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私には、何ができるんだい?

息子はASD(自閉スペクトラム症)の疑いがある。
先日心理検査を受け、結果が出るのを待っているところ。

息子の言動はとにかく独特だ。
暗記力がいいので、自分の好きなことや興味のあることは全て覚えて話したいらしい。
その話に相手が興味があるのかどうかは関係なくて、ただひたすら自分の頭の中にあるものを出し切っているように見える。
一方的に話して、納得すれば相手の言葉には反応しない。
息子の世界には息子しかいなくて、周りの人間に対して意識を向けない。

感覚が過敏で、特に食べ物の温度に敏感。
白米が覚めていれば食べないし、ある時「シュウマイは皮が覚めているから食べない」と言い出したことがあった。
学校でもその通りで、白米には一切手を付けない。

そして、欲求に対して正直である。
冷蔵庫にしまってあったヤクルト1000。私の体を気遣った弟が毎週ヤクルトレディから買ってくれるのだ。
ある日、家に帰ると冷蔵庫が開いている。
ゴミ箱にはヤクルト1000のカラ…6個。
息子は一気にヤクルト6000を摂取したのだ。
いくらなんでも、どこかで自制心がきかなかったのだろうか。
自分がやりたいと思ったことについて、結構な具合で突き進んでいく。
その後始末をしながら母は泣く。

そんな息子が、小学校でみんなと円滑に関係性を築けるわけがなく…
時々トラブルが起きる。

先日、仕事の帰り道で下校中の息子を見つけた。
近くに同じクラスの男の子が2人。
息子の動きが明らかに何か起こっているように見える。

すぐに駆け寄り声をかけると、2人のうちの1人が息子を指さして
「息子くんが僕に酷いことを言った」
と言う。息子は「違う!」と怒っている。
もう1人が更に、息子をからかい首の辺りに近付いてきた。

危ない。率直に思った。息子がこの子を突飛ばしたら大変だ。

この2人はなぜか1年生のころから息子のことを気にして酷いことを言ったりする。
多分、息子の持っている世界が理解できず「変な奴」と思って離れているのだろう。

正直な気持ちとしては「ほっといてくれよ…」である。
自分のルールから外れた人間を攻撃して、何が面白いのだろう。

ただし、息子はこれからもこのような悪意にさらされて生きていかなくてはいけない。
息子の特性をすべての人が理解し受け入れることは難しいのだ。

そのことを実感したのは、夫が職場の人のことを「あの人、もしかして発達障害なんじゃないか」と言った時。
相手の良くない所=自分が理解できない所を挙げて「あの人の尻ぬぐいをしなくてはいけない」と顔をしかめて言っていた。
あぁ、そうなんだよね。
生きるのが難しい人達は、自分の生きづらさを解決できないまま誰かの悪意を受けてしまうこともあるんだよな…と思った。
世の中に「平均」と言う言葉がある限り、平均から外れた人は責められることがあるということを息子の親として実感していかなければいけない。

私は、生きづらい子供の親として、何ができるのだろう。

息子の悲しそうな顔を見ながら、今の私に言えたことは

「君は君のままでいいと思う。でも傷つくことがあったら話してみて欲しいんだ。一緒に怒ったり悲しんだりしていこうね」

解決することはまだできない。
これからだって悩みがたくさん生まれると思う。

それでも、息子が苦しい時に伝えたいと思える親であろうと思った。


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