ストレスによる疾患「心身症」とは?
心身症とは?
心理社会的因子、いわゆるストレスが原因となる心の症状ではなく身体機能に症状を表す病態です。ストレスと症状の関連を「心身相関」と呼び、脳・自律神経系・内分泌系・免疫系などが関与して心身相関を支えています。
心身症になりやすいとされる特性
1、アレキシサイミア
心身症の心理的側面の特徴です。シフニオスによって1970年代に提唱されました。
ギリシャ語に由来する造語で、「失感情症」「失感情言語化症」と訳されます。
自分の感情に気づきにくい、気持ちを言葉にするのが苦手な傾向を言います。
うまく悩みを人に伝えることができなかったり、感情を言葉で伝えるより行動に訴える傾向が強いです。
共感性の乏しさも特徴で、心身症の患者さんだけでなく、健常者でもその傾向があることがあり、精神的健康や対人関係への影響があると言われています。
2、過剰適応
心身症の社会的面の特徴です。以下のような特徴があります。
・生真面目
・仕事にのめりこむ
・頼まれるとノーと言えない
・自己犠牲になりがち
・状況に自分を全面的に合わせようとする
・自分の感情を抑える
3、タイプA行動パターン
心筋梗塞などの虚血性心疾患になりやすい危険因子でも有名です。
競争的でいつも急いでおり、認められたい欲求が強く、仕事に熱中しやすい人です。時間に追われ、焦燥感が強く、他者に対しても攻撃的です。
この行動パターンの方は、仕事中毒のようになり心身症になるリスクが高いそうです。
代表的な心身症
・過敏性腸症候群:病変は認められないが、下痢・便秘などの症状が出現する大腸の疾患。
・機能性ディスペプシア:病変は認められないが、食後のもたれ感・早期満腹感・心窩部痛・心窩部灼熱感が出現する症状。以上の症状の1つ以上の症状があり、6ヶ月以上前に初発し、3ヶ月以上続いているものとされる。
・頭痛
・摂食障害:食事や体重に対する強いこだわり、太ることに対する恐怖感が特徴。
・本態性高血圧:原因がはっきりしない高血圧
・アトピー性皮膚炎
・気管支喘息
・関節リウマチ
・過敏性膀胱(神経性頻尿)
・メニエール症候群
・アレルギー性鼻炎
・視野狭窄
さいごに
心身症かもしれない、と思いあたることがあったら、受診する科は心療内科をお勧めします。心身症は心療内科の専門です。
もし行きにくさを感じたら、症状に合わせた科を選んで行くと良いと思います。
お腹の症状なら、消化器内科。息苦しさや、頻回の咳などは呼吸器内科、など。
もし、それも分からない時は内科のクリニックに行くと良いと思います。
心と体はつなかっている、と言いますが本当ですね。
症状に悩んでいる方が少しでも楽になることを願います。
<参考文献>
メンタルヘルス・マネジメント検定試験公式テキストⅡ種ラインケアコース.大阪商工会議所編集.株式会社中央経済社発行.2017年2月.第3版第164刷発行.
公認心理師必携テキスト.福島哲夫編集.株式会社学研メディカル秀潤社発行.2018年5月.初版第4刷.
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