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【読書日記】子育て中のすべての人にオススメしたいお話(家族シアター タマシイム・マシンの永遠)

読書が好きで、だいたい毎週のように図書館通いをしています。気になるテーマの本を探したり、ネットで見つけた本や好きな作家さんの本を予約して借りることが多いですが、それ以外によくやるのは、「今日帰って来た本」の棚を見てピン!と来た本を借りることです。その時の自分のセンサーが働くタイトルだったり、表紙に惹かれたり、これがなかなか楽しくてオススメです。
そして巡り合ったのが、辻村深月さんの「家族シアター」という本。

7つの短編ストーリーどれもが良く、最後は心あったかくなるお話です。私が特に気に入ったのは、タイトルにある「タマシイム・マシンの永遠」というお話。

タマシイム・マシンはドラえもんのひみつ道具のひとつで、魂だけが抜け出して昔の自分の身体に移れるという一種のタイムマシン。

のび太の「大きくなるにつれて、ママに粗末に扱われている。赤ちゃんの頃に戻りたい」という願いを叶えるためにドラえもんが出してくれた道具です。魂だけが赤ちゃんの頃に戻ったのび太は家族みんなに可愛がられます。一方で、小学生ののび太は魂が抜けてしまってママが心配して大泣きするというお話です。(家族シアターを読んだ後、ドラえもんの原作を実際に読んでみたくて、思わず購入しました!)

辻村深月さんのストーリーには、赤ちゃんを育てているとある母親が、このタマシイム・マシンが実際に開発されてるんだと思って子どもに接していて、「自分が大切にされているか確かめに来たのに、その時にお母さんがため息をついてたり、笑ってなかったら嫌だろうなと思いながら一緒にいる」という台詞があり、私も日々ちょっと余裕を無くしそうな時には、いつもこのお話を思い出しています。

また「子どもを通じて、自分が生まれた頃の家庭の様子を数十年の時を経て、我が子に見せてもらっている。」という主人公の台詞も、私自身が子育てを始めてからずっと感じていたこととピッタリ同じで、嬉しくなりました。

私自身は赤ちゃんの頃はもちろん、幼い頃の記憶もほとんどありません。だからこそ、我が子との暮らしは、何もかも新鮮であり、もう一度別の人生をスタートしたような気になることもあります。同時に、二度と戻れない赤ちゃんである我が子との日々と私たち兄妹の子育てに奮闘してくれた若かりし頃の両親を思い、少し切なくなることもあります。

我が子だって将来きっと覚えていないでしょう。でも、もしもタマシイム・マシンがあったなら、その時に我が子が出会う私が、楽しそうに過ごしていて欲しい。と願い、日々を過ごしています。


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