは、嘆き悲しみ―。シェイクスピア最後の悲劇。

背表紙のあらすじ

悲劇ではあるけれども、この将軍にはモデルがいるようで、武将としては優れていても統治には向かなそうな、ある意味自分で蒔いた種でもあるといえる結末。
民衆が力を持てば必ずしもうまくいくわけではない現実など、戦いに明け暮れる古代ローマの初期の時代を大きく逸脱していない展開。
前回読んだ「タイタス・アンドロニカス」に比べたら、ずっと読みやすい。

シェイクスピア全集15 お気に召すまま」 

アーデンの森を舞台に、数組の男女が繰り広げる恋愛喜劇。
いくら男装したって、自分が恋している女性に気がつかないわけないだろうとか、今までひどいことばかりしていた人が、こんなに簡単に改心するわけないだろう、とか、突っ込みどころはたくさんある。
でも、悲劇ばかり読んだ後に、こういう喜劇を読むとホッとする。

*メモ
同じ恋愛喜劇でも、庶民が主人公より、貴族的な方々が登場するこちらの話のほうが楽しめた気も。
同じ劇中劇がほかの作品でも言及されていた。
もう詳細忘れているけど(笑)

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