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2021年1月に読んだ本、観た映画、聴いた音楽

今月は途中でゲーム沼(FPS)にはまったり漫画沼から抜け出せなくなることが多かったので映画や読書や音楽少なめ。

中旬までゲーム沼にハマっていましたがさすがに廃人すぎるため生活を見つめ直しました。そして「1%の意思と99%の仕組み工夫」で何とか抜け出せました。

さて、前置きが長くなりましたが、いきましょう。

1.映画

今月は映画15本観ました。

『麻雀放浪記2020』、『町田くんの世界』、『西の魔女が死んだ』、『ボヘミアンラプソディ』、『グッバイサマー』、『そこにいた男』、『岬の兄妹』、『パラサイト』、『マルクス・エンゲルス』、『天気の子』、『生きてるだけで、愛』、『そうして私たちはプールに金魚を、』『恋するふたり』『ルル・オン・ザ・ブリッジ』『LOVE&POP』の15本。

特に面白かったもの(など)をピックアップ。

・『LOVE&POP』

98年渋谷の女子高生たちの物語。

おじさんの嫌悪感って変わったなあと思った。当然、当時から気持ち悪いおじさんはたくさんいたけれども金払いが良いという条件である程度は許されていた空気を感じる。

気持ち悪いとはいえ援助交際をするようなおじさんはお金を持っていた。平日の昼間からビールを飲みながら女子高生としゃぶしゃぶ食べてたりっていうのはフィクションとはいえ実際にあったのかなと思う。

援助交際とパパ活って類似点もあるけど、根本的におじさんがお金を持っているかどうかが異なる。パパ活においてはお金を持っていない男性からの妬みとスティグマになっているんじゃないかと思う。あとはSNSによる可視化もあるのかな。

さらっと宮台真司出てそうな雰囲気があった。鳥肌実っぽい人が渋谷スクランブル交差点で演説してるなと思ってエンドロール見てたら本人でした。

2.本&漫画

『100分de名著2021年1月』、『哲也-雀聖と呼ばれた男』、『HUNTER×HUNTER』、『BLUE GIANT』シリーズ、『潔く柔く』、『自分ごとの政治学』、『哲学マップ』、偶然をチャンスに変える生き方-最新キャリア心理学に学ぶ「幸運」を引き寄せる知恵』で漫画4冊、本4冊。

本はたくさんあるのに読みたい本がわからなくなっています。読んでいて眠くなる本はきっと今の自分が読むべき本ではないのかなと思います。なので50ページはつまらないと思っても読んでみて、それから通読するかどうか考えるのが2月の目標。読書の守備範囲が狭すぎる。

印象深いものをピックアップ。

『自分ごとの政治学』中島岳志

政治学の入門書にいいかなと思って購入。NHK出版は「2時間で読める」シリーズがあるらしく(初めて知った)、かなり遅読な自分でも3時間くらいで読めた。入門書としての期待には応えてくれなかったものの(そりゃそうだ)、内容は非常に明快で面白い。

目から鱗が2つ。

現代では右派左派の対立軸による理解が機能しなくなっていることを確認した上で、「リスクの個人化」「リスクの社会化」「リベラル」「パターナル」の4象限で政治を理解するアイディア。今までも政治的なスタンスを4象限に分類する方法はあったけれども、「リベラル」に「パターナル」を対置させる発想が自分にはなかった。確かに「リベラル」の対立軸として「保守」は現代においては違和感しかないよな・・・。

2つ目は好き嫌いが分かれそう(というか自分は「嫌い」派)だけれども「立憲」は「死者の民主主義」という点。中島によると「民主」と「立憲」は主語が違うのだという。「民主」の主語は生きている人だけれども「立憲」の主語は死者。死者にとっての民主主義が「立憲」であると強調する。その上で「民主主義は常に立憲民主主義でなければならない」ことを強調する。

「死者の声」は伝統と言い換えてもいいかもしれない。伝統とかクソほど嫌いだったけれども伝統について考え直す必要が出てきたのは自分にとって大きな自己変容だった。映画『日々是好日』もまた違った角度から観られるかもしれないと思った。

右派と左派を説明するために「近代」から説明するのも非常に丁寧でわかりやすく、「誰に向けて書かれているか」が明確。読書習慣と政治に関心がある小学校高学年くらいであれば十分内容を理解できると思う。

僕は読解力がとても低いので正直に言うとこれくらいまでレベルを落としたほうが楽しく読書できる。章ごとに要約したり気になる箇所をEvernoteに抜き出したりしながら読みました。

入門書としては頼りないけれども、難しいことを平易な文章で書くことへの敬意を払うほかありませんでした。

下手に内容が理解しやすかっただけに長くなっちゃった。

・『哲学マップ』貫成人

ちくま新書初版2004年。著者は専修大学教授でピナ・バウシュ研究の第一人者。メルロ・ポンティと舞踏の話が度々出てきたので納得。

『勉強の哲学』千葉雅也著で哲学の入門書として紹介されていたの購入。思弁的実在論にたどり着きたかったけれども良い遠回りをした感。

哲学的思考形式Ⅰ〜Ⅲをもとに中世〜現代までの哲学を概観する。そして第13章ではこれまでの哲学史から「わたし」「国民国家」などのテーマに沿って古代〜現代に至る哲学者がどのように考えのかが描かれる。

過剰な「わかりやすさ」を求めるのは現代の病とも言える。本書は「わかりやすさ」に溺れず、しかしレベルを落とさないギリギリの死線だと思う。自分自身の読解力の低さも相まって、わからない部分は多々あった。ドゥルーズの項目とか。哲学に比べたら社会学は具体的でわかりやすいのかもしれない。

それでも「何がわからないのかわかる」レベルなのは筆者の並々ならぬ努力と工夫のように思える。章の初めには何が描かれいているかの要約があり、また重要なことは繰り返し説明をしてくれる。そういう意味では易しいと言える。本書を読んだあとに『現代哲学の最前線』仲正昌樹著の「新しい実在論」の章を読んでみたけれども、とても本書が理解の手助けになった。以前読んだ時はただただ眠くなるだけだったのに。

最終章の読書案内も丁寧だ。哲学をざっくりと知りたい人におすすめできるかわからないが、哲学に興味がある人にはうってつけだろう。自分にとっては難しいながら好奇心と興味のほうが勝ってしまい、通読するのに苦痛は感じなかった。本書を足掛かりとして興味を抱いた分野や領域に一歩踏み出すことも可能になる。

最後に印象的だった文章の引用。

そもそも何かが「役に立つ」とはどのようなことなのか、それを吟味し、それによって有用性に駆り立てられた状態から距離をとるのか哲学。(p.28)
生活様式が激変し対立が生じとき、問題の全貌をパッケージとして可視化、言語化して、調整する試みはどうしても必要であり、それを行うのが哲学だ。(p.218)
現代を生きる者が、複雑な現実をパッケージとして捉えるためにには、現実を構成する多種多様な次元に関する知識と理解が不可欠である。そのようにして形成される<現実を読む目>は(中略)「リアリティ・リテラシー」とでも呼べるだろうが、現代の現実を生き抜くための「教養」とはそのようなものでなければならない。(p.242)

2020年はコロナ、陰謀論などどれか一つをとっても世界を揺るがすレベルの事件、惨事があった。この引用から、ひょっとすると今私たちに最も必要で有用なのは哲学なのかもしれないと思いました。

3.音楽

いつものようになるべく新譜。

『SOOTHE & SLEEP 1~6』 KENJI KIHARA

sphontikや宮内優里さんとのユニットBGM Lab.の木原健児さんのソロ。BandCampで5$〜購入可能。

Soothe(なだめる)& Sleep(眠り)というタイトル通り入眠のための穏やかなドローンアンビエント。柔らかな音のうねりがちょうど30分。Spotifyの「眠れない夜のためのプレイリスト」とかだと3時間は聞きながら眠るには長すぎる。30分という時間も工夫されているように思える。

Nick Murphyも昨年『Music for Sleep』を出していたしアンビエント界隈では「睡眠」がテーマになっているのかもしれない。

『マインドフルネス瞑想』みたいなアルバムは確かにこれまでもたくさんあったんだけど、実のところ製作者がアンビエント好きじゃなくて嫌々作らされている感を感じてしまって苦手だった。なのでBGM Lab.しかり木原さんの一連のシリーズしかりとても好き。

宮内優里『YACHIMATA 2』

木原健児さん繋がりで「そういえば最近新譜だしてないよな?」と思い検索したらちゃんと出していた。

それにしても宮内優里さんも木原健児さんも、自分がやりたい音楽をピンポイントでやってくれるのでハンカチを噛み締めながら毎日枕を濡らしています。こんなん逆立ちしても敵わなくて悔しい。ドローンは差別化ができるようでとても難しいので同じことをやっても焼き直しで意味ないしやった者勝ち感はある。

Lofi HipHop Radio

Youtubeのこの24時間ライブ配信を一日中聴いてることが中旬は多かったです。音の重さがちょうど良いんですよね。

それにしても24時間ずっと3万人以上が観てる(聴いてる)ってすごくないですか。

ずっと聴いているとこの動画で定義しているLofi HipHopって90年代のエレクトロニカに強めのビート入れただけだなとか余計なことを考えるようになり聴くのやめました。なんじゃそりゃ。

Ruru『Far Out』

フィリピンはマニラ在住の宅録アーティスト。Clairo好きだったらきっと好き。ベッドルームポップとでもいえばいいんでしょうか。ウィスパー気味の気だるい声にキャッチーなメロディーで好きになりました。

Tinderでマッチした女性に教えてもらいました。もはやTinderは音楽を知るためのツールになっています。

そしていかんせん情報が少ないのでマニラ在住20代前半の女性ということしかわからない。そういう意味では今は良い音楽を作って、ちゃんとリスナーの耳に届く工夫をしていれば「売れる」可能性があるのはすごい時代ってたぶん10年前から言われてると思うんですが、あらためて思いました。

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やりたいことをやりたいようにやるということは少なくとも自分にとってとても難しいことのように感じました。「やりたいこと」が実は「やりたいと思わされていること」「みんながやっているからやりたいこと」であるケースが自分には多いように思う。


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